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救世主症候群シリーズ解説文置き場  作者: 秋犬
【絶望ノワール2】救世主症候群・全容編【閲覧注意】
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叛逆編あらすじと解説文

〇「叛逆編」あらすじ


 ザミテスへの復讐を遂げたティロは、やはりクラドも自分の手で殺すべきだと考え直して急遽ひとりでリィアの首都へ向かうことにする。道中リオから呼ばれたと思われるノットに遭遇し、交戦する。ノットは謹慎処分になったティロのことを責めるが、ティロの持っていたクライオ産の痛み止めに目が眩みティロに転がされる。


 リィアの首都に戻ってきたティロはシャイアの元を尋ね、今から自分が軍本部に乗り込むから作戦の内容を変えるよう迫る。突然現れた男をシャイアは不気味に思い、追い払う。面白くないティロが路上でくだを巻いていると、ゼノスが現れた。驚いたティロは激昂し、本心ではないがゼノスに酷い言葉を投げかけ追い払ってしまう。ゼノスが去った後、深く後悔したティロは自分だけで軍本部に乗り込み、クラドを殺害する決意を固める。


 深夜に上級騎士の隊服を着て軍本部に戻ったティロは、クラド宛てに届けられた油をあちこちに設置して、その上でクラドの執務屋へ向かう。ティロは反リィア勢力の掃討作戦の立案をしていたクラドに油をかけ、素直に詫びればひと思いに殺してやるとクラドに迫る。クラドはティロ個人を認識しておらず、十六年前の凶行すら覚えていなかった。あきれ果てたティロはクラドに火をつけ、執務室のある棟は炎上した。更にティロの配置した油の缶によって火はリィア軍本部全体を飲み込んだ。


 クラドの執務室から脱出したティロは、上級騎士の宿舎の裏でリストロと再会する。リストロはティロとクラドのやりとりを聞いてしまい、リィアの裏切り者であるティロをここで斬らなければいけないという。やりきれなさを感じながら、ティロは応戦しリストロを斬る。予定外の殺人に後悔するティロは素面でいられなくなり、残してあった興奮剤を口にする。興奮剤の作用で思考が極端になったティロは、親衛隊と勝負すれば自分が一番強いことを証明できると王宮に走り去る。


 王宮で親衛隊員たちを撃破したティロは、リィア最強と名高いリード・シクティスと対峙する。リードとの戦いに勝ったティロは、リードから「代わりに王子たちを守ってほしい」と頼まれる。かつての血が騒ぐティロの前に、リィア王家の王子二名が現れた。ティロが一緒に逃げることを提案するが、兄のセイムは弟のフォルスだけを連れていってくれと頼む。セイムの意志が固いことを知り、ティロはフォルスのみを抱えて王宮を脱出する。


 リィアの首都を脱出したティロとフォルスは、互いに「レキ・ラブル」「キオン・スキロス」という偽名をつけて呼び合うことにした。ティロ改めレキは国外逃亡するためにコール村を目指した。山道を無視して険しい山を超え、門番のターリーをやり込めるとレキはキオンと共に国境を越え、追っ手から逃れることが出来た。もうリィアの上級騎士ではなくなったレキは首から「ティロ・キアン」の認識票を外すと深い谷に投げ捨てる。そしてこれからキオンと二人で続ける逃亡劇に思いを馳せるのであった。


○キャラ動向


ティロ/レキ


 逆ギレに次ぐ逆ギレにより、ついに名前がまた変わってしまった主人公。この章のまとめでは面倒なのでとりあえず「ティロ」で統一しますが、次回からは「レキ」になります。今回は「ノット戦」「シャイアに追い出される」「ゼノスに逆ギレ」「クラド殺害」「リストロ戦」「王宮突入」「親衛隊、リード戦」「フォルスを攫う」「国外逃亡」とめちゃくちゃ忙しいのですが、前回本望を達成して「もうこれきりだ」と死ぬつもりだったので仕方ないですね。


ゼノス


 事件編では「シャイアに頼まれてティロの様子を探りに行った」とありましたが、ティロ視点で見ると何故現れたのかさっぱりわからないですね。ここだけ見ると確かに説教だけしに現れたように見えます。探求編と合わせて読むとかなり無念を感じる内容であります。


フォルス/キオン


 事件編以来の久しぶりの王子様。事件編で残された「彼が本当に伝えたかったこと」とは何なのかがこれからじっくり明らかになっていくわけなのですが、彼は彼でなかなか不自然な人物であることは探求編と有明編などから察することが出来ると思います。全容編はあくまでもティロ視点で進んでいくのでどうぞご容赦ください。


ノット


 特務で一番の手練れ。真っ当に勝負をしたら流石のティロでも無事では済まないレベルの人物ですが、唯一の弱点を知っているティロによってかなり悔しい負け方をします。作中強い人物ランキングを考えたとき、ティロとリードが同格で、そこでやり合えるのはノットということになっています。


シャイア


 反リィア勢力のリーダー。本格的な登場は全容編だと初めてですが、以前ライラと親密に歩いていたのをティロが目撃しています。彼も彼で何かを隠している感じがしますが、それがわかるのはずっと後です。


クラド


 今作の悪の総大将なのですが、いかんせん彼自身もかなり受け身でなあなあで過ごしてきてしまっているところがありました。悪というのは能動的に生まれるのではなく、何だかその場の勢いで発生しているのではないかという話ですね。彼とザミテスの関係は割と気に入っています。


リストロ


 作者の贔屓キャラですが、彼は最初からここでこうなる運命でした。この作品においてかなりの常識人で一般的な価値観がある上に、非常に誠実な男です。本当にいい奴なんですよ彼は。いい奴すぎて、こうなるしかなかったんです。本来とってもいい奴であるはずのティロは早い段階で「いい奴」を捨てたから生き残った。そんなコントラストです。


リード


 リィア最強の剣士、だった男。名前だけ何度か登場していましたが、実際に登場するのはここだけです。何故彼がほぼ初見でしかもツッコミどころしかない状況でも急にティロに惚れたのかというのは、シャスタやノット、ゼノスやリストロがティロに肩入れしたりかなりぞっこんになったのと理屈が一緒です。つまり奴はそういう奴なんですが、イマイチ本人がわかっていないのが怖いところです。この勝負はこういう結末になりましたが、ティロはドーピングしているので試合形式で純粋な勝負になると多分リードが勝ちます。それは本人もよくわかっていると思います。


○内容説明


《第1話》


「ミル兄もフィオ姉も、生きていれば今頃何をしていたんだろうな」

→みんな忘れていると思いますが、彼には家族同然に暮らしていた従兄弟がおりましてまだ幼かった彼らが処刑されたことも彼のトラウマのひとつになっています。姉さんが強烈すぎてあまり印象にならなかったのですが、末っ子ジェイド少年はこの二人によく可愛がられておりました。ついでにアルセイドの兄さん姉さんたちからも、やはりアルセイドと同等の末っ子として可愛がられておりました。そしてこのタイミングでシェールのことを思い出しますが、彼は完全に兄貴体質なところも二人の相違点であります。



「どこかでくたばってるんじゃないか」

→ティロが失踪したところで、リィア軍としては「勝手にどこかで死んでるのでは」という推測が一番最初に立てられるのは日頃の行いだと思われます。特に錯乱して「殺してくれ」と泣き喚いているところを見ているラディオなら、そうとしか思えないと思います。まさか反リィアとして元気に亡命して誘拐までやってるなんて、誰も考えないでしょう……。



「剣技を極める者、申し込まれた試合から逃げるな」

→基本的にノリで生きているので割と平気でこういうことを言う。多分爺さんはこんなこと、言っていないと思うんだな……。



「ノットの薬物依存」

→元々彼はほぼ捨て置かれたような育ちで、家に置いてあった薬に手を出してそこからどんどん転がり落ちて行ったので、似たような境遇(だと思っている)ティロに余計共感していたところがあります。そして書けるものではないですが、予備隊を出て特務に上がってから彼は何度か既にやらかしています。そんな自分が嫌でストイックになり、自分で自分を追い詰めてまたやらかす。まるで誰かに似ているのですが、彼は「特務になっていたかもしれないティロ」の鏡キャラであります。



「クライオ産の、最新式の痛み止め」

→つまるところ、ヘロインのようなものです。あくまでも「ようなもの」なので、実際のヘロインとは多分違うと思います。実際にはアヘン、モルヒネ、ヘロインとランクアップしていくのですが、この世界だと「経口摂取(アヘン相当)」→「非経口摂取(モルヒネ相当)」→「最新の痛み止め(ヘロイン相当)」と単純化しています。



「噂通りだ。よかったぞ」

→謀略編でもその手腕が遺憾なく発揮されていましたが、彼はそのような勧誘が非常に上手いです。この辺は一般兵時代に辛酸を舐めた経験からなのですが、実際にどんな酷い話があったのかはあまり考えてないですし、書いてもきっと面白くないのでこの辺のエピソードが書かれる日は多分ないでしょう。



「何故かノットはティロから目を反らした」

→懸命な方なら「何故ノットがこっそり単騎でやってきたのか」という疑問が出ると思います。その理由は第三部で明かされる予定なのですが、十分推測は立てられます。何ででしょうね(目を反らしながら)。



「そうだ、これで酔っ払いが倒れている、と見せかけて……」

→この後、反乱編で謎の行き倒れとしてノットが発見されることになります。このやり取りの後、あの状況に放り出されたノットが「訳がわからねえ」と連発するのは無理のないことだと思います。



「強烈な疲労」

→普段ノンストップで動いているので急に眠くなるのはどうしたわけか、となるのですが昨夜ザミテスとレリミアを何とかした後なので、流石にいろいろ反動はあるだろうという判断です。起こしてくれた誰かは気の毒です。



《第2話》


「でも何で、ダイア・ラコスはあそこまで革命派を取り締まったんだろう」

→今のところあまり話題になりませんが、この作品の多くの悲劇の原因はこのダイア・ラコスの執拗な弾圧からやってきています。その辺については、ダイア・ラコスを直接知る人物から後で聞くことができます。この辺の事情は、実はティロも全く無関係ではなかったりします。



「やっぱり面が割れていたか」

→普段はあまり話題になりませんが、彼は国一番の美人の息子なので異様に顔立ちが整っています。つまりは何もしていなくても目立つ顔をしています。そういうわけで、覚えられていても致し方ないです。



「……貴様は正気か?」

→一応ティロ視点で話が展開されるのでわかりにくいのですが、話している内容から彼の目がガンギマリで「ああ、こいつイっちゃってるな」っていうのがわかってもらえると嬉しいです。その場にいる一同はみんなドン引きしています。



「畜生、誰のおかげで反乱が出来ると思ってるんだ!?」

→この辺に関して、ティロは「自分が発起人ライラをけしかけたから」だと強く思っています。そしてそれは間違いではないのですが、復讐編でのシャスタの指摘通りこの辺に関しては謎が多く残る部分でもあります。この話にはまだまだ隠された何かがあるのです……。



「何故目の前にゼノスがいるのか」

→探求編でゼノスからは「シャイアに頼まれて探した」という説明があった通りです。ただ、非常に最悪のタイミングであったために最悪な結果になってしまったというところです。



「……どうしよう、またやっちゃった」

→この機嫌の悪いときの異様な逆ギレについて、ライラとリストロにそれぞれやってしまっています。リストロはドン引きしてかなり距離を取りましたが、ライラは何度かされているはずなのに何故か彼を好いているらしいのです。



《第3話》


「油の缶」

→この世界の単位はよくわかりませんが、一斗缶くらいの大きさの缶が十数個積まれていると思います。油の種類に関してはおそらく灯油なので、灯油がそのくらいあったら爆発して大変なことになるでしょうね……。



「クラド・フレビス」

→実は本作で明確に「悪役」として意識的に設定したのは、ティロの物語に関してはクラドだけです。あくまでもザミテスは凡人であったけれどクラドの負のカリスマに引きずられた、というのがこの顛末です。



「見た目は線が細く柔和そうに見えるダイア・ラコス」

→革命狩りの元凶であるダイア・ラコスですが彼自身は直接物語に登場することは多分ありません。ただ語られる印象だけで豪快さが伝わるデイノ・カランと対照的に彼は線の細い優男であるようです。そんな彼が何故、どうやって革命狩りなんかをやったのかというのは、そのうちわかるかもしれません。



「彼の息子のヴァシロ」

→ヴァシロに関しては反乱編でただ処刑されるだけのシーンしかないのですが、彼もかなり数奇な運命を送っています。しかしこれはヴァシロ本人のエピソードよりも、この後展開される予定のオルド王家の御家騒動のほうが「王族、リーダーとして生まれた者の悲哀」という意味では何倍も強烈なのでヴァシロの話は多分この後展開されるフォルスの回想とナレーションで終わると思います。残念。



「夜中に避難所を抜け出したこそ泥を成敗したり」

→これは割とビビる話なのですが、クラドは例の件を「やんちゃその1」くらいで片付けていました。何にしろ実際に手を下したのはゾステロとザミテスなので、何かあっても彼らのせいになると思ったのでしょう。なるわけないんですけどね。



「気がついたらいなくなっていたキアン姓」

→とりわけクラドの付近のリィア軍幹部は大抵強力なバックボーンがあるので、吹けば飛ぶようなキアン姓などは基本的に問題にしていません。クラドは自分の地位が脅かされることを一番問題にしていたので、彼が反抗的な立場に寝返るなどということはあまり考えていなかったのでしょう。



「悪いのはゾステロとザミテスだ、俺はあいつらに言われたままにしただけだ」

→ゾステロとザミテスは、二人とも最後には「許してくれ」と罪を認めました。しかしクラドだけは罪を認めないどころか逆ギレをしてくる救いようのない状況でした。こいつは報われる必要一切なしのクズということで遠慮なくやってしまっていいです。



「貴様、キアン姓のくせに」

→クラドは最後までティロ・キアンという個人名を覚えませんでした。更に彼の言葉を一切聞き入れるつもりもありませんでした。元々誰かに真剣に話を聞いてもらう機会があまりなかったクラドだったので、ザミテスがもう少ししっかり彼を諫めていれば、こんなことは起こらなかったのかもしれないですね……。



《第4話》


「彼を斬るのは全く予定にないことであった」

→リストロは最初のコンプレックスと、最後のここに配置するために作られたキャラクターでした。当初のプロットではもっと正論ウザい君だったので「ざまぁ」要素がありましたが、思いのほかめっちゃいい奴になってしまったので全部悪いのはティロになりました。まったく、しょうがない奴ですね。



「悪者の自分が正義の上級騎士に討たれる」

→ティロは少なくとも、自分が悪者である自覚は十分にあります。その自覚が芽生えたのは、復讐を始めたとき辺りからだと思われます。それ以前は「仕方ないことをした」と思ってきましたが、リニアを陥落させる辺りで「悪いこと楽しい」って変なスイッチが入ったのでしょう。



「防刃具」

→非常に面倒くさいのでこの人たちがどんな防具をつけているのかをほとんど書いていないのですが、腹や肩に何か仕込んでるくらいのふわっとした感覚でいてください。没案として、トリアス山ではみんなしっかり甲冑を着けているけれどガチのゲリラ戦を行うティロだけは手甲だけで全部防御して戦ってくるというろくでもない戦い方をするというものがありました。



「できれば、君は生きていてほしい」

→何故リストロが今際の際までこんなことを言うのかというのは、ただの主人公補正ではなくティロが「そういうもの」を持っているからという話になります。剣都編でサロスがビビっていたものが遺憾なく開花した結果です。この毒気にやられた被害者が他にもたくさんいますので、是非探してみてください。



「リニアに与えるときに少しだけ手元に置いた興奮剤」

→何故あそこで少し取っておいたのかというのはただの貧乏性以外の理由はないのですが、実はここに繋げるためのロングパスでもありました。ただでさえ弱っているところに思考が全て先鋭化してしまえば、そのあとの行動はある程度仕方ないものかと思います。



「身体が尖って空に浮くような気分」

→これは作者の経験ですが、薬の副作用で如何にもな「覚醒剤」の効き目がモロに出たことがありました。頭の中が二つに分解されたような感じになり、空腹を感じなくなって眠気もなくなりました。副作用ゆえに多幸感というものはありませんでしたが、ただ「これが疲れない薬の正体か」とすごく気味悪かったのを覚えています。寝なくていい薬なら、どこぞの軍隊ではありませんが多分これ飲んで仕事(行軍)する人いるだろうなあと強く思いました。



「ティロの思考はどんどんあらぬ方向へ向かっていった」

→この辺の話は「ティロの中では筋が通っているけれど、だからと言ってこの後の行動は決して正解ではない」というのは留意しておきたいところです。これからの行動が薬のせいなのか本人の意志なのかは、微妙なところです。



「この俺が一番強いんだよ!!」

→この辺は単なる承認欲求では片付けられない、憎悪クラスの恨みがティロには積もり積もっています。特務になれず、トリアス山の活躍はなかったことにされ、更に上級騎士になってもキアン姓という立場で手放しで褒められない。現代日本風に言うと「怪物を生み出したのは不寛容な社会だった」みたいにまとめられないことも、多分ないです。



《第5話》


「引き続きの警戒を頼む!」

→たまに出てくる警備兵たちの挨拶ですが、これは反乱編のコール村が初出だと思います。実は「シャスタになんか気の利いたことを言わせよう」と思ったところからアドリブで生まれたものなので、ここまで引っ張ると感慨深いです。



「上級騎士の階級を生かして、首都の保安情報や機密の多くを横流しにしていた」

→復讐中にあまり書かれなかったシーンですが、ぶっちゃけこの情報を元にシャイアやフォンティーアたちが作戦を立案していったので、「黒幕=ティロ」と言われても本人は何とも言えない立場にあります。



「親衛隊員の剣をティロは左手一本で受け止めた」

→本来両手持ちの剣を想定していますが、親衛隊クラスの剣を片手で受け止めるというのは並大抵の技術では出来ないことだと思います。そしてその隙を突いて懐に入るのも簡単に出来る芸当ではないので、彼の普段の鍛錬(?)が実った結果なのでしょう。



「電灯なんて贅沢なモン使いやがって」

→この世界は大体19世紀末期くらいの文化レベルで書いていますので、電灯自体は存在しているけれどもまだ普及には至っていないという感じです。夜の灯りについては、庶民や普段遣いではガスや灯油のランプが使われているのがまだまだ普通です。



「でも俺の売った喧嘩で負けたくない!」

→過去にもコール村でそんなことがありました(笑)。その時はコテンパンに叩きのめされたので、基本的に彼は「絶対に勝てる喧嘩」しか売り買いをしないはずだったのですが……コール村では寝ぼけて、そして今回は興奮剤のせい……やはり基本が狂犬なのでしょう。



「だからさ、あんたの後ろの部屋のガキどもだって平気でぶち殺せるぜ」

→これは単なる挑発ではなく、ティロの根源的な「親衛隊属性」が導いたリードを最短で怒らせる言葉です。つまり自分が言われて嫌な言葉を悪口にした、みたいなところがあります。



「剣技ってひとりじゃ出来ないんだよな」

→孤独な一般兵時代でティロが特に飢えていたのは「同等の勝負が出来る仲間」でした。鍛錬だけはずっと一人で続けてきたので、この辺の苦しみが誰よりも身に染みています。



「それは、お前が……俺だからだ!」

→最高に謎な返答ですが、彼の中では筋が通っていて、それがリードにも「剣技」を通して伝わってしまったので本人たちの中だけで完結してしまった最高に謎な言葉です。作者も書きながら「訳がわからない」「お前ら、それでいいのか?」と思っていました。



「一、剣を極める者、まず己の命を剣に預けるべし」

→ここから始まる剣術指南ですが、一応一から十まで設定だけはありました。唱和として使用されているのはここの十訓で、後は些末なことやティロのオリジナル言いがかりになります。



《第6話》


「多分、そっちには行けないから」

→この世界では宗教が存在を否定されてしまっているのですが、ぼんやりとした天国と地獄くらいの死後の世界の感覚は残っています。ティロは自分が天国に行けるわけがない、と明確に考えているようです。



「おい、そこの! お前は……何だ?」

→一応親衛隊間でも王家の中でも「上級騎士にキアン姓がいる」という認識はありましたが、その男が急にやってくるとは誰も思っていなかったようです。ティロが失踪したのはノットが話したとおり隠されていたので、知らなくても無理はないです。



「急病人のための早馬」

→救急車的な存在だと思われます。ぱっと見血まみれの子供を抱えた馬が走ってきたら、疑問を抱かず誰もが道を空けるでしょう。



「僕はあなたを何て呼べばいいんですか?」

→ティロとしては「どうやって国外逃亡しよう」で頭がいっぱいでしたが、フォルスからすれば「自分をさらったこの男は一体誰だろう」で頭がいっぱいでした。正体不明の男にさらわれるって、かなり怖いですよね?



「お前だって、今までの名前を名乗れなくなるんだからな」

→名前を無くすのが二回目の面構えが違う。フォルスはこのとき「どうしてこの状況にこの人はすぐ順応できるのだろう」という疑問を抱くべきでしたが、そんなこと考えている暇はありませんでした。



「あの子の本当の名前は一体何なんだろうな」

→発起人ライラの本来の素性に関しては今のところほぼ謎となっております。彼女が何を考えてあのような行為に至ったのかについてわかるのは、第三部まで持ち越しになります。何故なんですかねえ??



《第7話》


「キオンからはっきりそう呼ばれて、レキは急に嬉しくなった」

→いちいち書くとしつこくなるのであまり書いてきませんでしたが、彼は「ティロ」と呼ばれるたびに心の中で「でも俺ティロじゃないんだよな」と罪悪感を持っていました。これから名前を呼ばれてもそう感じなくていいのでここでは嬉しくなっていますが、「ティロ」の経緯を知らないとかなり変な人ですね。



「俺とお前は叔父と甥の関係で、お前は俺の姉にあたる母親が亡くなって」

→何故こんなことがスラっと出てくるのかと言えば、日頃姉で妄想していることの延長上にある話だからです。彼にとって架空の「姉の結婚相手」こそが最大の敵であり、架空の「姉の子供」こそが最大の救いなのですがそんなこと誰も知ったことではありません。ちなみに架空の姉の子供は大抵女の子で、姉そっくりです。



「いろいろあったんだよ。いいから、食え」

→三日食べない、というのは亡霊編で死にかけたのとロッカー事件で懲罰房に入れられる代わりの罰として食事抜きの経験ですが、ロッカー事件に関してはシャスタが途中で差し入れをくれたのでノーカンです。路上で死にかけた方はかなりのトラウマになっていて、それが「ティロ・キアン」という身分を捨てられなかった理由になっています。



「完全に盗むわけじゃない。別の馬を置いていくんだから、いいだろう?」

→現代で言うと、ガソリンのなくなったバイクを置いて違うバイクを盗んでいく感覚です。せっかく強盗は思い止まることができたのに、こういう盗みに対して一切の抵抗がないあたりに彼の倫理観がかなり歪んでしまっているのがよくわかります。



「いつでも道があると思ったら大間違いだぞ」

→本作におけるティロの最大の哲学。道がないところを潜っていくからこそ、達成感が半端なく気持ちがいい。常に裏道を歩いてきたティロの人生が詰まった言葉です。



「岩肌が剥き出しの斜面で、とうとうキオンは根を上げた」

→山登りする人ならわかると思うのですが、ここはかなり危険なルートです。予備隊で山に放り込まれたティロでなければ通れないルートを無理矢理山歩きもしたことがない子供に歩かせているので、本来はかなり無茶な話です。しかし、そうしないといけない事情もあるので彼を責めることはできません。



「キオンは自分が思っていた「村」よりもコール村が更に小さかったことに衝撃を受けた」

→根本的にお坊ちゃんなので、村と名の付くところには宿場とか商店があると思っていたようです。残念ですがコール村にはそんなものはありませんね!!



「ランプの下で夜番として座っていたのはターリーであった」

→実は反乱編のこのシーンを書いているときは、ターリーのキャラはありませんでした。モブその1くらいの感じでシャスタと会話させたのですが、コール村編を書いている時に作者の悪ふざけが生じて生まれたのがターリーです。ノムスは最初からチュートリアルキャラとして存在が確定していたのですが、ターリーはコール村から生えてきたキャラです。



「あばよ、ティロ・キアン」

→これにてティロ・キアンという人物は本人の呼び名としても決別して、事件編である通りシェールによって闇に葬られました。これからはレキ・ラブルとして彼は生きていくことになります。従って、次回のまとめからは彼の呼び名は「レキ」で、フォルスは「キオン」で統一します。第三部になったときもレキはレキですが、フォルスはどうなるかはその場のノリで決めます。フォルスは彼を「フォルス」として扱う存在がたくさんいるので……。

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