第十五話 暴走
夢から目覚める。起きた司の姿は寝る前よりかなり変化していた。深紅の瞳、グレー、いや、白銀の髪。そして、右腕には竜の翼のような痣が。だが、鏡のない司はほとんど気づくことはなかった。気づいたのは翼の痣くらいのものだ。そして、その傷を見てMenaceが眠ってしまったことを悟る。
「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
少し放心していた司を魔物が見つける。姿はサーベルタイガーに近いか。
「…。ちょうどいいな。Show me, my own moves…!」
司はMenaceの持っていた竜の力を全開放する。気づけば黒だった魔力色は雪のような白銀に代わっていた。Menaceが取り込んでいた銀竜の力の影響だろう。力を解放した司の背後には白銀の魔方陣が背後に現れ、そこから竜が飛び出す。司の元々の魔力色のせいか、それとも司に取り込まれていたレッドドラゴンの奇妙なブレスの力が強いのであろうか。竜は黒色だった。
竜が司の体へ飛び込むと竜鱗と同じ強度の衣服に包まれ、Menaceに酷似した姿になる。あえてMenaceとの相違点を上げるとするならば、仮面の有無くらいである。
「…UAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
司から上がった理性のない声に魔物が一瞬怯む。
頭に靄がかかっていく感覚に抗いながら司は思い出す。“Menaceは暴走まであと一歩だといっていた”な、と。
抵抗むなしく、司自身の感覚はおち、そして司の姿をした化け物が君臨する。
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