夢→胸→我慢→説教
またこの夢。
『父さん、母さん!』
今日は俺の声も出てる。
でも二重になっている?
ということは前回喋っていたのは1人なのか?
喋り方からして父さんだと思うが……。
母さんが喋っていなかったという確証がもてない。
2人とも喋っていたが、片方だけが聞こえた可能性もある。
川は……黒い。
前回の血のような色ではなく、漆黒。
誰がどこから見ようと黒。
そんな色だった。
『和也、よかったよ』
『何がだよ』
『お前は天才肌だったから友達が少なかっただろう。今はたくさんいて、本当によかった』
確かに俺は小学校の頃、友達がいなかった。
今も友達という部類には入る仲じゃないと思う。
雇い主、フィアンセ、噛み副会長、同じ境遇、厨二病。
でも、そう思うと俺は恵まれてるのかもな。
『あぁ、アンタらにも紹介したかったよ』
俺はそう言って両親へにっこり微笑んだ。
『アンタらがいたらこんな友達もいなかったんだ。感謝してるにはしてる。でも、他の方法があったらよかったと思うよ』
俺らしくもない、涙かよ。
どうせ夢なんだ。
存分に泣かせてくれ。
『和也、お前はまだここへ来るべきじゃないね。皆が待ってる。さあ、帰りなさい』
『ありがとうな、父さん、母さん。感謝するよ。気付かせてくれてありがとう。それじゃ』
俺はもう恐れず、迷わず川へ入っていった。
両親の顔を見ながら……。
バフッ、ムニュムニュ。
顔の上に柔らかいもの。
手で触って確認する。
あ、これはあれだ。
上には可奈がいた。
「誰が揉んでいいって言った?」
「へ?」
ものすごい音とともに俺の頬に激痛。
手形とかついてそうだな。
「いってえぇ!!何すんだこの馬鹿!」
「アンタが揉むからでしょ!?」
「揉みたくて揉んだんじゃねぇよ!」
「なかなか起きないアンタが悪いのよ!」
くっ、また寝過ごしたのか……。
5時じゃねぇか!
「遅くねぇじゃんかよ!」
「は、はぁ!?ト、ト、トイレに行き……」
「トイレに行きたいけど怖くて行けない。ですか」
「そ、そ、そそそ、そんなことないわよ!」
耳まで染まって、笑えるわ。
もうちょいからかうか。
「へー、じゃあなんで俺の部屋に?」
「アンタもトイレに行きたいんじゃないかと思ってね」
「俺は男だぞ?」
「うっ」
弱くないか。
もっと言っちゃおうかな。
「それに、自分が行きたいのに人を誘う必要があるのか?なんでここまで来れたのにトイレに行けないんだ?あ〜、確か向こうはくらいんだっけ〜?」
「うっ、うう、ふえぇぇん」
泣いた!?
「あっ、いやごめん。ちょっとからかうだけのつもりだったんだよ。傷つける気とかなくてだな」
「ふえぇぇぇぇ」
ど、どうすればいいんだ。
「そ、そうだ!トイレについて行ってやろう!」
「うっ、ホント?」
「あぁ、もちろん!」
これならどうだ!
行けるはず!
「行く」
よっし!危なかったな。
ガチャ。
ん?今変な音が……。
まさか!
急いでドアの前へ行って開けようとする。
ガチャガチャ。
「ちょっ、美緒様!開けてくださいよ!」
「お母様、お願いで……す。私が…もたない」
まじかよ。
ここで漏らされたりでもしたら最悪だ。
「はぁっ……もう、ホントに……らめぇ」
どうするどうする。
…………壊すか。
深呼吸して、渾身の蹴り。
見事に蝶番ごととれた。
「可奈!乗れ!」
「ぅん」
可奈をおんぶしてトイレまで走った。
なんとかセーフ。
「朝から疲れる挨拶だぜ…ハァハァ……」
その日は日曜で美緒も休みだったので、丸一日説教となった。
結果、美緒は1ヶ月おやつ禁止となった。
泣いていたが、これはさすがに許せない。
おやつ禁止で泣くなんて……可奈より年下じゃないか?
残り306日。




