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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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吾輩は商売の天才である!


 寒さに耐えながら、今日もお仕事真っ只中!

 我輩は今、多数の猫達と公園の川縁にいる。

 

 今年一番の冷え込みをした今朝、日課である散歩途中にあるものを発見。

 川一面が凍結していたのだ。


 商魂燃える我輩は、これを利用しない手はないと即座に簡易関所を設ける。

 とはいっても、川の中へ続く階段前で通せんぼしているだけなのだが。


 もうお判りいただけると思うが、ズバリこれはスケートリンクだ!

 有料にして、諭吉や英世だけではなく、それ相当のモノを徴収しようとの魂胆。

 猫は珍しいものが大好きなので、それぐらい惜しまなく出すであろうな。


 うまい具合にニャー吉が顔を出したのでクサヤ一かけらでサクラを頼む。

 彼はニャン太郎と共に商店街まで噂を広げに行ってくれた。

 バカとハサミはなんとやらだ。

 利用されているとも知らずに。

 ニュッフッフ。


 そして予定通りの大繁盛!

 儲け話はどこに転がっているやも知れぬ。

 ウッハウハのウッシッシ状態だ!

 ニャッハッハッハ!


 氷の上をツルツルツル―と滑る猫の姿はまるで毛の生えたカーリングストーン。

 一方では爪を総出しにしても立つ事すらできず転げまわっている輩も。

 それでも怪我猫などは一匹も出ず、皆楽しそうに燥いでいる。

 対価を受け取ったとはいえ、この光景には我輩もほっこり。


 それにしても最近の猫は諭吉もちだな。

 別にジャーキーや刺し身でもいいのに、支払いは全猫諭吉を出してゆく。

 もしかして人間界でインフレでも起きているのか?

 この国もジンバブエと同じぐらいの紙幣価値に成り下がったとか?


 まあよい。

 それは後で経済ニュースでも見ればわかる事。

 この際そんな些細な事は気にしないでおこう。

 今は我輩の懐も運動しまくっている彼等の身体もホッコホコなのだから。

 う~ん、いい仕事してますねぇ。



 一方、公園のとある場所。

 この場を仕切るシャムネコのニヤから諭吉を渡される猫達の姿があった。

 彼女曰く、川の上で遊びたいならニャゴローにコレを渡しなさいと。

 所謂入場チケットだと。


 その列は公園を超えて遥か商店街にまで伸びていたという。

 勿論その諭吉はニャゴローがこれまでせっせと貯めていた隠し財産。

 この件をきっかけに全ての猫がそのありかを知る事となった。

 

 それを知らないニャゴローは、今日の売り上げをまたその場へ隠したそうな。

 思いっきりへそくりが減っているのにも気付かないまま……


 

 

 

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