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第七十話ターゲットロックオン!ブチかましたれ!

 レミが村へ突入し、ゾンビを蹴散らしながら扉が破られていない礼拝堂へ走る。


 その様子を見ていると――


「荷車を発見しましたわ!レミがゾンビをバラバラにしてるので慌てて自爆ゾンビを起動したようで荷台から出てきてますわ!」

 自爆ゾンビ――あの太い奴等か、俺の対策は万全だしレミなら自爆ゾンビに捕まることは無いだろう。


「よし!ルミ、レンジファインダー(測距計)で近くを示せるか?」

 ルミへ問いかけながら、赤外線暗視機能のある双眼鏡をアシヌスの背中に積んだカバンから取り出す。


 日中に使っても赤外線暗視機能は意味が無いと思われがちだが、赤外線を視認する機能であり、レンジファインダーの赤外線レーザーをマーカーとして目標を指し示す事ができる。


「ここからでは直接狙えませんわ、大体の位置はあの木の傍ですわ!」

 ルミレンジファインダーを覗き山の方を指す。


 その方向へ向けば、既に自爆ゾンビが走っているのが見えた、その先に荷車があるのはすぐに想像できたが、木々に隠れるように陣取っているようで射線が通らない。


「どこか狙えそうな場所はあるか?」

 木々に隠れているとは言え、ゾンビを複数隠している場所だ、近付けばすぐに狙えるのではないかと思いルミへ聞く。


 ルミは難しい顔をして、少しの間考え。


「恐らくかなり接近しなくては木々が邪魔で狙えませんわ、狙えたとしても死霊術師を仕留められるかとうか……」

 俺はルミの言葉に首肯を返しトレンチガンをインベントリへいれて、アシヌスの背に載せていた武器を背負う。


「近づいて確実に仕留める、もし俺が失敗したらレミと合流してくれ」


「分かった、アルファも何かあれば信号弾を撃て、私達もそちらへ加勢する」

 俺の言葉にロミが返事をする。


 首肯を返して木が生い茂っている山へ向かう。


 ルミが指し示した辺りの木々を注意深く見れば、すぐにゾンビと大きな荷車を発見した。


 死霊術師がいないか警戒しつつ森の手前で隠れ、携帯放射器を構える。


 携帯放射器――FPSやミリタリー要素の強い作品群でも、登場することは殆ど無い陸上自衛隊が運用する国産の制式装備の火炎放射器である。


 米軍のM2火炎放射器を改良した物だが、火炎放射器というジャンル自体が射程が短く、この携帯放射器も最大射程は40メートル程と銃火器としては短い為、攻撃用の武器ではなく工兵向けの邪魔な木々を燃やすなどの用途に使われている。


 今回はギリギリまで近付く、木々に隠れているとは言え大きな荷車なので森に入ってすぐの位置にゾンビと共に停まっている。


 距離は30メートル程度……俺の予想が正しければ――


 一気に身を晒して携帯放射器を荷車とその周りのゾンビ達に向ける。


「ヒャッハー!汚物は消毒だぁー!」

 ボワッと勢いよく炎が射出され、荷車と周りのゾンビを燃やす。


 火に巻かれたゾンビはちょっとやそっとの銃撃を耐えたのが嘘のように即座に倒れる。


 炎の範囲外だったゾンビがこちらへ向かって来るが火炎放射で火達磨にするとこちらも即座に倒れる。


 予想通り!コイツ等の魔法の()()は後頭部からうなじにかけて掘られた入れ墨、一瞬で真皮層まで達するⅢ度熱傷を負わせれば入れ墨の複雑な紋様はいとも簡単に変形させられて魔法が途切れる!


 調子に乗って火炎を撒いていると、荷車も燃え上がり、大きな樽のような物に引火する。


 あっ、コレはヤバいかも。


 本能的な恐怖で木の後ろに隠れて伏せる。


 その瞬間、一瞬何も聞こえなくなり――激しい衝撃が身を隠した木を大きく揺らす。


 ――キーン……と耳鳴りが治まる。

 

「ゲホッゲホッ……死ぬかと思った……」

 どうやら俺は生きているらしい、もう1つの予想も正解だったようだ。


 自爆ゾンビは厄介だが、前の爆発で激しい白煙を上げていた……つまり中身はただの黒色火薬。


 炎で炙ってしてしまえばいとも容易く起爆して誘爆した。


 しかし結構大きな樽だったが大きさに対しては大した事がない?


 既に自爆ゾンビに充填する等して量が減っていたのだろうか。


 兎にも角にもなんとか火薬と起動していないゾンビを片付ける事が出来た。


 そんな事を考えながら燃え盛る森から脱出すると、ルミが馬で森の側面を走って行った――乗ってるのはネリーの馬?――


 そのすぐ後に馬車とアシヌスに乗ったネリーがやって来る。


「アルファ!乗れ!ルミが逃げる死霊術師らしき奴等を見つけた!先行して追跡しているから追い掛けるぞ!」

 馬車の御者台からロミが簡潔に説明する。

 

「追い掛けるのに馬車とロバじゃ遅いので私の馬に乗っていきました〜」

 ネリーの言葉になぜ彼女がアシヌスに乗っているか理解する。


「アシヌス!ネリーを頼むぞ!」 

 アシヌスへお願いしつつ、急いで御者台へ登るとすぐ様ロミが馬車を出発させる。


 背負った携帯放射器がかなり邪魔だが仕方ない。


 馬車を走らせると、ルミと死霊術師が乗っていると思しき……お神輿(みこし)?否、時代劇とかで見る駕籠(かご)をゾンビ達が担いで走っていた。


 流石に疲れ知らずのゾンビでも馬より速く走れないようで、ルミが付かず離れずの距離から右手で左のホルスターからコルトネイビーを抜いて発砲する。


 いい判断だ、ゾンビをけしかけるには遠く、コルトネイビーの弾は十分届く範囲をキープしている。


 インベントリからトレンチガンを取り出し、携帯放射器を背負ったまま構え――すごい窮屈――駕籠を狙う。


 ルミがこちらに気付き、フレンドリーファイアを防ぐ為か速度を落としてロミと俺の乗った馬車と並走する。


「ロミ!もっと近付いて横につけてくれ!ルミは巻き込まれるから気を付けろよ!」

 馬車が駕籠の真横に近付き、射程距離に入るとトレンチガンの引き金を引き、ドラゴンブレス弾を発砲する。


 ドラゴンブレス弾――散弾の代わりにマグネシウムが装填された焼夷弾、発砲された時に激しく燃えて輝く為まるで花火をしているかのように見える。


 弾丸を撃った時の圧力が低くオートマチックショットガンでは上手く動作しない、射程距離が火炎放射器とそう変わらない等の理由から軍用や警察では使用されず、個人の趣味用として使われている弾だが、その美しい火花に惹かれる愛好家が多い。


 駕籠の周りにいたゾンビ達の何匹かが同時に火花に包まれる。


 魔法の入れ墨に当たったゾンビが倒れる。


 こちらに対して真正面を向けているゾンビには効果が薄いが、横向きでもほんの少し入れ墨が見えているなら適当に撃つだけですぐに戦闘不能にできる。


 弱点さえ分かれば怖くない、ドラゴンブレス弾を数発駕籠に向けて撃つと燃え始める。


 しかしゾンビ達は燃え盛る駕籠を離すことなく走り続ける。


 ――駕籠は既に激しく燃え盛り始めている、なのに死霊術師は無反応?


 その事に違和感を覚える、ゾンビ達も無駄に外周にいるだけの者もいるのに全くこちらに対して攻撃してこない。


「おい!なんか()()だぞ!死霊術師は人間なんだよな!?」

 ロミへ問いかける、魔法の事は完全な門外漢だが炎に対する魔法でも使ってるのか?


「おかしい……ルミ!警戒しろ!」

 ロミが叫び、駕籠から馬車を離れさせる。


 その瞬間、駕籠から自爆ゾンビが飛び出しルミの方へ走って行く。


 駕籠の中身は死霊術師じゃなかった?


 ルミは冷静に自爆ゾンビの頭部へコルトネイビーの弾を叩き込むとゾンビは自爆するが、安全な距離で始末されたその爆風はルミのカウボーイハットを少し揺らしただけだった。


(おとり)ですわ!他から逃げていたら見逃していません!レミが危ないですわ!」

 ルミが馬の踵を返してゾンビに襲われていた村へ戻る。


 ロミも馬車を停めるが、Uターンするには馬車は時間が掛かり、ルミの後ろ姿は既に小さくなっていた。

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