調教師ギルド
遅くなりました!
まさかのデータを消してしまうというハプニングに心が折れてしまいました。
調教師ギルド
モンスターを人の手で手なずけ仲間にする。
バロルの塔が発生する以前からその有用性を見出され、人々の生活基盤に根付いていた。
荷物の運搬。護衛。狩りの補助など
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「ここか...」
街のはずれ。城門のそばに調教師ギルドがあった。明らかに冒険者ギルドよりデカイ。
敷地が。
「受付にいくか。」
とりあえずギルドに入る。人が多い。プレイヤーもちらほらいるな。
「すみません。こちらが受付でいいですか?従魔の件で聞きたいのですが。」
「はい。こちらが受付です。従魔の件ですか。ご質問でしょうか?それとも購入でしょうか?」
「購入で。一覧などあると助かります。」
「従魔の購入一覧ですね。現在はこちらになります。調教師ギルドではレア度3までのモンスターがいますが、常時変わりますのでご了承ください。あちらに席がございますので、ごゆっくりどうぞ。」
フモモを下ろして席に座ると、フモモがラックを隣に出した。
「そうか。調教師ギルドだもんな。従魔を出していいのか。それに注文もできるみたいだな。ドックカフェみたいなものか。なんか飲み物でも頼むかな。」
適当にチョイスして注文もする。
頭に乗っていたナイトも下に降りてラックと遊んでる。
少し和みながら、もらった一覧に目を通し始める。
視界にこちらに向かってくる男がいた。
「やぁ。初めまして。新人プレイヤーだよね?」
気さくに声をかけてくる。
「どうも。そうですね。」
つまりこの男はβテスターってことだろう。
それによく見るとエルフっぽい耳をしてる。
外見って耳弄れたんだ〜なんて感想を持ちつつ、よく見ると彼の視線はフモモにいっていた。
「いきなりで悪いんだけど、そのぬいぐるみ装備かな?さっき従魔を出したように見えたけど。」
つまりは盗み見してたと。まぁ俺も冒険者ギルドで盗み聞きしたからなんとも言えないか。
「どこで手に入るのかな?何かのクエスト?新人でもできるやつだよね?つまり調教師専属のクエストがあるってこと?従魔を持ち運べるなんてそんなことできるなんて知らなかったよ。ぜひ僕にも教えてくれないかな?」
キラリと白い歯を見せて笑う。
(何かと質問の多いやつだな。)
通常、調教師が連れて歩くモンスターは街入れることができない。城門外に調教師用の受付があり、そこに預けるようになってる。
城門を隔てて、ここ調教師ギルドに繋がっているため基本的に受け取りに行けば調教師ギルド内であれば連れて歩くことができる。
補足だが、召喚師の場合は街中で連れて歩くことが許可されている。これは召喚獣と従魔の違いだ。
従魔は、あくまでお友達という感じで捉えてもらえるとわかりやすい。つまり機嫌が悪いと暴れる可能性がある。そして、従魔の窃盗も問題視されている。よく懐いてる子は人に危害を加えないようになっている。これも原因の一つだ。
召喚獣は、完全なる主従関係が始めから決まっている。確かに熟練の調教師と従魔の関係となれば主従関係はできるが、窃盗されたとしても<送還>と<召喚>で元に戻るので意味をなさない。
その観点からルールが出来上がってる。
「いえ。すみませんがお答えできません。」
というかあるとは思えません。
あくまでこれは<アリスのお部屋>というスキルだ。今のところ情報がないわけだから、フモモ以外に可能とは思えない。
「なるほど。君は有益な情報を秘匿し独占すると?」
(これはまためんどくさいやつに絡まれたな...)
「関わりたくないだけですので。」
(ボッチ舐めんなよ!)
パンドラは一覧に目を落とし確認しだした。
「一角兎と子犬ではままならないから従魔購入しにきたと見える。これは先輩としてオススメを教えるべきだな。交配のいい組み合わせも教えてやろう。交換条件は君が持ってるぬいぐるみの入手方法だ。どうだい?」
少し苛立ち気味に男は言った。
ため息をつきながらそのままパンドラは一覧を見続ける。
「君も強情だな。これは提案ではなく強制だ。クエストはもういい。君が持っているより強い僕が持っていた方が何かといいはずだ。それを譲りたまえ。金は払うぞ?」
ふむ。こいつはバカなのだろうか....とパンドラは思い始めた。明らかな恐喝だ。それでいて金は払うと。これは正式な取引だと言わんばかりだ。
フモモのレア度は6。10の内上位に入る。
ここの一覧を確認した限りでもレア度が1違うだけで桁が変わってくる。そんな財力がたとえβテスターだろうとあるとは思えない。
それに見当違いも甚だしい。第一フモモは召喚獣。売り買いできるものではない。
「そういうの興味ないんで。」
ダンッ!!!
地団駄を踏みながら、明らかな強要を始めた
。
面倒くさくなったので伝家の宝刀をきることにしよう。
「あなたのやっていることは強要と脅迫。ここはゲームですがこれ以上されるというのでしたら、運営に連絡しますが?」
はっきりと目を見て伝えてやった。
みるみる顔が赤くなっていく。
「この初心者風情が!調子に乗りやがって!PKしてやるから!お前の全てを奪ってやる!クエストもできない!塔にもいけない!ゲームだからな!ストーリーも進められない以上面白くもないだろ?永遠とこの町で腐ってろ!」
吐き捨てるようにいうと、面倒くさい男はそのまま外へ出て行った。
ため息をつきながら、従魔一覧を再度確認する。
正直なにか気になる従魔はいなかった。
できたら遠距離系もしくは回復系の子が欲しかった。魔法使用の子はさすがに高値になりそうだ....
一覧を返そうとするとまた近づいてくる人影が。
「災難だったな?」
かなり雰囲気のある男だ。
風貌は狩人ってのがぴったりだろう。
「どうも。」
人見知りを発動しつつ、プレイヤーかを確認する。
「同じプレイヤーとして気になっただけだ。それと宣伝も兼ねてな。」
「宣伝?」
「俺の見てくれを見ればわかるだろうが、捕獲を生業としてる。盗み聞きで悪いが従魔制限がなさそうだったからな。もし欲しいモンスターがいるのなら可能な限り融通するぞ?まぁ気になればってことでいい。自己紹介が遅れたが「キール」だ。受付に言付けをしていてくれればそれでいい。信用出来ないだろうからな。俺のことを知りたければ「マッスル」に聞いてくれ。じゃあな。」
そのまま颯爽と去っていく。
(え?マッスル?ってギルドマスター?
手を回してたのかよ!先に言ってほしいな....)
とりあえず新しい知り合いができたってことでよしとしよう。
一覧を受付に返し外にでる。
さて、次はカジノだ!!!!
待ってろバニーちゃん!!!
今後ステータス表記をしたいと思いますので、少し準備します!