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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
174/218

吾輩は年末年始も大忙しである。①


 年の瀬。

 いつもに増して活気づく商店街。

 金色と紅白で装飾されたアーケード。

 各専門店でもやはり紅白の熨斗を付けられた様々なモノが並ぶ。

 更にはいつもと違う光景が。

 

 肉屋では普段絶対に取り扱わないであろう高級肉の数々。

 魚屋は同じマグロでも白い部分が大半を占めた短冊を。

 八百屋には黄色くてまあるい果物と小さな雪だるまが売られている。


 それにしてもなんと多い人の数よ。

 我輩とてボーっとしていればいつ踏みつぶされるやも知れぬ。

 

 ついこないだまでは緑と赤で統一されていたのに……

 人間世界は全く理解に苦しむ。


 だからといって遊んでいる訳にはいかない。

 我輩とて仕事戦士!

 今日も汗水たらして働くとしよう。



 偶然出会ったニャン吉と先ずは駅前スーパーへ。

 そこでまず最初に見えたものは黒塗りのタワー。

 なにかなと思い、そーっと前足を伸ばすと……


 {ガランガッシャーン!}


 あっ!

 先走ったバカのニャン吉が体当たりをしおった!

 そのせいでタワーは崩壊!

 咄嗟に我輩は近くの台車の陰へ!


 一面にばら撒かれたタワーの残骸。

 どうやらあれは黒い箱を積み上げられて作られたものだったと見える。

 中には様々な料理がはいっておったようだ。

 その証拠に床一面が総菜の絨毯となっておるわ。


 あっ!

 ニャン吉が捕まった!

 これはマズイ!

 仕事どころではないわ!


 我輩ダッシュで店を後に。

 ほとぼりが冷めた頃にこのスーパーへはもう一度来るとしよう。

 ニャン太郎を連れて……。


 心なしか店側の人間はピリピリしておるな。

 忙しいからなのか?

 まあ、ニャン吉とて悪さをした訳ではないからすぐに解放されるであろう。


 

 暫く人混みに紛れて商店街を散策する我輩。

 そこであるものを発見した。

 チカチカ輝く美しい物を。


 ―― つづく ――

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