吾輩はシャムネコになど屈しないのである!
この街に新入社員が配属された。
彼女の名前は”ニヤ”と言う。
いや、本当の名前は知らないが、我輩達はそう呼んでいる。
恰好を見るに、どうも飼い猫らしいのだ。
我輩はまだ本猫に会った事がないから噂だけしか知らない。
それでも相当評判が高い。
光り輝くブルーの瞳は人間達の愛する宝石の様。
スレンダーなボディに黒の長靴。
気品高いベリーショートな体毛を纏う泥汚れの黄ばんだホワイト。
聞く限りでは相当な美猫ではないのか?
既にニャン吉やニャー吉、ニャン太郎までもが恋の虜になっているラシイ。
日々貢物を咥えて彼女のところへ足繁く通っているそうである。
そんなある日、我輩と彼女は遂にボーイミィトゥガールを果たす!
それは、美也殿に追いかけ回されていたときに起きた。
右手にマジックリンを持った彼女は、我輩で何かを試そうとしていたらしく、それはもう三毛別の羆よりしつこく追い回して来た。
必死で逃げ回っている我輩が病院近くを通りかかると、手招きする猫が!
直ちに進路を変えてそちらの方へ!
{バシッ!}
「ニギャッ!!」
本気の猫パンチをお見舞いされた。
しかもカウンターとなり、そのダメージは計り知れない。
どうもヤツは我輩を呼んでいたのではなく、単に前足で顔を洗っていたようだ。
文句の一つも言ってやろうと、その猫を改めて見た途端、
「ニャギャッギャッギャ!」
大爆笑をしてしまった。
なんとコヤツは猫のくせに服を着ているではないか!
これが笑われずにいられるか!
転げまわって笑う我輩に今度は爪全開の猫キックが襲う。
危険を感じた我輩は回避の為、バックステップを
{パパーーーーーーーーン!!}
{ドン!}
「フギャ!」
偶然通りかかった車に轢かれてしまった。
申し訳なく思ったのか、その猫は我輩の方へ歩み寄る。
そして近くでストンと腰を落とした。
よく見るとコヤツはメスではないか?
その青い瞳を見るに、噂の”ニャ”では?
彼女は上半身をグッと近づけ・・・猫パンチをしてきた。
それも全身のばねを使った懇親の一撃を。
トドメを貰った我輩は既にグロッキー。
しかも悪い事は更に続く。
「あ、ニャゴロー発見!・・ちょっとあんたボロボロじゃない?」
悪魔大王美也殿に発見されてしまう。
「キャアァァァッ!何この猫かわいぃぃぃぃっ!!服がチョー似合ってるじゃん!!」
この時点でヨレヨレな我輩の事などどうでもよくなった美也殿。
逃げるなら今かも・・・。
「ちょっとニャゴローどこ行くのよ?」
脱出失敗。
我輩の死刑が確定した。
次の日、フリフリラブリーな服を着た全身まだらハゲのハチワレが、街の至る所で目撃されたそうな。




