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この出会いに感謝を  作者: レユーナ
2/2

1:フィリア視点

これは、義姉、フィリア視点からの話になります。

「今日、今から1人連れ帰る、部屋を用意しておけ」


父が淡々と使用人に告げる。母はおっとりわらってお帰りをお待ちしておりますという。

父がいなくなった瞬間は母は、顔を歪めた。


愛人がいると言っていましたから、母の気持ちは分かりますの。

私だって自分の好きな人が、他の人となんて考えたら淑女でなんていられる自信はありませんわ。

それを、笑って父を送り出した母はやっぱり私の尊敬する淑女ですの。


お母様は、本当にお父様が好きで好きで毎日必死に努力をしておりますの。

お父様の恥にならないようにと、私にも厳しく教育をしてまいりましたわ。

そのおかげで同年代のなかでは立派な淑女で博識ですの。


まだ社交デビューも学園にもいってないのですけれど、ちょっとした有名人でしてよ。

・・・誰も褒めてくれないものですから、ついつい自画自賛してしまいますの。


まぁ、それはいいんですの。

とにかく私はお母様の味方でしてよ、お母様を傷つけるお父様も、お父様を奪った愛人も大嫌いですの。

まったく忌々しいですわ。


でも、子どもは関係ありませんわよね? これから私の義妹になるんですもの!

きっとかわいいに違いありませんわ。お父様は仕事ばかりで、お母様もお父様の気を引くのに必死で、私1人でずっと寂しい思いをしてきましたもの。

ずっと兄弟や姉妹に憧れていましたのよ。


ようやく念願の妹が、めいいっぱい可愛がりますわよ!


その念願の妹が、ようやく父に抱えられて帰ってきましたの。

想像以上にかわいらしくてまるで天使のようですわ。

この子が私の義妹、口元がにやけるのが止まりませんわ。


父に懇願して目覚めるまで一緒にいる許可をいただきましたの。

早くおしゃべりしたいですわ。どんな声でどんな瞳をしているのかしら。


あぁ、髪のさわり心地は最高ですわ。ふわふわな銀色の髪。

銀色だなんてやっぱりこの子天使じゃないかしら、探したら実は羽が生えているんじゃないかしら。


そんなことを考えていたら、ようやく天使が目を覚ましましたわ。

にやける口元を何とか戻しますの、気持ち悪いだなんて言われた日には立ち直れませんわ。

あぁ、とにかく早く話しかけて、声を聞かなくては。きっと声も天使のようにきれいに違いないわ。


「やっと起きましたのね、まだ寝ぼけていて? とても見れる顔色じゃなくってよ」

それにしても、結構な時間待たされました、ついつい恨めしい声になってしまいますけれど、これぐらい許してほしいですわ。

そういえば興奮していましたけれど随分と顔色が悪いですわ、きっと母を失ってショックを受けているに違いありませんわ。


「だ、だれ」


予想通りきれいな天使のような声ですわ! あ、いけないまたにやけそうに。

このままじゃ気持ち悪い人と思われてしまいますわ。自己紹介をしてはやく義姉と伝えなくては。


「私は、フィリア・アークライドといいますの。今年で9歳。8歳のあなたの義理の姉にあたりましてよ。あなたは自己紹介は出来ないのかしら」


急かしたらいけないと分かっているのですけれども、ついつい急かしてしまいますわ。

あぁ、早く名前を教えてちょうだい、何回も名前を呼んであげたいんですの。


うぅ、冗談で急かすために言ったのだけれど、一向に自己紹介してくれませんわ。

もしかして、自己紹介をしたことが無いのかしら、それとも記憶喪失!?

そうだったら大変だわ、侯爵家の全財産を持ってしてでも何とか記憶を取り戻させなくては。


「あら、冗談で言ったつもりなのにほんとに自己紹介も出来ないようね、これが私の義妹だなんて」


と、それは杞憂そうですわね、よくみたらポカンとしていますわ。

ポカンとしている顔もかわいらしくて、あぁにやける顔を抑えるのが大変で口元がぴくぴくしてしまいますの。とにかく早く名前を聞かないと説明してあげることも出来ないわ。


お願い早く名前を聞かせてちょうだい。


「わ、わたしは、フェデリ・ジードと・・」

「違いましてよ、今日からあなたはここの家の子になるのですから、姓が違いますわ。やり直しなさい」


思わず遮ってしまいましたわ。あなたは憎くないけれど、愛人は憎いんですの。あの愛人と同じ姓を名乗ってほしくないんですわ、それに同じ姓じゃなければ、周りに私の天使を紹介できないじゃありませんの。


それは由々しき事態ですわ、この可愛い天使を自慢して回れないなんて天罰があたってしまうわ。


「あの、フェデリ・アークライドです」


フェデリ、なんて可愛い名前かしら。同じ姓をいってくれたのも嬉しくてたまりませんわ。

拙い自己紹介も愛嬌があってなんて愛くるしいのかしら。

先ほど以上に口元がぴくぴくしてしまいますわ、天使のようなフェデリが不安そうな顔に、いけませんわ早く安心させてあげなくては。


「まったく拙い自己紹介ね。じゃあとりあえずどうしてあなたがここにいるか良く分かっていないようですから、説明してあげますわ」


まずは、これから過ごす家についてと、母を殺されたのだから殺人者に怯えているかもしれませんし、安全なことを伝えて、やっぱり顔色が悪いですし早く休ませてあげなくてはダメですわね。

私もこれ以上ここにいてにやにやとしない自信がありませんわ。


「ここは、由緒正しき侯爵家ですの。公爵、王族のほうが身分は上ですけれど、格式高い家ですの、変な人間はもちろん入ってこれなくてよ。あなたは、お父様、侯爵の愛人の娘ですの。愛人に何かあった場合は、子どものあなたを守るように約束を交わしていたらしく、お父様が連れてかえってきましたのよ。もう夜も遅いんですの、はやくおやすみになったらいかが?」


我慢の限界で早足で部屋から出て、部屋から出た瞬間にやつきがとまりませんわ!

明日も話して早く仲良くなりたいですわ。そしたら抱きしめていっぱい撫で回しますの。

そうなったら、明日たくさん話すために早く眠らなくてはいけませんわ。


あぁ、こんな幸せな夜は久しぶりですの。早く眠らないといけないと思っていても、興奮してなかなか眠れませんわ。せっかくだから明日はなす内容でも考えましょう。


それにしても、話したいことがいくらでも浮かんで困ってしまいますわ。

あんまりたくさん喋ったら、きっと戸惑ってしまうもの、何から話せばいいかしら。

考えている間に朝日が、まったく時間が足りませんのね。


結局話す内容は思いつかないけれど、まずは顔を見に行かなくては。

もう、待ちきれませんの。


「入りますわよ、フェデリ、私は寝るようにいったはずでしてよ。どうしてまだそんなに顔色が悪いんですの? 1人で寝れなかったんですの?」


返事も聞かずにはいってしまいましたわ、淑女としてはあるまじき行為、でもしょうがないでしょう、浮き立つ足がとまりませんの。

視界に入った天使は、なんということ、昨日より顔色が悪くなっていますわ。

もしかして不安で寝れなかったのかしら、だとしたら悪いことをしてしまったわ。

興奮するあまり、義妹のことを察してあげれなかっただなんて。自分に腹が立って顔がこわばってしまいますわ。


「なにか答えたらいかが? 1人じゃ寝れないんですのね?」


でも、フェデリも悪いんですのよ? 言ってもらえないと分からないことは多くありますわ。

とにかく何かあったら言ってもらう習慣をつけなくては、そうおもって聞いたらようやく頷いてくれましたわ。その仕草かわいらしい、満点ですわ!


いけません、また顔がにやけそうでプルプルしていますわ。早く退室しなくては。


「もう少ししたら、使用人がご飯を運んできますわ。しばらく屋敷をうろうろしないでいただけるかしら」


歩き回って、倒れたりしたら大変ですもの、しっかり言い聞かせておかなくては。

元気になったら、いくらでも屋敷を案内致しますから、それまで我慢ですわよ。


昨日と同じように、早足で部屋を出て耐え切れず顔をにやにやしますわ。

これから毎日、あんなかわいらしい天使がいるなんて、私幸せすぎて死んでしまいそうですわ!


いけません、こんな場合じゃないですわ、はやくお母様にフェデリと一緒に寝る許可をいただかなくては。一人で寝るのが不安なら、添い寝をしてあげればきっと。

待っていてくださいね、私の可愛い義妹!!

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