吾輩は新大陸に立つのである。④
この街に来て既に一週間。
いつになったら帰る事が出来るのだろうか?
前回の大騒動に懲りたのか、小織殿は単独で買い物へ。
一匹で何でもできる我輩を過信してか置いてけぼりに。
そんな訳で寂しいながらも一人街を徘徊。
外に出てふと気づいたことがある。
黄色の看板、若しくは赤色の看板を掲げた小さな掘っ立て小屋への人だかり。
彼等は一様に上部へと備えられたテレビを見ているのだ。
画面の中を次々流れていく文字に目が追い付かない我輩。
仮に追いついても見えないのだがな。
すると、ある一人の金髪天パーが掘っ立て小屋の人員から何かを貰った!
この少し細めの丸太について行けばこの小屋が何の施設か分かるかも!
そう思った我輩は早速天パーの丸太を尾行開始。
こんな時猫足は最大の武器となる。
ムッハッハ!
ここはとある建物の中。
薄暗くてあり得ない程にデカい。
そして我輩が今いるのは地上から相当離れた場所にある席。
下を覗くと一階の中央には舞台と呼ばれるものがある。
ここでピンときた!
これはショー観戦だなと。
となればさっきの場所はチケット販売所?
この異様ともいえる雰囲気の中、順次席が埋まってゆく。
となれば相当人気のあるショーに違いない!
もしかすると空手家とグリズリーの戦いでもやるのでは?
それともバーレスクショーか!
なぜそんな言葉を知ってるかって?
いや、さっき受付がそのような言葉を口走っていた気が……
よく意味は分からないけど……
け、けっして我輩は今、にやけてなどおらぬぞ!
{スドン!}
あっ!
照明が落ちた!
いよいよなにか始まるのか?
― 開始から数十分 ―
どうやら奇術ショーらしい。
残念な事に我輩の席からは詳細が分からない。
遠すぎる!
おろ?
今度は白い虎が出て来た!
生意気にも我輩を睨んでいる!
(ような気がする)
ここは負けじと最前列の縁に上り威嚇!
猫背を更に和弓の如く曲げ、全体毛スタンダップ!
「フシャアァァァァァァァァーーーーーーーッ!」
― そして ―
調子に乗りすぎたんだな。
いくらヤツ調教されて大人しいとはいえ、それは対人間の事。
我輩みたいな小物からバカにされればそりゃ腹も立っただろう。
ここは一つ、敢えて言わせて貰おうか。
ごめんニャさいと!
この日、マジックショーでホワイトタイガーが人間を襲う大事件発生!
錯乱しながら次々会場の人間を噛んだり引っかいたりとの大暴走!
関係者の話によれば、ある一匹の猫を見た途端に虎が暴れ出したという。
それが野良なのか、ペットなのかは舞台から遠すぎて確認できなかったそうな。




