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手の平の『欠落者』たち  作者: 今木照
夏と花火と君
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第十四話 隅田川夏恋話

()()()()...

2017年 隅田川花火大会当日 日本橋



 時刻は午後五時。

 今日は隅田川花火大会当日。


(う~、やっぱり緊張してきた~!けど、家であんなに確認したんだもん...!きっと大丈夫!...けどこの浴衣、やっぱり丈が短すぎたかも~...)


 なんてぐるぐる考えながら、私は小走りに待ち合わせ場所の日本橋へ向かう。


(...あ!いたいた!)


 数メートル先に、見慣れた顔が3つ。源と黒江君と真紀だ。


(な~んだ、私が最後だったのね)


「お~い!みんな~!待たせちゃってごめーん!」


 私の呼び声に真っ先に気が付いた源が、こちらを振り向く。

 今日は源も和服姿で、なんだかいつもと印象の違う彼の姿が、カワイイようでカッコイイような。


「おー!愛日も来たなー!」

「あー!愛日、浴衣姿めっちゃ可愛いじゃーん!」

「ふむふむ、少し丈が短い気がするが、それはそれで...」


「おい優人、愛日に色目を使うんじゃねぇ」

「あははは」


 友達って、こういう人たちのことを言うんだろうな。

 ...けど、今の私はその輪の中に居れる。とても、心地のいい空間。心から話せる人達、そして、心から愛せる人もいる。

 私の掌光病なんて、全く関係のない世界。


 ふと、笑っている源と目が合う。


「ね、ねぇ、源。その、似合ってるかな...?」



_____________________________________



 くちびる、慣れない紅さして貴方が待つ日本橋へ

 友達譲りお古の浴衣、少し丈が短すぎて

 淡い絞り夕顔の模様

「よく似合うよ」と言いながらも貴方笑いこらえてる


 人の波、右左避けながら歩く貴方の後ろ

 まるで雀みたいにチョコマカついてく私忘れないで

 貴方時計見て心配ばかり

 浅草で買った飴色の髪飾りに気がついて


 先行く貴方の後ろ姿、どうにも詰まらぬ私の隣

 膨れっ面でカラコロカラコロ足早に一尺一寸近づいて

 ユラリユラリと走る地下鉄に揺られて不意に背中押されて

 思わず腕につかまり嬉し恥かしこのままでいきましょ隅田川


 改札くぐり抜けて上がれば目の前に隅田川

「まだ時間あるね」と言って貴方背中向け歩きだした

 急に人混みに消える姿

 泣きそうな気持ち駆け出してギュッと掴んだ帯の縁


「スミマセン!」を繰り返し唱えて進む仲見世~浅草寺

 まるで流れに逆らい泳ぐ迷惑な二匹の金魚

 貴方賽銭を放り投げて

 ささやいた恋の願い事、私顔が赤らんだ


 からかわれむきになり言い訳にした二人を照らす夕陽

 プイっと拗ねたふりして困らせてみせた一分一秒長くて

 いぢめた詫びに買わせた苺カキ氷少し塩っぱい涙味

 繰り返し思い出し嬉しさ誤魔化しそろそろ戻りましょ隅田川


 夜空に咲く炎の華

 キラキラ水面に映る燃える光の赤や青や紫

 胸を揺らす轟音夜空に咲きます一尺三尺弾けた

 夏が終わっても、来年も、その先も、五年、十年経っても

 いつまでも貴方と一緒にと願って叫ぶ玉屋!鍵屋!


 見上げて見惚れて溶けた苺カキ氷流れて足濡らして

 ハンカチ出し拭いてくれた優しさ嬉しこっちを見ないでよね、隅田川

 夜空に咲く炎の華

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