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誰見よと 花咲けるらむ 白雲の
題知らず
よみびとしらず
誰見よと 花咲けるらむ 白雲の たつのとはやく なりにしものを
(哀傷歌856)
※白雲のたつの:白雲の立つ「野原」。もはや、人が済まないような寂しい野原。
※はやくなりにしも:早くも変わってしまったのに。
いったい、誰に見て欲しいと、花は咲くのでしょうか。
もはや、このお屋敷の跡は、白雲が立つ野原のような寂しい場所に、早くも変わってしまったのに。
かつては人が住み、交流が華やかなお屋敷であっても、後継者がなければ、あっという間に廃れてしまう。
花だけが、誰に見られるともなく咲くけれど。
なかなか、侘び寂びにも通じる名歌と思う。




