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かたみこそ 今はあだなれ これなくば
題知らず
よみびとしらず
かたみこそ 今はあだなれ これなくば わするる時も あらましものを
(恋歌四746)
このような(あなたとの思いが残る)形見こそは、今となっては私を苦しめる余計なものなのです。
こんなものさえなければ、あなたとの恋愛のことなど、忘れてしまう時もあるのでしょうが。
別れ去った男の物、完全に別れるまでは、愛おしくも思ったけれど、今は憎くて仕方がない。だとすれば、捨ててしまえばいいのに、捨てきれないところに、思いが消えていない女の苦しみがある。




