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やましろの よどのわかごも かりにだに
題知らず
よみびとしらず
やましろの よどのわかごも かりにだに こぬ人たのむ 我ぞはかなき
(恋歌五759)
※やましろのよどのわかこも:「かりにだに」にかかる序詞。
※よど:京都南部の宇治川、桂川、木津川が合流する場所にできた水辺。
菰狩りの有名な地。
※わかこも:まだあまり伸びていない真菰。若菰。
かりそめでさえ、来なくなった人を、まだあてにしているのです。私の心は、なんと情けないことでしょうか。
捨てられた理由はわからないけれど、待つだけの女の悲哀が、心を打つ。




