377話 死闘
リ・ハーン軍の攻撃は常軌を逸していた。敵味方も関係なく犠牲にする攻撃はアルたちの予想を超えていた。
ギルバート軍2万は壊滅的被害を受け、アルも又数十本の矢が刺さっている。
それでもアルは動く事を止めない。動けなくなったと同時に殺されるからだ。
必死に剣を振るうが、何しろ敵の数が9万もいるのだ完全に積み状態であり、時間の問題となっていた。
だがさすがアルは強運、豪運の持ち主だろうか、カインが駆けつけてきた、アルのドラゴンと一緒に駆けつけてきたカインとドラゴンは9万の敵に襲い掛かる。
だが駆けつけてきたのはカインとドラゴン2体だけであった。他の部隊は各地で暴れている。
カイン「クロウ、マジック兵たちを守れ。俺はアルを救う。」
カインはドラゴンから帯び降りる。
カイン「アル、ずいぶんと苦戦してるな。まぁ死んでないなら問題ないな。」
アル「カイン兄、助かりましたー。」
カインの登場でアルにも又生気が宿っていく。数の力で押し切られそうであったアルに少しだが余裕が出来たのだ。
カインは、敵に容赦なく殺しまわっていく。そして又敵から矢が放たれる。
だがカインはそんな事は全く気にしなかった。全身強化中のカインは全てに矢を跳ね返してしまっていた。
流石としか言いようがないが、これはアルの姿を見た事でカインは防衛能力を上げていたのだ。普段は身体強化は攻撃の為に使うが今回は防衛重視としていた。その為に皮膚は矢を通さない程硬く強くなっていたのである。
カイン「スゲーな、味方関係なく攻撃するのか。」
アル「敵の頭は勝つために手段を選んで無いですよ。」
カイン「まぁ俺には関係ないな。全てを潰せば問題ない。」
アル「まぁそうですけど・・・。」
一方クロウとマジックもかなり苦戦していた。というよりトムとアスカと負傷兵がいるために得意のブレスを放つことが出来なかった。その為に地上に降りてチマチマと敵兵を潰していくしかなかった。
敵兵たちもドラゴンにビビっていたが、死兵たちがドラゴンの懐に飛び込み自爆していく。
クロウとマジックも段々と傷が深くなって、いなかった。さすがはドラゴンの鱗、傷がつく程度であった。だがそれも長くは続かないだろう。
アル達にとって自爆攻撃は厄介な攻撃だ。接近戦で戦っているアル達にとって一番嫌な攻撃であった。
リ・ハーンは、突然のドラゴン襲来に驚いたが直ぐに冷静に対処していった。奥の手であった自爆攻撃は敵を壊滅的被害に追い込んだが、それでもまだ抵抗をしてくることに驚いていた。普通はもう戦いは終わっている筈であったからだ。そしてドラゴンの救援が来ると敵の兵たちは盛り返して来たのだ。
リ・ハーン「凄いなこの軍は異常だ。」
長い間将軍として戦ってきたリ・ハーンの眼から見たギルバート軍は異常といえる存在であった。壊滅的被害を受けても屈することなく戦っている。一人は敵9万を相手にしてるのだ。
リ・ハーン「弓隊構え、うてー。」
リ・ハーンの攻撃は遠方からの弓攻撃と接近の自爆攻撃が主体であった。剣や槍の攻撃も常時行っているがカインとアルには全く通じない事で牽制程度になっていた。それでもカインとアルの動きを鈍らせることが出来ていた。かなりの人口密度である事でカインとアルは行動が制限されてしまっているのであった。
だが数時間も戦っていると9万もいた数が明らかに減ってきていた。カインとアルの活躍もあるがドラゴン2体の攻撃力が利いてきている。ドラゴン2体は近距離の攻撃は諦め、遠距離攻撃に専念していた。負傷者を背にして外へ(遠距離攻撃)とブレスを放っていく。足元では敵兵が必死にドラゴンを攻撃している。剣や槍でドラゴンを刺しているのだ。ドラゴンを守る為に負傷兵たちも戦っている。だが自爆攻撃の死兵がドラゴンに攻撃を仕掛けていく。ドラゴンに抱き着き自爆していく。何度も同じ場所で自爆を繰り返していくと流石のドラゴンも傷を負っていく。そこに剣や槍が突き刺さっていくのだ。
クロウもマジックも傷つく事等全く気にしていないようで遠距離攻撃に集中している。チマチマと攻撃を繰り返しても敵が減らない事でブレス攻撃に集中しているのであった。
そんな努力の結果、次第に数を減らしていくリ・ハーン軍であった。
リ・ハーン「くっ、3分の1がやられたか。」
それでもまだ6万の数がありリ・ハーンは攻撃の手を緩める事は無かった。
夕刻になってもリ・ハーンは攻撃は続けていた。数の力を使い攻撃する者と休憩する者とに分けてローテーションで攻撃を続けている。一方アルたちはもう12時間以上戦い続けていた。
そして夜が明ける頃には、アルたちはかなり消耗してしまっていた。飲み食いも出来ずに戦う事は限界がある。
それでもアルとカイン達は8000人もの兵士を殺していた。
リ・ハーン「攻撃をやめよ。」
大音量の声が響き渡る。リ・ハーン軍は攻撃を止めた。
リ・ハーン「西の勇者よ。よくここまで戦い抜いた。このままではいずれ全滅しよう。余は勇者の強さを痛感し感動した。停戦しようではないか。」
アル「停戦だと、こちらはまだ負けてはいない。救援が来るまで持ちこたえれば勝つ。」
リ・ハーン「いつ来るのだ。今日か明日か?それまでお前は持つのか、いいや持つのだろう、だが仲間は持つのか、このままでは死人が増えるだけだぞいいのか。」
アル「・・・・・・仕方ない時間稼ぎをしよう。停戦に応じよう。」
アルとしては、もう限界であった。後1時間も戦いっていたならば完全に殺されていただろう。対するリ・ハーンもかなり追い詰められていた。まだ兵は5万以上残っているが、かなりの消耗率であり、死兵たちの数がもうほとんど残っていなかったのだ。死兵が居なければリ・ハーンには勝ち目がない事を分かっていた為にリ・ハーンは停戦を提案していた。
両軍は一旦別れ、兵士たちの手当てを行ないっていく。
アルたちはマジックバック内に大領に食料・ボーションなどがある為に急速に回復していく。
リ・ハーン達も傷を負った者達を治療していく。
ひと段落したころにリ・ハーンはアル達に会談を申し込む。両軍の中央での会談となりアルとカイン、リ・ハーンと影武者は、天幕の中で会談となった。




