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あの手この手で故郷防衛しちゃいます!  作者: のこりごころ
序章 目覚める者と約束
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人生に一度きり!?街に向けて出発!

「よしおまえら行くぞぉ!」

 シーアの誕生日から一週間がたった。

 シーアをめぐって争っていた16歳以上の男たちとシーアとシーアの同い年の女らはこの地域の領主が住む街に行くことになっていた。

 実はこの世界では16歳になったぐらいにアビリティが目覚めるのである。ただそのためには世界中にある神殿に赴き儀式を行わなければならない。

 ただこの村には神殿が無いため、領主の住む街にいく必要があった。この村は辺境であるため、馬車で片道2週間はかかる。故にこの村では一年に一回に16歳になった全員でまとまって行っていた。個人個人で行くと莫大な費用が掛かるからだ。

 今年もまとまって行くのだが、今回は人が多かった。なにせ17、18歳の男もいるのだから。

 実は村一番を決める際にアビリティ有り無しがあると不公平になるため、協定により男たちは16を過ぎても儀式を行わないことにしたのである。今回無事に村一番が決まったためようやくアビリティを目覚めさせるための儀式に行くということだ。

 例年の倍はある馬車に乗り込み、出発をする。

「シーア大丈夫かい?」

「うん。」

 一緒に馬車に乗り込んだソルトとシーアは2人仲良く座っていた。初めて乗るだろうシーアを気遣うソルト。

「ものすごく、揺れるね。」

 なにせ簡単な舗装しかされていない道なので馬車はガタガタと揺れている。

「気分が悪くなったら言うのだぞ。」

「うん。」

「はっはっは。二人ともしっかりと仲睦まじいな。」

 ソルトとシーアに男が話しかけた。

「やぁ、ガト。」

 ソルトが話しかけてきた男に返事を返す。

「村長の、息子ガト」

「ああそうだぞシーア。」

 ガトは村長の息子であり次期村長だ。年はソルトの一つ上、シーアの2つ上だ。かなり大柄の男性でとても力が強い。見た目は恐ろしいのだが気さくな性格で子供からの人気が高い。

「村一番の漢になってシーアを嫁に貰ったのだ。それで仲が良くなかったら村全員で怒るところだ。」

「それは恐ろしいな。」

「ソルトは、優しいよ。ご飯、いつも、作ってくれる。」

 この一週間毎朝毎晩シーアの家に行き、しっかりとソルトがご飯を作っていた。この旅が終わり村に帰って、ちゃんと婚儀を行ったらシーアがソルトの家に移り住む予定だ。

「そうか。ちゃんと主夫をしているのか。安心したぞ!」

 ガハハと笑うガト。

「ううっ酔った~。薬どこだ?」

 一人の男が馬車内で騒ぎ始めた。

「ジャニアス、荷物内の黄色い袋に入っているぞ。」

「ううっありがとう。」

 ソルトが馬車の後ろに置いてある荷物を指さして教える。

「相談役の、息子ジャニアス。」

 ジャニアスは村長の右腕と呼ばれる相談役の息子で、年はシーアと同じで、癖のあるもじゃもじゃの髪をもつ小柄の男性だ。

「まったくだらしないなジャニアスは。鍛えが足りんぞ!」

「はぁ、少し楽になったかも。ガト、馬車酔いは鍛えてどうにかなるもんじゃない!」

 少し落ち着いたジャニアスがキリッとガトをにらむ。

「いや。鍛えれば馬車酔いになぞならん!」

 ガトもにらみ返し言い返す。

「無理だね!」

「そんなことはない!」

 2人の言い合いが始まった。2人は年の差があるのだが、村一番の漢決めに参加した男はお互いを認め合い対等な立場として扱う友情が生まれていた。故にジャニアスは相手が年上で次期村長の息子だろうと関係なくかみつくのである。

「二人とも落ち着け!」

 ソルトが止めようとする。

「ソルト…。」

「?どうしたシーア?」

「気持ち悪い…。」

 シーアが顔を真っ青にして言った。

「シーア、君もか…。今薬を取ってくるから。」

「うん。」

 ソルトはそう言って荷物置き場に移動した。

「酔い止めはたくさん持ってきたけど、この分だと帰りの分が無いな…。街で補充するしかないか。」

 そうつぶやくソルト。

「うううっ!?吐く!」

「おいジャニアス!?」

 言い合っていたせいで更に悪くしたジャニアスが叫び、馬車を飛び降りた。一応鍛えてあるので無事に着地し、近くの茂みで吐き出すジャニアス。

「しょうがない奴だ!」

「すまない馬車を止めてくれ!!」

 ガトも飛び降り、ジャニアスの介抱をする。ソルトは馬車に止まるように言う。

 ソルトたちの馬車が止まると、他の馬車も異常を察知し止まる。するとこれ幸いにと他の馬車からも気分を悪くした村人が飛び降りて近くの茂みに走り込んだ。

「これはしばらく休憩するしかないか…。」

 予定通り街に着くかなとソルトはため息をついた。

「ソ、ソルト…私も。」

 シーアが顔を白くして瀕死の声で言う。

「ほら、おんぶするからもう少し我慢してくれ。」

「ううっ…。」

 ソルトはシーアを背負い馬車から降りていった。

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