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幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら  作者: すかいふぁーむ
疎遠だった幼馴染が怖い

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【愛沙視点】のぼせる想い【混浴回SS】

ちょっと時系列飛びますが康貴と愛沙が混浴になった回の愛沙視点の話です

「ほらほらお姉ちゃんはやくっ!」


 まなみに手を引かれて湯船の方に連れて行かれる。

 今頃康貴はもうくつろいでいるだろうか。私はまなみの思いつきに付き合ってちょっと遅くなったから……。


「康にぃー!」


 急に叫びだすまなみにビクッとなった。


「ちょっと! 迷惑でしょ! 急に叫ばないの!」

「あはは。でも男湯どこかなって。それにこんなとこ私たち以外誰もいないよ!」

「まあ、それはそうだけど……確かに男湯が見当たらないわね」


 自分でもそわそわするくらい康貴のことを気にしていることに気付いて、思わず顔が熱くなる。

 ううん、これは温泉のせい。きっとそう。

 そう、思い込もうとしたところで……。


「えっと、愛沙」

「あ、康貴……え? ちょっと待って今……⁉」


 え⁉

 なんで康貴が……康貴の声が、岩の向こうから聞こえたの⁉


「落ち着け! 俺からそっちは見えてないから!」

「そう……え、でもこれって……」

「多分二人から見えてる岩の裏にいる」

「どうして……」


 いや、きっとこんな場所だ。

 混浴になっていたんだろう……。康貴が女風呂に忍び込むようなことはありえないし、私も入る前に確認してきた。

 でも、これじゃ……。

 カァッと顔が熱くなるのを感じる。康貴のことを考えてたこと、温泉の熱、康貴がここにいたこと……全部が全部混ざり合って、どうしていいかわからなくなった。

 そのせいだろう。

 まなみを自由にさせてしまったのは。


「あっ、ほんとだ! やっほー康貴にぃ!」

「ちょっとまなみ⁉」

「おいお前なんでこっちに来たんだ⁉」

「あっ! 私も裸なんだった!」


 あろうことかタオルも巻いていないまなみがバシャバシャと岩の向こう……康貴のところに行って戻ってきた。

 あれ? 康貴も裸……。まなみは康貴を見たんだろうか……?

 いや康貴がまなみを……だめだモヤモヤしてきた。


「えへへ。やっちゃった」

「やっちゃった、じゃないわよ!」

「ごめんってー。お姉ちゃんも行ってくる?」

「馬鹿なこと言わないの!」

「おこられたー」


 楽しそうなまなみを見てると考えるのが馬鹿らしくなってくる……。


「はぁ……えっと、康貴?」


 落ち着きを取り戻して康貴に呼びかける。


「その……落ち着かないかもしれないけど、せっかくならどっちも温泉を楽しめたほうが良いと思うの」

「そうだねっ! 康にぃもこっちおいでよ!」

「違うわよ! ちょっと康貴⁉」

「わかってる! 行かないから大丈夫だ」


 まなみがいるとほんとにかき乱されるわね……。

 でもそのおかげで緊張することもなく、さらっとこんなことが言えた。


「のぼせない程度ならこのまま、話さない?」


 それは自分でもびっくりするくらい、自然に出てきた言葉だった。

 のぼせて頭が回っていないせいだろうか。それともまなみに先を越された焦りだろうか。

 いや……多分私は、ただ康貴と一緒にいたかったんだと思う。


「愛沙たちが良いなら」


 康貴が返事をくれた。かと思えばまなみが慌ただしくいなくなって……。


「愛沙……?」

「えっ……えっと……何?」

「いや……」


 私が頑張れたのはそこまでだった。何を喋ればいいかわからなくなる。


「まなみがそっちに行った時、見た……?」

 違う。そういうのが聞きたいんじゃ……。


 いやでもまたモヤモヤしてきた……。もうっ! 

 よし、私も……。


「ねえ、そっち行ってもいい?」

「愛沙っ⁉」

「心配しないでも康貴がいるとこまでは行かないわよ。ちょっと近くにいくだけ」

「そうか……」


 ふふ……。焦った康貴の声で少し冷静になれた。お互い岩を隔てて背を向けて座り合う。

 ちょっとした静寂……。

 でもなんだかそれが心地良く思える自分もいた。


「ねえ。一緒にこっちに来たのっていつぶりかしら」

「うーん……」


 他愛のない話題。そんな話題にも真剣になってくれる康貴に、なんだかすごく嬉しくなる。

 いま、康貴は誰よりも私のそばにいて、私のことを考えてくれている。

 それだけでこんなに……だめだ。胸が熱くなったのは温泉のせい。そう思わないと、ちょっとのぼせてしまいそうで……。


「康貴、ありがとね」

「突然どうした」

「えっと……いつものお礼? 私は多分、こういう時じゃないと素直になれないから……」


 でもなんとか、それだけは絞り出して康貴に伝えた。

 顔が熱い。いやもう、身体全体が熱かった。

 ただでさえそんな状態だというのに、康貴が言った言葉に更に熱くさせられることになる。


「こちらこそありがとう」

「えっ⁉ なんで康貴が……?」

「俺は愛沙といて楽しいから、そのお礼」

「……そっか」


 ずるい……。

 康貴は本当にずるい……。

 本当に、背中合わせで良かったと思う。今の私の顔は、とてもじゃないけど康貴に見せられるものじゃなかったと思うから……。

 


書籍発売まであと10日!

特典SSにする予定だったものですが「ページオーバー」と「もうちょっと別の話にしよう」ということでWEBに回ってきたエピソードです。

この直前の脱衣所でまなみにセクハラされる愛沙がみられるのはとらのあな様の特典SS「脱衣所の一幕」になります


書籍版ともどもよろしくおねがいしますー!

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