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うちづけに 寂しくもあるか もみぢ葉も
河原の左大臣の身まかりての秋、かの家のほとりをまかりけるに、もみちのいろまたふかくもならさりけるを見てかの家によみていれたりける
※河原の左大臣:左大臣源融。光源氏のモデルの一人
屋敷は、六条坊の南、鴨の河原。寛平七年八月に七十三歳で没す。
河原の左大臣がお亡くなりになった年の秋、その御屋敷のあたりを歩いている時に、紅葉の色がまだ深く色づいてはいなかった様子を見て、詠んで、御屋敷に届けた歌。
近院右のおほいまうちきみ(源能有)
うちづけに 寂しくもあるか もみぢ葉も 主なき宿は 色なかりけり
(哀傷歌848)
突然にお亡くなりになられ、寂しくてなりません。




