吾輩は門松が結構好きかもである。
商店街の店先におかしなものが並び始めた。
極太の竹槍を縄で縛った飾り物だ。
三河家でもこの時期になると玄関の扉上に首吊り用のロープが施される。
もしかするとアレに関係があるのか?
しかも店の規模により大きさはまちまち。
必ずしも大きな店や会社に大きい飾り竹槍がある訳でもない。
謎である。
とりあえず、八百屋にある一際大きなヤツで爪を研ぐとするか。
こうやってっと……
{バリバリバリバリ!}
ふぅ。
まあこんなものか。
思いのほか気持ちいいな。
特に竹部分を引っ掻いた時にできる傷がまた芸術的ではないか。
こうしてみると、クマの気持ちも分からないでもないな。
お!
よく見ると肉屋や魚屋、そして向こうのすし屋やウナギ屋と、他にも色々ある!
こうなれば全部ガリガリにしてやれ!
忙しくなるぞ!
こうして次から次へと引っ掻き回す我輩。
途中、回転ずし屋辺りからニャン吉などの野良も合流。
その暴れ方は壮絶を極めた。
一軒一軒丁寧に引っ掻き回す我輩率いる猫軍団。
ここでパン屋前にある小さな飾り竹槍を発見。
不思議に思い、改めて周りを見回した。
そこで我輩はある発見をする。
どうやら南蛮の息がかかった店にはあまり大きな飾り竹槍がないらしい。
あってもこのパン屋の様に頗る小さい。
少し前の杉飾りと全くの逆。
あの時は和装色の強い店が肩をすぼめていた。
今回もそれに似ているようで少し違う気もする。
根性悪の店主がいる場所ほど大きなヤツが置いてあるのだ。
まさかとは思うが虚勢の張り合いか?
となれば見栄っ張り程大きな飾りを出しているのか?
つまり、この商店街で一番大きな飾り竹槍を置く店が一番見掛け倒しか?
ムーッフッフッフ……あっ!
そんな訳で、より大きな飾り竹槍を探す為に商店街を徘徊する猫衆。
遂にはその範囲を商店街近辺にまで伸ばしていた。
そして……
皆の者、見て見ろ!
あれが一番大きいぞ!
間違いない!
外れにある白黒パンダカーの複数並ぶ大きなビル正面にある店でソレを発見。
士気も高まり爆発寸前の猫兵士たち!
ニャン吉はその手綱を解いた!
あの”楽器屋„前にある竹槍飾りを猫色に染めてやれ!
かかれぇぇぇぇぇぇっ!
その”楽器屋„は和風のギターを専門に扱う場所だった。
店の主人は不思議と猫の扱いにとても長けており、次々捉えられていく猫達。
ものの数分で全てが捕獲されてしまった。
暫くして正面の建物からワラワラと人間が出てきて、半数の猫が彼等の手に。
どうやら猫達を”保健所„とかへ連れて行くのだとか。
まあ、研究材料にされることはあっても殺されるようなことはないであろう。
数日後、”楽器屋„に新しい和風ギターが並べられた。
そのボディの模様はどういうワケか、ニャン吉にそっくりだったそうな。
え?
我輩はどうなったかって?
探しに行く前の時点でパン屋の娘へと捕まってしまい、暫く相手をさせられた。
おかげで事なきを得たって訳だ。
すまんな皆よ。
キサマ等の分まで我輩は強く生きると誓うぞ!
こうして正月を前に、商店街から半数以上の猫が姿を消したのだった。




