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自作小説倶楽部 第24冊/2022年上半期(第139-144集)  作者: 自作小説倶楽部
第141集(2022年3月)/季節もの「分岐点」(春分・春一番・卒業・春休み)&フリー「疫病」(コロナ・防疫・免疫)
10/25

02 柳橋美湖 著  分岐点 『北ノ町の物語 94』

【あらすじ】

 東京のOL鈴木クロエは、母を亡くして天涯孤独になろうとしていたのだが、実は祖父一郎がいた。手紙を書くと、祖父の顧問弁護士・瀬名が夜行列車で迎えにきた。そうして北ノ町に住むファミリーとの交流が始まった。お爺様の住む北ノ町は不思議な世界で、さまざまなイベントがある。

 ……最初、お爺様は怖く思えたのだけれども、実は孫娘デレ。そして大人の魅力をもつ弁護士の瀬名、イケメンでピアノの上手なIT会社経営者の従兄・浩の二人から好意を寄せられる。さらには、魔界の貴紳・白鳥まで花婿に立候補してきた。

 季節は巡り、クロエは、お爺様の取引先である画廊のマダムに気に入られ、そこの秘書になった。その後、クロエは、マダムと、北ノ町へ行く夜行列車の中で、少女が死神に連れ去れて行くのを目撃。神隠しの少女と知る。そして、異世界行きの列車に乗って、少女救出作戦を始めた。

 異世界では、列車、鉄道連絡船、また列車と乗り継ぎ、ついに竜骨の町へとたどり着く。一行は、少女の正体が母・ミドリで、死神の正体が祖父一郎であることを知る。その世界は、ダイヤモンド形をした巨大な浮遊体トロイに制御されていた。そのトロイを制御するものこそ女神である。第一の女神は祖母である紅子、第二の女神は母ミドリ、そして第三の女神となるべくクロエが〝試練〟に受けて立ち、見事、免許皆伝。見習から第三の女神に特進したクロエの新たな〝試練〟は恋!


挿絵(By みてみん)

挿図/Ⓒ奄美剣星「橋の上で」

     94 分岐点


 皆さん、ご機嫌いかがですか、クロエです。見習から正規の女神となるための浮遊ダンジョン〝トロイ〟での試練が終わり、終生を共にする伴侶を選ぶことになりました。


     ◇


 「クロエを射止めるのは誰かしら?」お婆様が微笑んで、私を送り出しました。

 行先は、桜満開の並木に囲まれた、蓮の花が咲き乱れる庭園。なんてでたらめな季節感。されど美しい、「心」という字の形を表した池の畔を歩いてみる。

 池には中島があり、太鼓橋で、向こう側へ通じていました。

 求婚者三人のうちから一人を選ぶときが来ました。三人とも、今まで旅を共にしてきた仲間であり、皆頼もしい。そう私は考えていました。

 三人のうち、最初に現れたのは、瀬名さん。

 瀬名さんは、子供のころ、母ミドリの弟分だった人で、大人になると、北ノ町でお爺様の顧問弁護士になっていた人。そして私を、北ノ町へ連れてきてくれた。スーツが似合うノッポな小父様。

 歳の差がある。これから始まる夫婦生活というものの中で、行き違いは生じまいか。

今の世の一般常識として伴侶は、同世代を選ぶもので、年の差婚というのは避けられる傾向にある。――というか異端者扱いされるというものです。


 橋といえば、『マディソン郡の橋』という映画がある。古い屋根付き橋を撮影にやってきたカメラマンが、農家の主婦と恋に落ちる。主婦はカメラマンを愛しつつも、生き方が違うから、けっきょく別れてしまうことになることを予見し、カメラマンの求愛を断り、家族とともに生きることを選んだ。


 池の水面を泳ぐオシドリが羽ばたきました。


 今は、否定されてしまったのだけれども、心理学の学説に、「吊り橋効果」というものが提唱され、こういう不安定な場所に揺らされていると、危機感から、恋に落ちやすいというものです。――頑丈そうな橋なので、いずれにせよ、その効果はなさそう。――でも、逆に言えば安定感があるということでもあります。

 瀬名さんは、控えめだけれども、少し離れたところから、さりげなく私をサポートしてくれたことを理解している。

 五分ほど瀬名さんと話をする。私は次の場所へ。太鼓橋を振り返ると、愛らしい男の子の姿をした守護者・護法童子くんが顕現して、手を振っていました。――あの子はご主人様が大好きだ。そして私が彼とくっつくことを強く切望している。――出会ったばかりのころ、媚薬効果のある〝桃〟を私にくれようとした。もし食べていたら、私は瀬名さんにぞっこんになっていたはず。そういう意味で問題児。でも憎めない。


          ◇


 橋の向こう側にある中島では従兄の浩さんが待っていました。

 それでは皆様また。次回にお会いしましょう。


 By クロエ

【主要登場人物】

●鈴木クロエ/東京暮らしのOL。ゼネコン会社事務員から画廊マダムの秘書に転職。母は故ミドリ、父は公安庁所属の寺崎明。女神として覚醒後は四大精霊精霊を使神とし、大陸に棲む炎竜ピイちゃんをペット化することに成功した。なお、母ミドリは異世界で若返り、神隠しの少女として転生し、死神お爺様と一緒に、クロエたちを異世界にいざなった。

●鈴木三郎/御爺様。富豪にして彫刻家。北ノ町の洋館で暮らしている。妻は故・紅子。異世界の勇者にして死神でもある。

●鈴木浩/クロエに好意を寄せるクロエの従兄。洋館近くに住み小さなIT企業を経営する。式神のような電脳執事メフィストを従えている。ピアノはプロ級。

●瀬名武史/クロエに好意を寄せる鈴木家顧問弁護士。守護天使・護法童子くんを従えている。

●烏八重/カラス画廊のマダム。お爺様の旧友で魔法少女OB。魔法を使う瞬間、老女から少女に若返る。

●白鳥玲央/美男の吸血鬼。クロエに求婚している。一つ目コウモリの使い魔ちゃんを従えている。第五階層で出会ったモンスター・ケルベロスを手名付け、ご婦人方を乗せるための「馬」にした。

●審判三人娘/金の鯉、銀の鯉、未必の鯉の三姉妹で、浮遊ダンジョンの各階層の審判員たち。

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