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水のおもに しづく花の 色さやかにも
諒闇の年、池のほとりの花を見てよめる
たかむらの朝臣
※諒闇の年:天皇または天皇に準ずる方が崩御され、全国民が喪に服する一年間。
この歌の場合、淳和上皇の承和七年(840)、嵯峨上皇の承和九年説がある。
※池:池の場所は不明。
※たかむらの朝臣:小野篁。
水のおもに しづく花の色 さやかにも 君がみかげの 思ほゆるかな
(哀傷歌845)
池に沈んだ花の色がしっかりと見えるように、帝の面影も見えております。
池の水底の花がくっきりと見えるように、亡き帝の顔が池の水に浮かんで見える、そんな意味だろうか。




