吾輩は大掃除が得意である!
もうすぐ新しい年に切り替わる。
人間の風習とは可笑しいもので、誰もが新年をキレイに迎えたいと。
心の中は汚れまくっておるくせにな。
なにかの使命感にも似たよう、どこの家でも掃除をやり始めた昨今。
一度に全部を済まそうとするからバタバタとなるのだ。
普段から少しでも行うのが如何に大事かわかるだろう人間よ。
そんなワケでニャゴロークリーニングサービスはゴミ虫バイク店へ。
本来など汚れ仕事はやりたくないのだが仕方がない。
これも仕事だと言い聞かせて頑張るとするか。
―― 小張バイク店裏自宅にて ――
さて、どこからとりかかろうか?
店舗はゴミ虫が一人で片づけをしている。
奥方はどうやら台所か。
そして娘は……二階の自室か?
ふむ。
となれば我輩は座敷から始めるとするか。
まずは雪見窓のある障子を乾拭きしてやろう。
……我輩の前足を使って。
{ビリリリッ!}
あっ!
思わず爪を出してしまった、
まあ、多少の事は仕方がないな。
こんな調子で南向き全ての障子を掃除。
爪跡で雪見窓が増えたのはご愛嬌ということで。
しかも相当に……。
次は襖の番。
これも障子と同じように……
{ガリリリリリッ!}
おっと!
上の方を拭くためにジャンプしたら破れた!
まてよ?
飛び跳ねるから引っ掻いてしまうのでは?
ならば最初から爪を刺して登ればいいのではないか?
早速試してみることに。
裏側はベニヤ板らしく、よく爪の刺さること。
新発見だなこれは。
超簡単ではないか?
天才とは我輩の事だな全く!
襖を穴だらけにして大満足の我輩。
あれ?
そもそも何のために爪を刺したのだ?
……まあいっか!
今日のところは帰ると……ムム!?
なんだこれは?
それは座敷の一角を占有した真っ黒な木の箱。
所々に金色の装飾が施されている。
まさか国宝級の重要文化財か!?
歴女ならぬ歴猫の我輩。
ワクワクが止まらなくなり、つい前足を触れてしまう。
{ギイィィッ……}
あっ!
扉が開いた!
まさか異世界への道か!?
いや違う!
これは……エルドラド!
そこには黄金で彩られた数々の小物や彫像物などがズラリと並んでいた。
中心部分には小さなポートレートへと写る一人の人物が。
もしや王では?
となればここは王家の墓か!
我輩は現在のハワードカーターだ!
イヤッホウゥゥゥゥ!
その後、小張家に泥棒が入ったと町では大騒ぎに。
不思議なことに盗まれたのは仏壇の中にある品々だったという。
ところが!
それらは公園の川べりにある草むらや八百屋の縁の下で次々と発見。
奇しくも人の亡くなった場所付近に供えられていたそうな。
神の降臨だと唱える者もいれば、ご先祖様のお怒りと騒ぐものも現れる始末。
最悪を考え、新年早々町では盛大に死者を祭る催しが開催されたという……。




