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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
エピローグ
477/496

来い、我が最愛なる女(ひと)よ

 その読みは見事的中していた。此方のカリギュラは広範囲攻撃。近接戦に持ち込んでもカリギュラを発動されればどの道同じこと。


 よって、駆は己の判断に従い五体目の悪魔を召喚する。


 それは最後の契約。生涯で唯一の誓いの証。


 薬指の指輪。その赤色が最も大きく輝いた!


「来い、我が最愛なるひとよ。その髪は火より輝き瞳は星より煌めく。人の夢は儚き幻、しかして我らの愛は永久不滅! いくぞォオオッ、俺たちの愛を見せつけるんだ! 一花!」


 駆の言葉に答え背後から闇が現れる。広がる暗闇の空間、そこから一体の悪魔が現れる。


「ふっ。そういう言い方されたら、さすがにやる気出るわッ」


 黒の翼を大きく広げ、彼女は降臨した。


 相川一花。駆を救うため悪魔に身を墜とした少女。それを救うため魔界に赴いた少年。そうして二人は再会を果たし契約を結んだ。二人が別れることはこれで二度とない。


 これから過ごす永遠の時を共に生きる。二人の愛と物語が、今ここに結実する!


「聖治君! 私になにか言うことないの!?」

「あー……なんだって?」

「もういい!」


 新たな悪魔の出現に此方の表情が歪む。しかし自分がやることは変わらない。


「カリギュラ!」


 仲間と敵のちょうど中央。そこでカリギュラを発動する。同時に香織がディンドランを張って味方をカバーする。


 黒いオーラは津波となって駆たちに襲いかかった。


「闇送り(ダークサイド)!」


 しかし駆たちの前方に闇の空間が現れる。カリギュラのオーラは別空間に飲み込まれていった。


「利いてない?」

「無駄よ、どんな攻撃だって別の場所に送ってやれば意味ないわ」


 此方はカリギュラを止める。それで一花もダークサイドの展開を消す。


 此方は駆たちを見ながら後退していき聖治たちは前進して合流する。


 二つの陣営が向かい合う。数はどちらも同じ六対六。


 言葉はない。そんなものが必要な場面はとうに過ぎ去った。答えは戦いでしか得られない。


 人類のために戦うか。


 己のために戦うか。


 誰かのために戦うか。


 それぞれの思いを秘めて、一斉に前に出た。


「はああ!」

「ふっ!」


 聖治は声を振り絞り駆は笑みを浮かべて走っていく。


 駆は手のひらを向け熱線を放つ。それをディンドランで受けながら進み聖治はミリオットで切りつけた。駆は強化された手で刀身を掴み手のひらが傷つく端から炎を吹き出し再生していく。


 聖治と駆はつばぜり合いのように力を押し合い互いをにらみ合う。


 同時にほかの仲間たちも戦っていく。校庭は一気に混戦だ。それぞれがそれぞれの相手と力をぶつけ合う。


「ミリオット!」

「ファイ!」


 日向ちゃんとリトリィが戦う。リトリィの飛行能力に対応出来るのはミリオットだ。その光線で狙いをつけていくが飛び回るリトリィをなかなか捉えられない。


「速攻!」

「速い」


 星都の攻撃をなんとか受けるもヲーから苦々しい声が漏れる。星都の速度は脅威的だ、このままではやられる。


「ヲー、受けるヅラ!」

「助かる!」


 そこへポクが速度の秘薬を掛け青い蒸気と共に前に出た。急激な速度の上昇にヲーは戦意を滲ませ星都は舌打ちする。


「誰かあのちびを頼む!」

「分かった!」


 此方はポクに向かって走る。それを見てポクの顔が引きつった。


 だが此方の正面、闇が現れるなり中から一花が出てくる。


「あんたはいかせない」

「く」


 此方と一花でやり合う。カリギュラで切りかかるも一花は悪魔の腕でそれを防ぐ。


「なら私が!」

「ひええ!」


 此方の代わりに香織が走りポクは大急ぎで走っていく。剣を持った怖いお姉さんに追いかけられる子供のようだ。


「待て!」

「待たないヅラ!」

「待てー!」

「待たないヅラー!」

「待てって言ってるでしょー!」

「絶対待たないヅラ!」

「せめて攻撃してよ、リリース出来ないじゃん!」

「オイラ基本攻撃しないヅラ!」

「そんな~!」


 二人のやり取りが聞こえる中力也とガイグンは向かい合っていた。どちらも真剣だ。その雰囲気は他とは違う。本物の怪物と怪物だ。だからこそ言葉なんてない。


 力也はグランで攻撃する。対してガイグンも前足を使って対抗し次に真ん中の頭が噛みつく。力也はグランを消し両手で掴んだ。上顎と下顎を固定しガイグンの叫び声に負けじと力也も大声で叫ぶ。


 互いに相手を見定め力を振るう。まさに合戦、それも全員が強者で楽な戦いなんて一つもない。


「ちぃ!」


 日向ちゃんは校庭を蹴ってファイを回避する。走りながらミリオットで攻撃していくがリトリィも動き回っており狙いをずらしてくる。


「無駄無駄! そんなのが当たるもんですか。せいぜい地面で這い蹲ってな人間が!」


 相手はただ地上から撃ってくるだけ、対してこちらは制空権を確保している。どう見ても自分が有利。もらったも同然の勝負にリトリィは笑いが止まらない。


「へえ」


 しかし、ここで日向ちゃんが不気味に笑う。


「ならその余裕ぶった斬ってやる!」


「斬る? 出来るわけないじゃーん。どうやってこの距離で斬るっていうのよ。馬鹿言わないでくれる?」


 いちいち余計な一言を言ってくれる。今までの彼女ならそれに言い返すことしか出来なかった。だが今は違う。ここに来るまでの戦いで得た新たな力がある。


 それを発揮する!


「ラビットシューズ!」


 日向ちゃんの靴が光る。それはウサギの靴に変身していた。ウサギの耳が付いた白の靴。日向ちゃんは足を上げ、地面ではなく宙を踏みしめた。


 空中を蹴る。さらに蹴る。そうして上昇しリトリィに接近する。


「うおおお!」

「うそでしょぉお!」


 ラビットシューズで空中を走る日向ちゃんと飛行するリトリィで戦っていく。ぐるぐると曲線を描きながらファイを撃つリトリィを直線的な軌道で追いかけ日向ちゃんはファイを切り裂いていく。

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