冬の雪の前には恋が降る
忙しい秋が終わり、とうとう冬。
1年の終わりの季節がやってきた。
「寒い……」
そう、冬とは試練の季節。
寒さに耐えねばならぬ、鬼畜仕様なのである。
「もうすっかり冬ね〜。アンタは猫系なの?」
「猫系ってなんだよ……」
可奈の質問に、二の腕部分を摩りながら答える。
「冬はこたつで過ごす派?それとも外で遊」
「絶対にこたつ」
「やっぱりか……」
だって寒いし。
この季節に外遊ぶ人間の気が知れない。
登校の時点でこれほど寒いのだから、下校はもっとだろうな。
日も短くなったし。
「あー、やだやだ。冬なんて早く終われ」
独り言のように呟いた。
「なければいいとは言わないのね?」
「そりゃあな。天候には逆らえないし、四季のある日本に生まれたんだから、諦めるしかないだろ」
「むむむ、やっぱり考えることが違うわね。天才は」
歩きながら手を顎に当てて、可奈はそう言った。
なんでいきなり褒め始めたの?
怖いんだけど。
「お前今日熱でもあるんじゃないか?」
「へ?」
可奈から間抜けな声が出た。
若干頬赤いし。
なんか目が虚ろ。
「そんなわけないじゃない!私は見ての通り元気いっ……くしゅんっ」
元気はあるんだな。
でもくしゃみで説得力がなくなったぞ。
今手は冷えてて当てにならなそうだし……。
「可奈、ちょっと失礼」
自分の額と可奈の額を合わせた。
「ほわぁっ!ちょっと!何してっ」
「動くな。……熱あるな、帰るか」
「でもまだ学校にも着いてないし……」
「大丈夫大丈夫。ほら」
可奈の前で少ししゃがむ。
「え?何?」
「コケたりして熱上がったら困るじゃねぇか。早くしろ」
「アンタも今日おかしいわよ」
「お前よりマシだ」
その後、可奈は素直におぶられ、俺達は来た道を戻った。
家に帰ってからはきちんと学校にも連絡した。
単位の問題で危ないらしいが、まぁ美緒ならなんとかしてくれるだろう。
あと蘇流理事長に頼み込むとかすれば……。
「可奈〜、お粥出来た……ってもう寝たのか」
寝巻きに着替えさせたから寝にくくはないはず。
先に着替えさせてよかった。
でもお粥冷めるよな……。
あとでまた作ればいいだけか。
「そろそろタオル替えておくか」
可奈は生まれて此の方、風邪を引いたことがなかったらしく熱さまシートが置いていなかったのだ。
随分と古い対処法だがないよりはいいはずだ。
「んん……かずやぁ……」
「悪い、起こしちまったか?」
喋り出したので起きたのだと思ったのだが、そんなことはなかった。
寝言だ。
のんきな奴……。
「かずやぁ……だいしゅき」
「ブフッ!?」
いきなり何を言い出すんだこの馬鹿。
いくら寝言とはいえ、どうやったらそんな言葉が口から出るんだよ。
「なんかコッチまで心拍数上がったじゃねぇかよ」
微妙に気まずくなったので部屋を出ることにした。
なんで俺が意識しなきゃいけないんだ。
ぶんぶんと首を振って、切り替える。
「おしっ、家事でもやろうかね!」
今日は時間があるから隅々まで出来るな。
……あの大好きってのが本当だったら俺はどうしていたんだろう。
もし、可奈に告白されたら……。
「なーんてな!ありえない話だ!」
そして俺は掃除用具を取りに行った。
その頃、部屋の中では。
「かずやは……わたしの…………だんなになるんだからぁ」
可奈は良く分からない寝言を言っていた。
残り162日




