4-3 《?ない無いナイ?-1》
今度はアレでいいか―――
狙いは、テキトー。しかしやることは変わらない。
殺す、宣言する、帰る、探す。
アタシがTV番組に乱入し、殺しを見せ、“ゲーム”の中止の宣言やその他もろもろの警告というか宣告というか……をこなし、はいサヨナラ、を繰り返すようになってから三日が経過した。
“蜜”の力を持ってすれば電波ジャックで一回目の私の凶行を一辺に全世界に広めることだってできるが、アタシはコレを敢えて、時を変え場所を変え繰り返し繰り返し行っている。
この国以外でも行っている。きっと今頃は全世界にアタシの宣言は知られている、はず。こんな凶行を繰り返ししていることも。
にも関わらず、今日もあるTV番組の撮影がある。不思議なものだ、もうそろそろTV番組に出演してたらアタシに殺される可能性がある、なんて思い始めてもいい頃なのに。
所々番組のプログラムの一部が無くなったりするだけで、いまだ律儀にTVという媒体を地球人は使い続けている。
なんだか不自然なくらいだ。まだ状況が分かっていないのか。
本当に適当に殺してるからな、アタシ。見る人にとってはあっけなく見えすぎて実感持てない、とか?
本当、変な話。変だけどまだできるってんならまたやってやろうじゃないか。
とある高層ビルの中に今回狙う撮影場所があった。
討論番組というヤツだろう。
「キブカ星人達の宣言の考察」
「“ゲーム”とは一体?」
「TVジャック時現れたマアリとセバスチャン、そしてリリィの関係性」
等をテーマにしてどこかの大学のお偉い教授様の討論を撮影しているようだ。
そんな事、討論してもあんまり意味無いと思うけどなー。テキトーなんだよ、大体全部な。
―――それを今から、アンタらのその身を持って証明してやろうじゃないか。
現場に飛び込む。そこから間髪入れずに殺意を込めて腕を無造作にブゥンと振るうと、討論していた教授様達とその司会を勤めていたアナウンサーは生命を宿す人間からただの肉塊になった。
―――悲鳴が上がる。そこからすぐさま、今まさに振るった暴力をタネにカメラマンとプロデューサーを脅迫し、撮影を続行させる。
どうやら生放送じゃなかったらしく、予定通りに放送させることも言い聞かせねばならなかった。こういうことも、よくある。生放送ならこういう手間も無いんだけどな。
そうして、カメラの前で私は語り始める。面倒だなぁ……
「―――今日は地球人の皆様に伝えたいことがありまして、ここにやって参りました。……他の番組で私の事をもう見られた方もいらっしゃいますでしょうが、こうして繰り返す事も私の目的と一致する部分もありますので……まぁ、こんなこと、繰り返し見なければ実感なんてできないでしょう?」
「あぁ、申し遅れました。私の名前は、リリィ。“スターハント”が潰された時の事は、覚えていらっしゃいますね?その時に今の私と同じようにTVに出ていた、マアリ、セバスチャンの……まぁ、同族、といった風な存在です」
「先ほど話させて頂いた通り、地球人の皆様にお伝えしたいことがいくつか。まず、我々が“スターハント”を潰した際に宣言させて頂いた“ゲーム”についてですが、もう続行する価値無し、と判断し、中止とさせて頂きます」
「そして、その時にも話させていただいた通り、我々キブカ惑星調査隊マアリ班は、貴方方地球人に戦争を仕掛けます。この戦争は、地球人を絶滅させるまで終わりません。……まぁ、精々覚悟しておくことですね
「抵抗は無駄です。私達には特別な力があります。貴方方の持つ兵器は私たちの力……“蜜”と言うのですが。それには、通用しません。いくら試してもらっても構いはしませんが、無駄ですよ」
「……そうなると、貴方方の希望は既に“ゲーム”に参加している立候補された地球人の代表者達、ということになりますかね。最初の宣言通り、彼等には私たちの使う“力”を与えていますので、まぁ普通の兵器を使うよりは私たちに抵抗できるでしょう」
「勿論、その方達も他の地球人と同じように殺害しますが。まぁ、逆に地球人代表者達が私を殺すのを期待しておけばいいんじゃないでしょうか?」
絶対、無理だろうけどね。
「地球人代表者の皆様方にもお伝えしておくことがあります。もう“ゲーム”は終了しました。その“蜜”の力もご自由にお使いください。逃げることに使っても、戦うことに使っても構いません。あぁ、徒党を組んで私に挑む、というのもアリですよ。いつでもどこでも、受けて立ちましょう。ただ、『勝ち目はありません』とは言っておきますね」
……なんかもう話疲れてきた。このTVを使った宣言もこんなモンでいいかも知れない。飽きた。もしまだ必要そうなら、今後はこの映像をまた無理矢理電波ジャックして流してもらおうか。
「……“ゲーム”というのは元々地球人の真価を見極めるために行われていたもの。これを考え、提案したのはこの私、リリィです。地球人には、滅ぼすには惜しいと思える「何か」があると信じて、これを進めてきました。……しかし、これまでの“ゲーム”で貴方達はその「何か」を私達に提示できなかった」
「私は絶望しました。貴方達に。その為に、“ゲーム”は中止になるのです。私はこの“ゲーム”の言い出しっぺとして、責任を取ろうと思っています。地球人の絶滅させるこの計画を進めるのは、この私、リリィのみで行います」
「責任者として、この計画を完全に終わらせるまで、私は止まりません。そうですね、今後はこういう風にTVに出演するのもやめにしたいと思います。まぁ、貴方達地球人はとにかく、あまりにも数が多い。そのため、順序立ててきっちりと、という感じでは無く、テキトーに目についた人から殺していくことにします。テキトーでも、この計画はいつかは終わらせることが出来るでしょう。先ほどもご覧になった通り、私はただの地球人なら簡単に殺せます」
そういって、バッと手を広げてみる。
赤い、赤い、赤い。
出演者達がバラバラの肉塊になった時に噴出した、アタシ達とは異なる真っ赤な血を吹き出し、ソレがこの場所と肉塊の数々とアタシを濡らしていた。
どんな風に見えているだろうか?これで、少しは「実感」ってヤツを持っていただけるといいが。
「……では、そろそろ失礼します。いつかTVの前の貴方も殺しに参ります。それまで、どうぞ充実した余生を過ごせますよう……」




