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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩はまだ宦官などにはなりたくないのである。


 最近近所にオカマが増えた。

 特に野良猫の。

 謎を究明する為、久しぶりだが探偵業に精を出そうと思う。


 少し前にニャン太郎が賊に襲われたらしい。

 数人の人間に囲まれて、危うく捕まるところだったとか。

 奴等は手に、とても巨大な網を持っていたそうだ。


 様々な場所で多数の猫から情報を得るに、ある一つの答えへと辿り着く。

 彼等は皆、口をそろえてこう言うのだ。

 

 ”パラボラアンテナには注意しろ!”と。

 しかし我輩にはさっぱり訳が分からない。


 その謎を解く為に、ボディガードのニャー吉を連れて公園から調べる事に。

 先ずはハッテン場に成り下がったと言われる食堂(ババァが餌を撒く場所)へ。


 食事中の彼等(彼女等?)に話を聞こうと思って近寄ったらそこへ1台の車が!

 危険を感じた我輩とニャー吉はサッと近くの茂みに身を隠す。

 そこからじっと息を殺して観察を試みる。


 直後にバタバタっと車の中から人間が降りてきて、後部の扉を開けると・・・・

 なんと猫が複数匹出て来た!

 しかも全匹の首には中世ヨーロッパ貴族達が着ていた服の襞襟みたいなモノが!


 「ニギャッハッハ!」


 これには我輩とニャー吉も大爆笑。

 ヌシ等はエリザベスか?それとも天草四郎なのか??

 (これらの情報は御長男の部屋で暴れているときに歴史本なるモノから得た)


 ここである事を思い出す。

 そう、”パラボラアンテナ”の言葉。

 まさに目の前にいる彼等はアンテナそのものではないか!


 人間が立ち去るのを待ち、安全の確認が取れたところで彼等から事情を聞く。

 パラボラ猫達は、それはもう悲しそうに理由を話してくれた。


 彼等が公園の食堂で食事していると、数人の人間に不意打ちで捕まった。

 その日のうちに病院へ連れていかれてタマヌキされたのだと。

 しかも雄だけではなく、雌もその対象になっているとの事。


 これを聞いた我輩とニャー吉はタマヒュンとなり、全身に寒イボが。

 そして遂に原因へと辿り着いたのだ!

 オカマになったのではなく、オカマにされたんだと。

 自分の意思ではなく、不可抗力だったんだと。

 

 先程車から降りて来た人間の腕には腕章が巻かれていた。

 そこには”猫ボランティア”と。

 

 去勢する前に先ず猫を減らしたらどうなのか?

 公園に餌をばら撒く偽善者共を失くせばいいのでは?

 

 この公園の様に食堂があると地方からもドンドン猫達が集まってくる。

 何もしなくても食べ物が用意されるからだ。

 食うに困らないからだ。


 そこでは無差別交配が行われ、次から次へと子猫が誕生する。

 それらを全てタマヌキにするなど、人間のエゴでは無いのか?

 ペットショップで売れ残った動物を、”大きくなったから誰も買わない”などと言って処分する話とどこか似ている気がするのは我輩だけなのであろうか?


 我輩も含めた猫全てのアイデンティティーを揺るがす出来事・・いや、事件か?

 それをニャー吉と二匹、公園の食堂で猫缶をつまみながら一日中話し合った。


 

 そして二匹の出した結論はこうだ!

 出来れば次は蒸したササミを用意して頂きたいな・・・。


 

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