次はお料理!
スマホで、地球の建築説明します。
いかにも渋々という動作で画面を覗く真っ黒青年。
「こちらはお風呂です。各家庭にあり、毎日身体を清潔にするだけでなく、心と体の疲労を取ります。」
「こちらは台所ですね。今の主流はカウンターの下が引き出しになっているタイプですね。」
と営業トークで説明していく。
カルロスさんと同じで、床が畳やフローリングなのを見てとても驚いている。
「本当に草と木ではないか!」
そんなに?確かにここには石ばかりだけど…
「木で家は作らないのですか?」
と聞くと、凄く不思議そうに、
「あんなものより石の方が頑丈だし、楽であろう。」
と言われた。石…こっちだと楽なのかしら?地震とかないのかなぁ。
日本には、マンションの様に鉄筋コンクリートの物や、戸建てでも、軽量鉄骨とか色々な素材で大枠を造っている家もあるけど、基本的にどこかに木は使う。
床や室内の扉はまさに木製が主流。
ただ、人間だけか家で生活する世界と色々な人が生活する世界。強度やら気候風土がわからないから無理強いはできない。
でも、興味はあるんだよね?
「外壁は木ではない家が多いですよ?室内は靴を脱いで過ごす習慣がある国だったので布や革製の簡易な履き物、スリッパといいますが、それをはいたり履かずに裸足や靴下で歩き回ります。石だと冷たいので、木が好まれます。あと、扉は軽さと見た目の暖かみから住居では木やガラス、不特定多数が使用する場所は金属を使うことが多いです。」
色々住宅事情を説明したがなかなか言葉では伝わらない。
あれこれ写真を見せて説明をしていく。
「うん?この写真はなんなのだ?」
そうこうしているうちに、現場写真の間に入り込んだ『生菓子と抹茶セット』の写真を発見される。
「あぁ…あの、日本の伝統的なお菓子とお茶です。」
仕事の写真にうっかり紛れていたのがおやつとは恥ずかしい。
「カオル殿、顔が赤いが、体調が優れぬか?」
いいえ、不意討ちのおやつ写真にやられただけです。
「おぉ、やはり花などをそのまま食し、草の汁を飲むのか。」
生菓子は桔梗の練りきり。それは美しい出来です。あと抹茶。まぁ、草の汁って言われれば全否定は出来ないけど…言い方…
「建築のことはなかなか言葉では伝えにくいので食べ物のご説明もしましょうか?」
「いや、その前に、こちらの料理を食べて頂いては?」
そういえば、昨日から食べてない…のにお腹が減らない…何故?
「まぁ、この場所では食事は嗜好品だがな。」
へ?食事しなくて生きていけるの?びっくりだわ。
「カオル殿、この場所だけでありますよ。ここは神の住家、魔力が満ち溢れているため空腹になることはございません。食事はあくまでも習慣の様なものです。1日2度、星に住まう物達と同じ様な材料で食事をします。」
「調理法は違うという事ですか?」
「魔力を使って調理いたしますが、器具や手法が異なります。基本的には焼いたり茹でたりです。調理場をご覧にななりますか?」
ぜひとも見たい!職業病で、よその家の間取りや使い勝手を見るのが好き!そしてアラフォー独身のため、料理は作るのも食べるのも大好き!これは楽しみだわ!
調理場にはカルロスさんが案内してくれた。
その間、長いまっすぐな廊下を歩く。
蒲鉾型の天井と鉄の重厚な扉。天井は4メートル位の高さで、片側のみ、3メートル位の所に明かり取りの窓が続く。
反対側に時々扉があるから、きっと片側にしか部屋がないのね。
真っ黒青年の部屋は突き当たりで、私が借りた廊下の5つ目、厨房はさらに5つ行った所だった。
「そういえば、カルロスさんの主様は神なのですか?」
「おぉ、ご説明もしておりませんでしたな。主様、 カールトン様はこの銀河系の、神であります。あなたの住んでいらした場所でいうと太陽系の神となります。」
やっと真っ黒青年の名前がわかったわ。
やっぱり神様なのね。
あれ?神様って銀河系ごとの分業制なの?なんかドバーっと全部面倒みます!的ではないのね。太陽系があった宇宙とは違う宇宙という感じらしいし、想像とちがうわねぇ。
でも、偉いって事よね。ここの世界の星にも地球みたいに私が住める所ないかしら?
感想など、いただけると本当にうれしいです。
宜しくお願いします。