375話 大春華国前皇帝
大春華国の北の大貴族であるリ・ハーンは各地を平定していく。北から都へと向かって軍を進めている。各地の貴族領は、大貴族であるリ・ハーンに逆らう事が出来ず軍門に下っている。
リ「フォフォフォ、余に従う者達も多くなってきたな。」
将軍「はい。リ様のご意向が浸透しています。これからはあの者達に各地を平定させていきましょう。」
リ「おーそうだな余は都で反逆者を成敗しなければ成らないからな。それより余が都で皇帝をお救いするのか?」
将軍「そうなります。皇帝をお救いして自ら退位していただきます。そして次の皇帝はリ様となります。」
リ「フォフォフォフォフォ、余が新たな国の皇帝となるのか、いいぞいいぞ。」
将軍「リ様の能力が発揮されるときが来ます。」
リ「そうだろうそうだろう。余のこの能力は、皇帝になって発揮されるからな、フォフォフォフォ。」
都
アル「北の大貴族はこちらに向かっているようだな。」
騎士「はい、北から都へと向かっております。その道すがら各地の貴族を支配下に置いているようです。」
アル「他の貴族達は動かないか。」
騎士「はい、動いていません。」
アル「北だけというのも変だな。」
騎士「そうなんです。」
そうアルたちの予想では一つの貴族が動けば他の貴族達も挙って動き出すと予想していた。それが他の貴族達は領地に籠って全く動きが無いのだ。
カインが各地を荒らしまわっているという事を考慮しても全く動かないという事はありえない話なのだ。
この国の伝統というべきなのかは分からないが、大春華国より以前の国では一つの貴族が動けばそれにつられるように他の貴族達が動き出すのだ。最初に動いた貴族を反乱の首謀者として討伐し、そして皇帝を救うという名目なのだ。
アル「ギルバートという異分子がいる事で行動しないのか。」
騎士「それは分かりませんが、原因があるとすればギルバートでしょう。」
アル「そうなると過去のこの国の伝統が通じないという事になるな。」
騎士「そうなります。いかがいたしましょうか。」
アル「それならば、今まで通りだ。敵が来たら滅ぼすだけだ。」
今、大春華国は陰謀の中にいる。ギルバートという西からの脅威で、大春華国の貴族達は水面下で一致団結していた。カインが各地で暴れ回った事が原因であった。大春華の各地はカインによってボロボロな状態となり、貴族同士が助け合わなければ成らない状況となってしまったからだ。そして都が占領された事で、各貴族達は秘かに連絡を取り合い団結することなっていた。只一人だけ除外されている者がいた。それが北の大貴族であるリ・ハーンであった。
このリ・ハーンは貴族達からかなり嫌われている。北の大地の支配者であるがこの男には全く魅力が無いのだ。能力はそこそこでまぁ普通である。大貴族であるリが何故そこ迄嫌われてしまうのか、それはもう一つの大春華の血筋であるからだ。
大春華国の皇帝は、子育てなどしない。まぁ普通の貴族も子育ては乳母などに任せているのだがリの親が、前皇帝の子であることが原因であった。
ハーン家は前皇帝が子供の為に造った家である。前皇帝は、跡継ぎでなくこのハーンを溺愛していた。
それはハーンの母親が美しく皇帝が惚れてしまったのだ。
皇帝が一人の女に惚れるなど許される事ではないのだが、皇帝の言葉は絶対であり逆らう事はできないのである。
前皇帝は、奥へ籠るようなことはしなかった。義務として毎日いたしていたが、一日中やるようなことには絶対にしなかった。奥から出て執務を行なう事を毎日の日課としていた。その為に大春華国内は安定し、高官たちは大いにご不満となっていた。皇帝は大春華を繁栄させるために色々な改革を行った。
高官たちにしてみれば自分たちの取り分が無くなる行為であった。
皇帝は、惚れた女の為に子供に大領を与えた。北の大地である。この北の大地は当時何もない土地であった。それを皇帝は各地から人を集め大きな都市や街、町、村を造り出していく。
皇帝は、皇帝が愛すものは排除されることを十分に理解していた。少しでも隙を見せれば惚れた妃も子供も殺されてしまうだろう。皇帝を殺すことはしないし出来ないが皇帝の周りの者達を代わりに粛清していくことは十分にあり得るのだ。
そこで皇帝は策を労した。
愛する妃とその子供を守る為に次期皇帝を馬鹿に育てたのだ。それは現皇帝を高官たちが好きなように扱えるようにしかけたのであった。欲望のまま行為をする者にしていた。余り読み書きを教えず、政治の事、家臣の事等は教えずに女性を抱くだけが仕事にしてしまったのだ。この策によって高官たちの興味が全て次期皇帝に灌がれていく。
次代の役職の取合が始まったのだ。この役職によって高官たちの収入が変わってくるからだ。
現皇帝の役職は皇帝が死ねば、いったん白紙となるのが大春華国の決め事である。これは皇帝暗殺を阻止するためである。家臣たちが都合の良い皇帝を擁立する事が出来ないように皇帝に仕える者は一代限りとなっていた。
その為に次期皇帝の役職を巡って高官や高位貴族達の駆け引きが行われる。
次期皇帝は即位したならば今までにないほど高官たちは潤う事になるだろう。それは内政を行わない事が分かっているからだ。ヤル事だけが仕事なる皇帝であるために、賄賂政治が大手を振って行える環境が出来上がる事になるからであった。
そして皇帝が死ぬとスムーズに即位の儀がなされた。皇帝は奥という場所へと連れて行かれ。毎日数回の女性といたす事となった。
この現皇帝は教育もなされず、大事もされていない皇帝であった。それでも皇帝を少しでも助けようと家臣たちは目立たぬように皇帝に教育を行った。皇帝は信頼する家臣たちの助けを得た事で字を学び、大春華という国の事を学んでいった。自分で物事を考えるという事を学んだのだ。数年もすると自分がいかに危ない立場でる事をハッキリと理解する。皇帝はこのままバカな振りを続けていくとにしたのだ。皇帝が扱いやすいとなれば、次を考える事はないと考えてたからだ。
今大春華国には、アルの保護された皇帝と北の大貴族である皇帝の異母兄弟が帝位を巡り争いとなりそうであった。アルの保護する現皇帝か新たな皇帝が誕生するのかはまだ分からないが、大春華の転換期となる事だけは間違いがない。




