第3話:捜査命令
「この5人が被害者」
会議室のスクリーンに映し出されたのは、中高年の男性が5人。そのうちの一人が今朝、倒れた法務省の官僚だ。
「被害者5人に共通するのは、朝、家族が起こしに行くと意識不明になっていたということ。別に持病もなくいたって健康。ただ、目が覚めない」
沙紀の言葉に会議室に集まった面々は、うなる。
「さっちゃん。何か薬物を使用されたって可能性はないのかしら?」
「病院での検査の結果、薬物反応は無し」
「それじゃあ、やっぱ病気じゃないのか?」
「新種のウイルスとかですかね」
はっきり言ってお手あげ状態だった。
「今の段階では何とも言えない。でも、一応捜査命令が出たのよ。政府から」
「あー、被害者がお偉方ばかりだものね」
「あのー、ところで課長は?」
「課長は、政府の呼び出しを受けて京都に行ってる。とりあえず、被害者の周辺を洗ってみて。何も出てこないとは思うけど」
「沙紀さんは、何か気になることでもあるんですか?」
大祐が尋ねると沙紀は一言もらす。
「もっと何か違うことが動いている気がする」
沙紀はそう言うと黙ってしまった。
「まぁ、とりあえず調査をしてみましょうよ。もしかしたら何か出てくるかもしれないわ」
皐月の言葉に田丸と大祐は頷く。
そして各自捜査に出ようとした瞬間だった。
会議室の電話が鳴り響く。回線を確認すると緊急出動の回線だった。
皐月は急いでボタンを押す。
「新宿区で能力者が暴れているとの通報が入りました。九重刑事と大熊刑事、至急現場へ向かってください」
「了解。タロ、行くわよ」
「はい!」
沙紀と大祐は急いで地下の駐車スペースへと急ぎ、車に乗り込むと現場へと向かって行った。