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深く暗闇が広がる空間。
天井は高く、どれ程に上を見上げればいいのか分からない。
その天井では何かがチカチカ光を発して微かに周囲を反射させるだけ。
この光は床板には届いておらず辺りを、一層に暗く感じさせた。
彼の目の前を歩く無数の化け物等は、一切関係無い足取りで軍隊を思わせる雰囲気で先を目指す。
敵の皮を被り、血肉に塗れ汚れながら濡れ紛れ込んで彼は進む。
すると開けた場所に出ると奥には、一際大きな化け物が鎮座するような姿を見せる。
視界の悪い内側で頬を汗が1滴流れる。
喉を鳴らして全身に緊張が走る。
化け物等の言語で先頭の化け物と巨大モンスターが会話を始める。
〘何匹かからの連絡が途切れました。
侵入者かと思われます〙
〘だから集めたというのだな?〙
〘はっ、はい。1箇所に固めた方が安全ですから。
よく無かったでしょうか?
奴らだと思われましたから。〙
〘いや、今回は貴様の愚策も功を奏したようだ〙
〘へ?〙
〘それと奴らでは無いな。
このような血を漂わせ方は計画的ではない…………人だな〙
〘ヒトですかな?〙
〘そう…………人間、ソコに隠れているつもりだろうが丸分かりだぁ!!!〙
巨大モンスターが片腕を上げると引き潮のようにモンスター等が海を分つモーゼのように開けて残った1人だけの彼に巨大モンスターが4本の手で指す。
〘他の下級怪魔は誤魔化せても上級足る怪魔には見破られる。
同胞の仇だ!
その肉を啜れ!!
報いを受けるがよい!!!〙
その言葉を皮切りに一斉にモンスター等が飛び掛かっていく。
彼は敵の皮を被った着ぐるみ状態の内側で大腿部の格収納からグリップを取り出すと着ぐるみを破りながら構えて武器を展開しモンスターとの開戦を上げた。
☆
5〜10メートルのモンスターを横に縦に躱し斬り付け撃ち倒す。
モンスターは虫から獣など、その姿形は千差万別で有り囲まれていたため1回で倒し切らなければ自身の死を早めた。
壁を崩壊させ場所を変えて────
瓦礫に視界を塞がれたり────
壁や天井を走けて────
モンスターの巨躯を足場に駆け上がり飛び上がり別のモンスターを撃ち、降りる勢いでそのモンスターよ首を刺し切る────
引き千切ったモンスターの部位を投げ刺す。
余波で塵の煙幕に身を隠し頭上から現れ切り裂いてゆく────
飛び散った血の海を滑り踊る姿は、この戦場の主役は彼なんだと語っているかのようだった。
跳び回り、血肉を浴びた果てに全てのモンスターを倒すと彼は上級怪魔の元に辿り着く。
その赤く染まった皮も殆どが破れ鮮血に視界は酷く悪い。
肩で息をしては荒い。
〘貴様ぁぁぁぁぁあああああ!!!
よくもぉぉぉおおおおおぉぉぉ下僕共を!!
食い千切ってやる!
この怒りは貴様を食らって静めてくれるわぁ!!〙
足を地面に力を入れて底跡を滲ませると彼の纏う皮から僅かに漏れ出る光が道線を作り攻撃を躱して相殺して追越してゆく。
20メートルは有る上級怪魔を前に切れ味が酷くなり所々が欠けている剣を投げ捨てる。
剣は手から離れると原子から粒子に変わり消えて無くなる。
新しい剣を取り出すと彼は又、走り出していた。
☆
息は絶え絶えに体を上下させて両手で左右の武器を突き刺してラスボスの巨躯から退くと腰を落として座り込む。
最後まで残っていた僅かなモンスターの皮を頭から無造作に取り捨てる。
その姿は鎧を着込んでいて漏れる声は曇っていた。
数分もせず立ち上がると、その瞬間に上級怪魔が複腕を彼に向ける。
すると空間に穴が開き、周囲に風を巻き起こす。
『っ!?』
鎧が赤く点滅し赤く光を放つように変わるとブラックホールに抗う隙も与えられず吸い込まれてしまう。
〜〜〜戦闘から始まりラスボスを倒した瞬間。
彼の真の人生が始まる〜〜〜
その日、血潮の如く赤い火花は閃光と墜ちて夜空を赤く明く光りながら灯した。
────それから数年後、彼の運命が動き出す────
流れ星を1輪装甲車に跨りながらゴーグルを外して眺める少女、吐く息は白く直ぐに消えてなくなる。
その後ろには轍が砂漠に残っていた。
夕焼けの庭で木剣を数度、軽く振ってから素振りの稽古を始める赤髪の青年。
気持ちの良い汗を落としながらも真剣な表情は険しい物へと変化していた。
大波に流されないよう海水に立ち漕ぎで浮きながらも水に体温を奪われ潮水に流されてゆく。
疲労から月明かりを見上げては困り果てる黒髪の青年、しかし悲観はしていなかった。
それぞれの場所で各々の人物の物語が始まるのを待っている。
===プロローグ===




