189/311
春の日の ひかりにあたる 我なれど
二条の后の春宮の御息所と聞こえける時、正月三日御前に召して、仰せごとある間に、日は照りながら、雪の頭に降りかかりけるを、よませ給ひける
文屋康秀
春の日の ひかりにあたる 我なれど かしらの雪と なるぞわびしき
(春歌上8)
※春の日のひかりにあたる:春の日(新春の陽光)と東宮及び御息所からの恩恵を掛ける。
※かしらの雪:白髪も掛ける。
二条の后が、まだ東宮の御息所と呼ばれておられた当時、正月三日に御前に召され、お言葉を賜るまでの間に、日は照っているのに、雪が頭上に降りかかっている様子を、お詠ませになられた歌。
春の日の光(東宮様と御息所様からの恩恵)に照らされている私ですが、頭に降りかかる雪(白髪)が、実に残念なことです。




