吾輩は芸術家である。
ニャゴロー画伯は今日も行く。
芸術とはこうあるものと説いて回る今日この頃。
最近ゴミ虫が車を購入した。
箱型のバンで、仕事兼用のようだ。
時折後部荷台にバイクを載せて何処かへ出かけて行く。
今日は出番がないらしく、車庫へと納められている。
完全防備の車庫。
至る所にカメラが仕掛けられ、蟻一匹入る隙間もない。
しかも出入り用シャッターのみで、窓一つ見当たらない完全密室状態。
余程この車が大事と見える。
しかし我輩を侮るべからず。
シャッターとコンクリの床にピンポン玉程の石ころを仕掛けておいた。
思った通り、そこには隙間が。
フフフ、猫の頭蓋骨の小ささを舐めるなよ?
これだけの隙間があれば侵入など余裕よヨユー!
そんな訳で侵入。
多少砂だらけになったものの、簡単に中へと入ることが出来た。
しかし油断してはならない!
カメラがあるのだ!
先ずは死角となる壁際を移動。
柱を伝って少し上にある箱へ。
ふう、到着。
この箱をそーっと開けてと・・・
そこには数個のスイッチが並んでいる。
以前三河家が雷で停電したとき、御屋形様が同じような箱を弄っていた。
するとあら不思議!
家中の電気が灯ったではないか!
となればだ、その逆もあるだろう。
ここ数日散歩のフリして車庫を観察していた我輩。
昨日遂にそのありかを発見。
一晩経過した今日に実行へと移したワケである。
カチカチカチーっとな。
お、カメラについている赤いランプが全部消えおった!
シメシメ~っと。
猫の特技、軽業でポンポンポーンと瞬く間に車の前へ。
先ずはぐるりと一周して様子を伺う。
真っ黒だな。
チンピラか葬儀屋しかこんな色を好まないはず。
ゴミ虫は何を考えているのだ?
そんな訳で、なぜか近くに置いてあるペンキの缶をひっくり返す。
我輩の好きな黄色がドロドロとコンクリの床一面を覆った。
その上をペタぺたーっと。
そして今度は車にペタペタ―っと。
魂を注ぎ込む事五時間半!
黒いキャンパスに黄色の芸術で埋まって行く!
ポップアートのドット絵ををも彷彿とさせる肉球アート!
今ここに偉大なる作品が完成を迎える!
これこそ芸術だ!
我輩を敬え愚民どもめがっ!
暫し完成作品に見とれていた我輩。
ここで大事件が!
・・・。
油断があったんだな。
まさかこんなことになるとは・・・。
調子に乗って全ての足にペンキをつけた我輩。
一か所へと留まる事に依り、完全に乾いて床に肉球が張り付いてしまった。
最早どうすることも出来ず、助けを待つのみの状態。
ハアアアァァァァ~~~。
数時間後、固まった状態の我輩はゴミ虫に発見され、助け出されることに。
ペンキと思っていたのは速乾ボンドで、至る所がバキバキになった我輩。
その間抜けな姿に怒る気も失せたと、この後ゴミ虫は御屋形様へ伝えた。
その手には刃こぼれして切れ味最悪なバリカンを持って・・・。




