吾輩は秋と戦うのである。⑤
食欲の秋。
どれだけ食べても底なしの胃袋にホトホト嫌気がさす。
収入の殆どを食に費やす人間も多いと聞くこの季節。
我輩の仲間とて例外ではない。
労働の対価は、基本食料なのだから。
それでも働いている奴はまだ許せる。
腹立たしいのはおかしな服を着せられたデブ猫。
ヤツ等は100%飼い猫で、金持ちの家に寄生しているからだ!
この際ハッキリ言おう!
完全嫉妬である!
同じ飼い猫でも我輩はあんなに太る事が出来ない。
なぜなら拷問や実験と言う名の単純労働でカロリーを極端に消費しているから。
いや、させられていると言ったほうが正しいのか?
そのせいか、下手な野良より体力や抵抗力はあるぞ?
それでもお腹は弱いのだが・・・。
よって、三河家の食事だけでは足りないのを知ってほしい。
つまりは追加でカロリーを補う事が必要と言うワケ。
だからサイドビジネスの『猫使い』を止めることが出来ないでいる。
町の猫達を口車に乗せ、商店街の店から食材ハントをする仕事が必要なのだ。
モアカロリー!
モアフーズ!
だからこそニャン吉を使うのだ!
ニャン太郎に頼るのだ!
え?
自分でやれって?
それでは可愛いい我輩の身体が傷ついてしまうではないか?
汚れ役など、あの小汚いヤツ等で充分。
わざわざ代表である我輩がする事ではないわ!
これが世の中に於ける法人の仕組みであろう?
時々店主に掴まるヤツがいるが、生きているのが辛い程の拷問を受けるのだぞ?
それこそ野良の仕事だろうに。
そんな訳で早速今日も仕事に取り掛かる。
公園食堂に集まった猫達に手際よく采配を。
今日の現場は『魚屋』だ!
脂の乗ったサンマを食べて、たっぷり脂肪を纏おうと言うワケだ!
それで冬を乗り切ろうと全猫に力説を!
ビバ食欲の秋!
「ニャニャンニャアーーーーッ!!!」
全員士気も高まり、いざ出陣!
狙うは敵の大将”プリプリに太ったサンマ”のみ!
いざ出陣!
次の日魚屋には、起毛のある猫柄の雑巾が複数増えていたそうな。
勿論、白黒ツートンのアレも・・・。




