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いつはりと 思ふものから いまさらに
題知らず
よみびとしらず
いつはりと 思ふものから いまさらに たがまことを われはたのまむ
(恋歌四713)
あの人からのお言葉は、嘘とは思うのですが、いまさらになって、誰の言葉を信じることができるのでしょうか。
一夫多妻、通い婚の時代は、一度結婚した仲であっても、夫が同じ女の家に通い続けるとは限らない。
ある妻が来て欲しいと願ったとしても、夫としては、その妻より魅力のある妻の家に行くのだから。口先では、必ず行きます、くらいは言うけれど。
そうかといって、相手の嘘でも信じるしかないところに、この時代の女性の苦しさがある。




