瞬間爆風と共に力也の全身に赤いオーラが現れた
「ぐう! がああ!」
力也の怪力にレイジギスが悲鳴を上げる。頭を取られまいと自分の頭に両手を乗せ力也の力に対抗する。
「諦めろぉお!」
それを破壊王は許さない。織田力也は見逃さない。
レイジギスの両手がこじ開けられていく。グランの斥力によって両手は頭を離れ徐々に両腕が広がっていく。
この力に抗う術はない。破壊王の抱擁が死へ誘う。首に亀裂が入った。
「やっ、ヤメロォオオオ!」
悲痛な抗議が届くがそれが聞き入れられるわけがなく。
「うおおおお!」
首筋に生じたひびが一気に加速する。
力也はレイジギスの頭を引き抜いた。首は真ん中からへし折れ力也は持ち上げる。
頭を取られたことでレイジギスの体は前に傾いていく。そのまま倒れドンという音を立て決着となった。力也は地面に飛び移る。両手には死相を浮かべたレイジギスの頭がある。その両手に力を入れ粉々に粉砕した。「フッ、フッ!」と両手に付いた粉を息で吹き飛ばし両肩を回す。
背後には灰となり消えていくレイジギスの体と破壊の爪痕。災害が一人歩きしたような痛ましい現場だった。
そこに立つ一人の男。力也は勝利の余韻も生存の歓喜もなく、ただただ鋭い視線を湛えている。
すると頭上から赤い魂が降りてくる。それは力也に浸透し吸い込まれていった。全身が一瞬だけ赤く光り消えていく。
力也は自身の両手を見つめる。内側から感じる新たな力。湧き上がるマグマのような熱と共に力を解放する。
「グオオオオ!」
瞬間爆風と共に力也の全身に赤いオーラが現れた。怒りと結びつきそれは更なる力を与える。
「フン」
力也は気を静め赤いオーラを消す。敵がいない場所で使っても意味がない。
使うならばこの先、この力が必要となる場所はこの先だ。
力也は歩き出した。この事態の元凶を叩き潰すため。憎き悪魔を斬り飛ばすため。
夜の町を歩く。その先で浮かぶ召喚陣は悠々と、妖しい光を放ち続けているのだった。