第5話:特例名簿
特異能力者登録制度。
これは、特異能力者の存在が明らかになった時、政府がその能力者の把握と監視の為に作った制度である。
住民登録をすると同時に身体検査が行われその結果により登録がなされる。
そしてその登録簿は、警察署にデータベース化され、特異能力による犯罪の捜査に役立たれている。
しかし、この登録簿にはもう一つ特例名簿なる物が存在している。
その名簿に記された人間による破壊行動や傷害・殺人について、警察は一切の捜査・逮捕の権限を持ち得ない。
その名簿に登録された人間に関わる事件はトップシークレットであり、その事件についてはある企業に報告するのみとなっている。
それは政府が容認していることであり、現場や民間には口を出す権限がない。
それを良しとしない政府が能力者が一般的に確認されるようになった時、彼等に対抗して特異課が作られたのだ。
そういった背景からか、彼等との関係は良い物では無く、一触即発の状態なのだった。
その彼等の通称名は、扉の一族と呼ばれるものでいくつかの一族に別れているらしいのだが詳しいことは明らかにされていない。謎の一族だった。
大祐がこの事を知ったのは、配属されてから起きた立てこもり事件の後だった。
そして、沙紀さんは彼等と何かしらの因縁があるらしい。
しかし、その事については緘口令がしかれた為現場にいた自分達しか知らないことである。
もしかしたら、あの事件のように沙紀に向けて牙をむく人間がいるかもしれない。
あの時のように沙紀が傷つく様を見たくない。
(気を引き締めていかなければ)
大祐は、指揮を取る沙紀を見ながら気合を入れる。
「さぁ、行くわよ」
「はい」
一部設定変更させていただきたく思います。
主人公は高校を卒業してすぐ警官になっていましたが、
大学を卒業してということにさせてください。
沙紀との年齢差を色々な面で考えた結果です。
よろしくお願いします。