16. バンドワゴン効果・スノッブ効果
「桐原! 大変よ!」
私は教室に飛び込んだ。
「今度は何だ」
「この限定ジュース、今めちゃくちゃ流行ってるの! クラスの半分がもう飲んでるって!」
「それで?」
「私も飲まなきゃ!」
桐原はゆっくり瞬きをした。
「それはバンドワゴン効果だな」
「ばんどわごん?」
「〝みんながやっているから〟という理由で、自分も同じ行動を取ってしまう心理現象だ。多数派に乗る心理、とも言える」
「だって仲間外れは嫌じゃない!」
「人間は社会的動物だからな。流行や人気商品がさらに売れるのは、その効果が働いている」
「なるほど……」
確かに、流行って聞くだけで買ってみよう、試してみようはあるあるよね。だけど──
「逆に〝みんなが持ってるならいらない〟って思うこともあるわよ?」
「ある。それはスノッブ効果だ」
「スノッブ?」
桐原は頷いた。黒縁の眼鏡が光る。
「〝他人と同じは嫌だ〟〝希少だからこそ価値がある〟と感じる心理だ。少数派であること自体に魅力を感じる」
「私、両方あるかも……!」
「工藤は流行に乗りたがる一方で、〝自分だけの特別〟も欲しがるタイプだな」
私は手の中のジュースをじっと見つめた。
「じゃあ今このドリンクは、みんな飲んでるから飲みたい気持ちと、みんな飲んでるならやめとこって気持ちが戦ってるわけ?」
「その通り。バンドワゴンとスノッブの内戦だ」
「私の中で戦争起きてる!」
私の言葉に、桐原の口元が上がる。
珍しい、笑ってくれた!
「みんなと一緒がいいか、自分だけの特別がいいかってことね」
「平たく言えば、そうだ」
そう言われて、私はふっと思った。
もしも桐原が、クラスのみんなと仲良くしてたら……みんなに慕われて、いろんな効果を説明してたりしたら。
……やだ。
「工藤?」
「私は……自分だけ特別の方がいいわ」
「なんだ、いきなり」
桐原は眉を顰めて首を傾げてる。
私はジュースを桐原に差し出した。
「だからあげるわ! スノッブ効果よ!」
「買ってる時点ですでにバンドワゴン効果なんだが」
そう言いながらも、桐原は受け取ってくれた。
わかってないなぁ。こうしてジュースをあげるのは、桐原にだけ。
私にとってのスノッブ効果なんだからね?
ーーー♡あやかメモ♡ーーー
*バンドワゴン効果*
「みんながやっているから」という理由で、自分も同じ行動を取る心理現象。流行が広がる理由のひとつ!
*スノッブ効果*
「他人と同じは嫌」「希少だから価値を感じる」と思う心理。限定品や少数派に惹かれるのはこれかも。
人は〝みんなと一緒〟も〝自分だけ〟も、どっちも欲しくなる生き物なんだって。
ちなみに私は──
桐原の中での特別枠になれたらいいな⭐︎
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