和解
そんなにも意外か? 俺たちの中で団長になりたいやつなんて一人もいないぞ? なんていうか空気感の違いを感じる、こいつらが俺たちのことを知らないように俺もこいつらのこと全然分かってないな。
そこでヘリのプロペラ音と強風が屋上に吹き荒れた。
「社長! 無事ですか!?」
アメリアが飛び降りる。俺たちに駆け寄ると腰から拳銃を抜き構えてきた。
「社長を放してください、お願いします。要求なら出来るだけ聞きますから」
構えはしっかりしてる。素人じゃないな。でもその目にはまるっきり敵意がない。
この人を救いたい、そんな純粋な瞳だ。人間らしい、いい目をしていた。
「虫がいいのは分かってます。ですが!」
「分かってるよ、なにも言ってないだろ?」
俺はシンクロスを退かし形も消した。俺だって戦いたくて戦ったわけじゃない。
「まったく、どいつもこいつもピリピリし過ぎなんだよ。平和的に話し合おうって発想ないのかあんたらは」
俺があっさり引き下がったことでアメリアは唖然としている。銃口は力なく下がり、はあとつぶやく。
シンクロスがなくなったことでモニカが立ち上がる。
「セブンスソードは本当に終わってるらしい。こいつのスパーダはすでに完成してるよ」
「そんな馬鹿な。嘘ですよね? だって他のスパーダは」
「それと団長になる気もないらしい」
「え!?」
やっぱり俺たちが団長になるためにセブンスソードをしているって認識なんだな。
モニカはアメリアの横に立ち彼女も拳銃を締まっている。どういうことなのか動揺しているアメリアの傍らモニカは落ち着いている。彼女は俺に向き直った。
「大きな誤解があったようだ、社を代表して謝罪する。すまなかった」
「ま、受け入れない理由はないな」
謝る時まで偉そうな女の子だ、まあこういう性格なんだろう。とりあえず分かってくれたならいい。
「団長になる気はないって、ではなにが目的なんですか?」
アメリアからの純粋な問い。これほどの力をなにに使うつもりなのか、彼女だけでなくモニカも視線で問いかける。
その質問に今一度考える。なんて言えばいいのかな、言っても信じてもらえないかもしれない。
けれどここで隠したり誤魔化したりしてどうする? むしろ知ってもらった方がいい。
信じてくれるかは分からないけれど、それでも歩み寄らないと協力なんて出来ないから。
「俺たちスパーダは未来で起きるある戦いに備えてる。その戦いに勝利して、今度こそ人類を生存させるのが目的だ」
「未来の戦い? 相手は?」
俺たちの知る未来の戦い。人類種にとってすべての敵。倒さなければならない凶悪な壁。
俺たちの本当の敵は、
「悪魔だ」
その名を、言った。
言うとモニカとアメリアが見合う。モニカの鋭い目つきは相変わらずだがアメリアは心当たりがあるのか驚いている。ていうかこの人ほんと分かりやすいな。まさか二人はすでに知っているのか、悪魔のことを?
二人の反応にむしろ俺が驚く中モニカが振り返った。
「今時間いいか? 話がしたい」
悩むことなんてない。
俺はすぐに顔を縦に振った。
今日俺は魔卿騎士団と出会った。戦闘こそしたものの話し合いにまで持ち込めた。これならもしかしたら出来るかもしれない。かつて屋上で話していたこと。
俺たちスパーダだけでなく、魔卿騎士団と協力して悪魔と戦うこと。そうなれば正直めちゃくちゃ心強い。
けれどこの話し合いで破談なんてことになれば? それはまずい。
必ず説得するんだ。この話し合いには人類の未来が掛かってると言っても過言じゃない。
俺はアメリアが来たヘリに乗り込み夜の町から浮上する。眼下に見える光の数々、そこには人の姿も見えるようになる。
この風景をいつでも見られるようにするために、俺たちは飛び立った。
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