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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第1.5部
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悪魔召喚師の狙い

 が、そこへまたしてもモニカから声が掛けられる。


「違うんですか?」


 それは暗に否定する言い方だ。


「いいか、よく覚えとけ。この世界にはいろいろな組織や派閥があるが悪魔召喚師なんてその中で最も秘密主義者の集まりだ。こんな風にバレること自体が異常なんだよ」


 アメリアとしては悪魔召喚の事故だと思っていたがモニカは違う。これは綿密に細工された事件だと考えている。


「ですが、ここに来るまでいくつものトラップがあったと報告がありましたし、この部屋だって異相空間に隠されていたものですよ? 扉の魔術防壁もちゃんとしてましたし」

「でも現に見つかってるだろ。むしろ隠すことに関しては抜かりがない。そんなやつがなぜ儀式のスペルミスなんてするんだ、おかしいだろ」

「それはそうですが、では狙いは見せるため? だとしたらなぜ……」


 モニカの言う通りホテルに施された魔術施工は完璧だ、普通の者なら気づくことなく知識のある者でもたどり着けない。それほど高度なものだった。それが最も大事な場面でしくじるとは考えづらい。

 ではその狙いはなんなのか


「意図的な儀式失敗、それに隠すつもりで隠し切れていないこのやり口……。うーん、あいつに似てるんだけどな」

「誰です? あいつって」


 この事件のような回りくどいやり口は覚えがある。走査線上に浮かぶある人物とは。


 神野が魔卿騎士団を見つけたように、彼女もその名を見抜いていた。


神野秀明じんのひであき。秩序の指輪リング・オブ・オーダー、新アイビス派のクズだ。有名であることがネックな悪魔召喚師でありながら優秀過ぎてたびたび名前を聞く。分かってないだけで今までのドでかい事件にいくつも絡んでいるって話だ。そんなやつが動いているなら」


 あくまで可能性の話だ、しかしその予想は深刻であることを告げている。

 神野秀明。その名前はそれほどまで警戒すべき存在だった。


「現在、世界中でこの手の事件は発見されています。水面下で活動しているはずの彼らにしてみればこの数は確かに異常です」


 それらすべてが神野の仕業とは考えづらいが時期が被り過ぎている。意図があるとしか思えない。

 見えている以上、無視は出来ない。だが、あからさまなのも分かっている。


「なにかの前触れ、でしょうか」


 アメリアの表情が固くなる。ようやく理解した事態の深刻さに彼女も嫌な予感がしてくる。


「ちっ、クソが」

「社長? ちょっと!」

「車出せ、戻るぞ」


 突如として歩き出すモニカの後を追いかける。駐車場に着きモニカは後部座席で足を組みアメリアは慌ててエンジンを掛けた。


「ではホテルへと戻ります。現場の調査もそろそろ終わりそうですし、終了次第撤退させます」

「おう」


 来た道を戻り二人を乗せた車は山を下りていく。深夜のドライブだ、とはいえ気分は晴れず見通しの立たない今後に不安が募るばかりだ。

 水面下で細々と活動していたはずの悪魔召喚師がここにきて活発化している。

 これから先の未来に、大きな不安の種が撒かれる。


「とはいえ不穏ですね。それにこのタイミング。こちらの事情を知っていると考えて良さそうです」

「そうだな」


 特に機が悪い。泣き面に蜂とはまさにこういう状況を指すのだろう、今は大規模に動くことが出来ない。


「最近の悪魔召喚師の動きはたまたまで済む数字じゃない、なにかしているのは明白なんだ。対策しないとな」


 悩みの種は多い。モニカは顎に手を添え思案する。

 魔卿騎士団は団長不在に起因してすでに問題だらけ、その中でなんとか動ける人員で対処しているが、それでも限度はある。


「通常業務以外で動かせるのは?」

「多くないです、兵隊蟻の主要メンバーは現在空きがないですし戻ってくるのも当分後です」

「クソが」


 状況は悪くなる一方だ。


 モニカは窓の先を睨みつけアメリアも険しい表情でハンドルを握る。よくない雰囲気だ、打開策の浮かばない現状はまるでゴールの見えないトンネルの中のよう。

 そこで彼女の携帯が鳴り出した。車にセットしたスマホをタッチし通話を繋ぐ。


「はい、アメリア」


 通話はインカムを通じて聞いているのでモニカには聞こえない。それでアメリアは話をしていくがだんだんと慌ただしくなっていく。


「はい、はい……え、それほんと!? ……はい、はい……嘘でしょ!」

「また面倒事かよ」


 顔を後ろに倒し背もたれる。絶対にいいことじゃない。


「ん?」

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