第十四話 夢充夜
どこかふわふわとした感覚を味わいながら自分の前に現れた“Phantom Menace”と対峙する司。
「Menace…?」
「マスター。私はそろそろ必要ないでしょう。私の力、そしてこの力に秘められた記憶、それらすべてお渡しします。」
「おい!?どういうことだよ!?なんでだよ!?俺にお前は必要だ!?」
「わかってますよ。でも、ダメなんです…。」
「わかってるならなんで…!?」
「レッドドラゴンの黒のブレスを取り込んで私ができたのはご存知ですよね…?それが原因です。どうにもあれは選んだ存在のみに作用し、ここへ連れてきてある程度の強化をするといったもののようなのです。ここへ飛ばす時、そして強化する際にその者を試す、いわば二段階審査があるのですよね。それをあのドラゴンに仕込んだのはわかかりし頃の個々の主だったようです。マスターはどちらにおいても精神的にクリアしていました。ただ身体的には耐えきれるものではなかっただから私が引き受ける形になりました。でも今はもう違います。黒をお返しします。」
「なあ、黒を俺に返したらお前はどうなる…?」
「消えます。」
「そんな。だったらなんで…!!!」
Menaceの雰囲気がすべて変わってしまう。
「このままだと私は暴走してしまうんですよ!!!!あなたを!!マスターを!!確実に殺す!!!」
「…なら…」
司は出かけた言葉を何とか飲み込む。その時、Menaceは気づいた。自分がどれだけ司の心の支えになっていたのか。いつ死ぬかわからない状況で不安なわけがない。いくら元の世界に帰るという強い意志があっても、また親友二人に会うという強い意志があっても、恋焦がれる人にもう一度会うという強い意志があってもいつか折れてしまう。それを支えていたが自分だった、と。Menaceは気づいた。そして赤い左目から雫を垂らした。だが、いや、だからこそMenaceは司の手を握る。そして自分を司の体に溶け込ませていく。
「Menace!?」
「マスター。あなたは生きなければならない。私にはわかります。あなたには帰る場所がある。そしてあなたを待っている人がいる。私の帰る場所はマスターあなたの中です。」
マスクの下で満ち足りた顔をするMenaceだったが司はそんなもの分かりっこない。
「それに、私も消えるのは嫌ですから。一縷の可能性に賭けてみます。ではマスターまたいつか私が目覚めるまで。おやすみなさい。」
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