テスト前日の出会い
長かった休日も終わり……まあ、2日間だったのだが、あまりにもキツかったので。
長かったと思うほどに………。
今日は月曜日。学校が始まってしまっていた。
今は4限。
現国の授業中である。
「じゃあここを……二ノ宮君、読んでくれる?」
「はい。ーーーー。ーー。」
二ノ宮竜次。
小学校からの知り合いで、いつもトップ2だった。
アイツにとって俺は目の上のたんこぶだっただろうにいつも優しく接してくれた。
その優しさに助けられた頃もあったのに、
俺は結局、突き放してしまった。
そういえば、入試も2位だったな。
体が弱くて入学式には、参加してなかったが。
竜次のことを思い出していると、授業が終わった。
「はい。今日の授業はここまで。あ、あと明日からはテストだからー、しっかり復習しておくように」
テストか……。すっかり忘れてた。
今日の夜にでも少し勉強するか。
教師が出たあとの教室というのは賑やかになるものだ。
特に4限は…次が昼休みだからな。
「おい、今日の飯はどこで食う…んだ?」
なんか震えてね?
「テストなんて消えちゃえばいいのに」
典型的だな。
「ま、まあまあ今は昼休みだし飯でも食ってリフレッシュしようぜ?な?」
「そ、そそそ、そうよね!所詮テストよね!」
俺そんなこと一言も言ってない。
「屋上で食べましょう!」
「あぁ、わかった」
俺たちはそう言って教室をでた。
3年棟へ向かう階段の途中。
視線が痛かった。
しかし、そんなことは気にせず、
竜次のことを考えていた。
アイツって確か母親だけだったよな……。
今生活大丈夫なんだろうか。
今度様子見に……でもバイトもあるし…。
少し時間をとれるか聞いてみよう。
そう思い前を向き口を開こうとした瞬間。
園木が転ぶ寸前だった。
「あっ!園…!」
だめだ、間に合わない。
しかし、この間に合わないは後ろから止めるのが間に合わないという意味で、前からなら余裕なぐらいだった。
園木が転ぶと思った、その時。
上から来たイケメン…ここでは美青年と言っておこう。
その美青年にガッシリとつかまれていた。
「大丈夫?」
その一言で園木は真っ赤になりテンパった。
「ひゃい!らいじょうぶれす!」
一度で3回も噛むとは…なかなかレベルが高い。
じゃなくて、俺が今することは………。
「すいません、俺の不注意で」
謝罪……だよな。
「全然大丈夫だよ。あっ、君…入試1位の須藤和也君だよね。俺は入試3位だった、夏目海斗っていうんだよろしく」
「あぁ、どうも」
スピーチしてくれた奴か…申し訳ない。
「それじゃ、楽しい昼休みを過ごしてね」
そう言って夏目海斗という人物はどこかへ行った。
でもアイツ1年だよな?
なんで3年棟に?
用事……でもあったのか。
てか、早く行かないとダメだよな。
そう思い。前…園木の方を向いた。
園木の目は♡マークになっていた。
「おい、アホ。早くしないと昼休み終わるぞ」
その言葉で、ハッと我に返った様子。
「行きましょう!」
張り切ってるな……。
そしてその後は特に変わったこともなく、刻々と時間が過ぎていった。
現時刻19:30
今していることは…恋愛相談。
「海斗クンかっこよかったぁ」
すごくどうでもいい。
「はいはい、それはよかったね」
「あら、嫉妬?男の嫉妬は見苦しいのよ〜?大丈夫よ安心しなさい。お風呂は一緒よ」
それもそろそろ案が浮かばないとダメなんだが……。
「それだけじゃあ足りないっていうの?」
「いや、俺何も」
「しょうがないわね、私の体を想像して性処理してもいいわよ」
「死ね」
被せてきたかと思ったらなんてこと言い出すんだ。
中指を立てる。
「で、性処理ってなんなの?ネットで調べたら性的欲求がなんとかって書いてあったのだけれどよくわからなくて」
意味のわからない言葉を使うなよ。
「それで?どういう意味なの?」
R15とはいえ、本当にすいません。どうか見捨てないで下さい。
「知りたいなら大好きな海斗に聞けば?」
「もし、恥ずかしいようなことだったらどうするのよ。そう考えると男の人には聞けないわよ」
俺って男じゃないの?
もうめんどくさいから話逸らすか。
「というか、明日からはテストだぞ。勉強したのか?」
また震えだした。
「もう今回は諦めたらどうだ?次からなら教えてやるよ」
「…………いいえ、勉強するわ」
なかなか偉いな。
少し豪華な夕食でも作ってやるか。
そう思ってキッチンへ急いだ。
現時刻20:15
「おーい、飯ができたぞー…ってなにしてんだ」
園木の部屋の扉を開けると紙にキスしていた。
「キスが下手な人って嫌われちゃうじゃない?だから練習してたの」
本当に好きなんだったらそんなことじゃ嫌わないと思う。
そして偉いと思った俺が馬鹿だった。
勉強と言えば勉強か……恋の。
今日はもうしょうがないな。
「飯できたから早く食え」
「わかったわ、すぐ行く……うーんこうじゃないのよねぇ」
知らんがさっさと食ってもらわないと困る。
そして、飯も終わり風呂の時間。
「〜〜♪〜〜〜♪」
鼻歌まで歌ってやがる。
能天気な奴……。
そしてこの体を見慣れた俺を殴りたい。
いいスタイルなんだが…性格に問題があるからな。
「はい、終わり。今日も俺は自分で洗うから」
「は〜〜い♪」
テストはもう忘れているんだろう。
ま、俺には関係ないか。
風呂もいつもどおり普通に終わった。
普通という表現も、もうおかしくない気がしてきた。
そして、美緒が帰宅。
「可奈に好きな子ができたぁぁー!?」
「え、えぇ。そんなに驚くことですか?アイツも一応は高校生なわけですし……」
「そうね〜。可奈にもやっと春が……。それで?相手は誰なの?須藤さん!?須藤さんなの!?」
なんでこんな圧力をかけてくるのか。
「違いますよ、学校の奴です」
「ええぇぇ〜〜。須藤さんじゃないのー?」
なぜ俺にこだわるのか……。
地味に怖い。
「私は須藤さんならいつでもOKなのに。お風呂もOKだし」
「ブーーー!!な、何言ってるんですか!」
噴き出してしまった。
「うふふ、冗談よ冗談」
「はーはー、わかりにくい冗談は冗談て言いませんよ」
「え?じゃあ入る?」
「入りませんよ!」
「あら残念」
「残念!?」
なんだこの会話。
そして、美緒も風呂に入り洗濯や掃除を終わらせて勉強を始めた。
「あぁ、復習テストか。なら大丈夫だな」
わすが40秒で教科書を閉じた。
明日に備え、寝ることにしたのだった。
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