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2-7 マシンガンをぶっ放せ

 「オオオオオオオオオオオッ!!!」

 「先に動いたのはミループ!いきなり花子チャンに突撃だーーー!!!」

 

 ……うわぁ何アレ何アレ何でそのデカさでそんなスピード出せるのヤヴァイヤヴァイ!!!

 もう小細工もへったくれも無く大熊が突撃してくる。

 

 (「思い通りにする」だったよな……!!!)

 

 慌てて「攻撃を素早く避ける」光景をイメージして足に力を込め、横に飛び込むように突撃を避けた。

 避けた……のだけど。


 「まだだぜ花子チャン!!ミループはこういうのに良くある急には曲がれません止まれませんってな貧弱キャラじゃあねえんだよ!!」


 マイクンの言う通り、避けた、と思った次の瞬間にはヤツは方向転換してアタシにまたも突撃しようとしていた。


 「マジか!」

 「グルオォォォォォォ!!!」

 

 さっきと同じように避ける、がまたも完璧な方向転換で迫ってくる。


 「見よこの美しき走行フォーム!!!完璧なフォームは完璧な走りを産む!!!」


 そう、コイツは熊のクセして世界陸上にでも出るのかというぐらいのキッチリとした走りを見せていた。野生的要素の欠片もなく、最早機械的。追尾ミサイルの如し。何だよテメー熊なんだったらちゃんと熊キャラやれよ熊キャラ!


 「グガァァァァァァ!!!」

 

 その咆哮だけだよ熊っぽいの。そんなのが完璧なフォームで走り、追い回してくるシュールさといったら。いやシュールって言っても怖いケドネ!


 「ただひたすらに!ただひたむきに!突撃、突撃、トツゲキだーーー!!!」


 ヤケクソな戦い方ではあるけどこれキツイ!アタシも避ける、避ける、ヨケル!

避けながら気付いたけど、この“蜜”の力、思いが具体的で明確である程効果的ってのは実感できる。

 「取りあえず早く動け!」より「アイツより早く!」「この攻撃を避ける!」という考え方の方が楽に体が動く。ビュンビュンビュンビュンキモイくらいに飛び回るアタシ。もし力を得る前のアタシが見たら呆然としちゃうだろうな。もしくは笑い出すかも。

 だけど厄介なのは相手も同じ条件だって事だ。

 

 「―――何かコイツ早くなってね!?」

 「オオオ……ガアアアア!!!」

 「さぁギアが上がってきやがったなミループ!ガンガン早くなってんな!まさに暴走機関車だ!速度制限ブッチギリ!だけどレールは外れないぜ?」

 

 避けまくるアタシに対してヤツも「アタシに当たる速さ」をイメージしているんだろう。アタシもイメージが明確になるにつれて速くなっているはずなのに、状況がほとんど変わらない。不自然な程に完璧な方向転換でどこまでも追ってくる……!

 

 「オイ、逃げてるだけじゃ勝てねぇぜ花チャンよぉ!」

 

 また向かってくる大熊。死のイメージが頭にちらつく。普通こうなるとって恐怖で足がすくんだりするんだろう。

 

 しかし、だ。こうして戦いのスリルに身を落としていると、おぼろげだった一度目の戦いの感触が甦ってくる……!ほとんど意識は無かったが、「体が覚えている」というやつなのか?

 

 「別に初めてってワケでもないだろう?」と言わんばかりにアタシに纏わりついている黒いボロ布がバタバタと騒がしくはためく。

 

 「早く殺らせろ!」と石の大鎌が囁いてくるような気がする。どうなってるんだコイツらは。道具の癖に一丁前に持ち主を鼓舞してくる。それもはっきりとした言葉がある訳でも無い。ただ伝わるのだ、アタシに。

 

 「グガァァァァァッ!!!」

 「う・る・せ・え・なっ!」

 

 体が爆発したように動き出す。直前まで迫った大熊の体をギリギリで飛び越えながら、大鎌を思い切り振るう。まさに3本目の手というぐらいに自然に振るわれたソレは、大熊の肩のあたりを深く引き裂いた。

 そして、そこから真っ赤な血液代わりの黄色い“蜜”がしぶきを上げた。

 

 「うおっし!なんだか分からんがとにかくうおっし!」

 

 空中で思わすはしゃいだ声を上げてしまう。

 

 「先制したのは花子チャンだ!ヤルねぇ……だが!!」

 「グゥルルル……グ、ガーーーーーーッ!!!」

 「ゑ?」

 

 ……コイツマジか。決して浅くない大鎌の一撃を食らわせてやったにも関わらず、もう突撃してきてやがる!あとついでにアタシはまだ空中だったりするわけで。

 

 「あ、ちょいタンマ!」避けらんねぇ。

 

 直後、凄まじい衝撃が体全体に。気付けばゲームエリア端の壁までぶっ飛ばされて、大クラッシュ。なにこのアクション映画。

 

 「ついに当たっちまったか!イイ感じにぶっ飛ばされたなオイ!生きてるかー!?」

 

 まぁ普通なら死んでます。だけど……

 

 「おお生きてる生きてるよアタシ」

 

 “蜜”スゲー超スゲー。としか言いようがあるまい。必死で体を守るイメージをしていたら……まぁ最早意識的にやってるレベルじゃないけれど、どうにか即死は免れた。どころか、

 

 「案外イケるなコレ。やい熊公、んなんじゃアタシは倒せねーゾ!」

 

 無傷、ってわけでも無いけれど全然動ける、戦えるぞコレ!

 むしろ一発食らって何か緊張も解けて吹っ切れたくらいだ。

 やれるぞ。むしろ……殺れる!

 テンションも振り切れてきた。まぁヤケ起こしている感は否めないが。でも、まぁ、ヨシ!

 

 「おおっとぉ!直撃したにも関わらずピンピンしてやがる!やはり違うねぇ春野花子!オマエは期待の新星だぜコンチクショウ!」

 

 よし。そろそろ予習の成果を見せようじゃあないか。

 この中2病デザインで形も変えれん罰ゲーム武器だけど……能力はあの後見つけてある。結構使えるんじゃないかなコレは!このカラーリングが○―さんなコイツを実験台にしたらぁ。動物虐待大賛成!かかって来いよ愛護団体。怖いのかっ。

 

 「ソ○ックブームッ」

 

 怒られそうな掛け声と共に大鎌をぶん投げる。グルグル回転しながら一直線に大熊に迫る。

 

 「ググゥッ!?」

 

 呻き声を上げながら怯んだ熊。

 

 「投げたーっ!?んで命中!これにはたまらずミループ痛みに悶えるっ!だけど花子チャンオマエ武器手放してどうすんだよ!?」

 「フフン、トーシロめ」

 

 何をもってトーシロなのかは自分でも知らんが余裕の笑みを見せてやるアタシ。今度はコッチから突撃してやる。熊に向かって走り出す。

 

 「なんとぉっ!春野花子、自分の倍どころじゃねぇデカさのミループに今度は自分から突撃!んでもって手ブラ!クレイジーだ、今更だけどナ!」

 

 熊の方も既に体制を整え、アタシを迎え撃つように突撃してくる。あっという間に距離は縮まり、クラッシュ寸前だ。勿論そのままぶつかりたいわけでは無い。ギリギリで避ける。熊の突撃の勢いは当たってもいないアタシの体をビリビリと震わせる程。

 

 だけどアタシもかなりエンジンかかってきているのだ。

 

 避ける、だけで無く熊のバックを取る。大熊のミループはアタシの今までで一番のスピードに全く反応できていない。その好機にアタシは、ヤツの背中を()()()()()()で斬りつけていた。

 

 「オオオオオオッ!?」

 

 ふむ。全然言葉を話さないからそんな印象が無かったけれど、自分が受けた攻撃の不可解さが分かる程度には知性があるらしい。その痛みから上げた声はヤツの混乱が伺えるものだった。

 

 「……何が起こったぁ!?素手の筈の花子チャンの手に……あの大鎌がぁ!!……いやだが!さっき投げたやつはまだ地面に転がってるぞ!?」

 

 そう、これがこの武器の能力の1つ。何と簡単に増やせるのだ。形はどう頑張っても変えられなかったのに増やそうとするとまさかのアッサリ成功。その時は鍵穴に鍵がピッタリ収まるような……「ドンピシャ!」とでも言いたくなるような感触で、すぐにコイツ自身の能力だと本能で理解出来た。

 

 なのでぶん投げて飛び道具にしたりしてもリスク無し。ドウヨ?

 

 んでもって実はもう一つ能力あるんだよなコレが。いやーデザイン以外はマジ便利。高い所の枝とかも切れます。これでお値段なんと9800円。護身用から庭の手入れまでこれ一本家庭に一本。……うん。どうせ増やせるんだしこんな感じで売りつけるのもアリかも知れない。……ナシだな。

 

 「花子チャン鎌を投げる投げる投げつける!ここに来て一方的な展開だーっ!」

 

 ビュンビュン飛び回りながらとにかく大鎌を投げては手元に新しいものを創り増やし……を繰り返しながら四方八方から飛び道具で攻めまくる。傷だらけな大熊。なんか背徳感で変なテンションうなぎ上りなアタシ。人は簡単に残酷な生き物になるんだねぇ。キシャー。

 

 「どんだけ増やせるんだ花子チャンよぉ!もうゲームエリアを埋め尽くしまう勢いだ!」

 

 埋め尽くすとは言い過ぎにしてもどこを見ても大鎌だらけなことは間違いない。それほどの量の飛び道具を食らってついにミループがその巨大をよろめかせ、ついに膝をついた。

 

 よしっ……もう少し……っ!

 

 「ついに屈したかミループ!……いやまだ勝負はついていない!見ろ!あのミループの構え!」

 

 ―――なんだろう?うなだれているように見えるが何かどっかで見たことが……

 

 「クラウチングスタートの構えだぁぁぁぁ!!!」

 

 ……マジで?まぁ完璧なフォームで走ってたしそれぐらい普通なのかも知れない。しかし熊がクラウチングって。

 

 「ウゥゥゥゥゥゥゥ……」

 「この構えからの全力突撃がミループの切り札だ!今までとは比べ物にならねえぞ……さぁどうするよ花子チャン!!!」

 

 一発大鎌をぶん投げて当てて見たが身じろぎもせず耐えるミループ。あの様子だとこれぐらいの攻撃では今から来る突撃を止められないだろう……

 

 「グ、グ、グ!グッガガガアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 おぞましい咆哮を上げながら、陸上選手のようにこなれたクラウチングスタートからのダッシュでアタシに迫る。

 

 だけど。もうアタシは仕込みを終えている。この大鎌の能力を生かした大技の!

 


 地面に転がっている大鎌がガタガタと震えながら一斉に宙に浮かび、そしてそれら全てが獲物に向かいグルグルと回転しながら襲いかかる!


 

 「ウガアアアアアアアアア!!!」

 

 ハイエナのように群がる100は優に超える数の大鎌。それに巨体のミループの姿が飲み込まれ、あっという間に見えなくなる。ズタズタにその体は引き裂かれ、悲痛な断末魔がこの“真価の闘技場”に響き渡る。

 

 「うわー……えっげつねえ……思わずヒいちまうぜコリャ……多勢に無勢、まさにリンチだぜ……」

 

 ドン引きするマイクン。ふん、戦隊ヒーローだって5人くらいで1人の怪人タコ殴りにするだろーが。戦いは数だゼ。正義執行のための効率化だ。

 

 もう一つの能力。それは増やした大鎌は手放したとしても自在に動かせるというものだった。何と言うか、大鎌の数だけ脳味噌が増えた感じ。無理なく……ってわけでもないけれど、個別に動きを操れるっぽい。でも今回は流石に多すぎた。100以上あるもん今。

 正直調子乗りました。頭痛いー。体ダルいー。


 全ての大鎌の動きを止める。ガシャガシャと地面に落ち、その姿がかき消えていく。後に残ったのは丁寧に丁寧にバラバラにされた黄色い“蜜”に濡れた肉片のみ。やがて肉片はグズグズと溶けて消え、あとには水たまりになった“蜜”だけ。



「圧っっ倒的ィィィ!!!終わってみれば前回に続きまたもや虐殺ゥ!!!春野花子の勝利だ、オメデトウ花子チャン!!!」

 「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 どっかーんと爆発するような歓声が上がる。おいおいそんなはしゃぐなよーデヘヘ。

 

 「クソえげつねえ必殺技まで見せつけてくれた花子チャン!あの技を破れる戦士はいるのか!?それとも最後まで無敵を貫くのか!?オマエラ、次の彼女の“ゲーム”も見逃すなよ!!!」

 



 「うう……」


 勝った……また生き残った。

 一旦控室で休んでから帰る事にした。終わった途端疲労がドッと来た。ベッドにダーイブ!ボスっと音を立てて着地。


 あの大熊を斬りつけた時の感覚が手に残ってる。今回は前回と違いキッチリ意識があった。自分から一つの命を殺しにいった。冷静に考えれば気持ちの良いものでも無い。吐き気と……そして何故か高揚感を感じる。

 やっぱジェットコースターみたいなモンなのかな。もう初めて乗った時はかなりテンション上がって……まぁ疲れれるんだけど家帰ってベットに横になるとその時の感覚が甦ってきてニヤニヤしちゃう。今みたいに。

 疲労感だって心地良いものだ。凄い健康的に運動を生活に取り込んでいるねぇ。軽いジョギング代わりに死に物狂いのバトルはいかが?いや案外悪くないなー。勝てれば、の話というのが最大の欠点だけど。

 

 そして歓声……今まで歓声なんてもらったこと無かったから分からなかったけど芸能人とかが「癖になる」なんて言うの分かるなぁ。次は胴上げとかお願いしたい。耳にしっかり残ってる。ニマニマ。

 

 ……というか、アイツ等人間側が勝ってもスゴイ楽しそうなんだけど。流石に冷たくないかね自分トコの戦士に。もしかして死刑囚とかじゃねえだろうな。やーねえ。



 「……てな感じでさ、なんつーかアイツ等戦士達って嫌われてるの?」

 

 気付いたら控室のベッドでそのまま爆睡してしまい、リリィに起こされた。丁度良いしそのまま疑問をぶつける事にした。

 

 「そんな事は無いわ。大体彼等は生き返るし」

 「ゑ?」


 リリィの説明によるとマアリは一度創った命なら、例えそいつが死んだとしても、後に残る“蜜”さえ回収できればそこから同じように創り直すことも出来るんだそうな……

 

 「ず、ずっこいぞソレ!命賭けてるのコッチだけじゃん!?チクショウ殺しに来るんだったら殺される覚悟くらいしてこいよ!アタシはしてないけどネ!」

 「いや殺されてはいるのだからショックは大きいわよ……前のゴキブリ君かなり参っていたわよ」

 「ゴキブリ野郎のことなんか知ったことか!アレは暴走してたんですー意識ないんですーアタシは無罪ですぅー。巻き込まれたヤツがマヌケなのさ!」

 「ヒドイわねぇ……このシステムのおかげで“ゲーム”が出来るのよ?とりあえずの被害は出ない……殺された戦士の精神的ストレス以外は、ね。」


「それも立候補制だから、それなりに覚悟がある奴が揃っているから大きな問題では無いし、マアリ直々にフォローもする……元々は地球人は即殲滅な!というところを()()何とかかんとかこの『ゲーム』で見極めるって形にしたのよ?」


 「……ゑ?」


 今なんかスゴい事言ってたような。


 「リリィさん……“ゲーム”ってアナタのアイデアなんですか?」


 思わず敬語。


 「あれ?言ってなかったっけ?……うーん……でも一回どっかで言った気がするんだけど。まぁどうでも良いけど」

 

 良くない。ってことはだ。もし地球人代表の中で“ゲーム”に勝利して地球人を丸ごと救ったヤツが現れたとして、そいつと対になる裏の功労者はリリィってことになる。


 「……そういやそうねぇ」

 

 ……これである。何なのこの人。


 「地球人がどうのこうのっていうのは問題じゃなくてぶっちゃけマアリに花ちゃんをけしかけてみたかっただけなんだよねぇ。それでもってスケールもバカでかい感じに演出したくてああなったの」

 「だからアタシをけしかけるとか意味がわからん!」

 「なんかマアリが知った口で『いいじゃんもう地球人滅ぼしちゃおうよー』とか言うからさーちょいとイラッ☆ときたんで一発ヤヴァイサンプルを味わってもらおうって」

 

 駄目だ!何言っても無駄だコイツ!身も心も怪物じゃねーか!

 

 「そうね、私達マアリに創られた生命の中で、地球人の殲滅を反対しているのはたかだか十数人。皆私と同じように、死んでしまってからたまたま地球人に“蜜”がどう作用するのかを調べてたマアリにその力で生き返らせてもらった人達。」

 「……今や提案した私よりその他の人達の方が躍起になっているわね。んで、地球人から代表者を集めている。私はハナから花ちゃん以外は推薦する気無かったけど。まぁ他のヤツ見て参考にしてから動こうかなって感じで敢えて最初は動かなかったわ」

 「他の代表者はサンプル扱いか……」

 

 うーん。ドンドンリリィがロクデナシな印象に。コイツの案に乗って良かったのか。今更だけど。


 「ともかく。戦士達に関しても、地球人絶滅に反対する人達に関しても、それでイジメられていたり嫌われていたりハブにされているわけではないわ。私達反対側にしたってたった数人の意見でしか無いのに律儀に聞いてもらっているのだから。実は人間関係は健全なのよ?絶滅で決定していたのにチャンスが与えられたのは一番大きいのはマアリの価値観によるものでしょうね」

 「マアリの?」

 

 あの変態縞模様タイツが何だというのか。

 

 「―――自分と異なるモノも許容する。それがマアリのポリシーの1つだそうよ。その精神の在り様はマアリに創られた生命全てに受け継がれている。そういう集団だからこそ、“ゲーム”が成立する」

「……つまり。話戻すけど、力の差で完璧に生殺与奪自由自在にも関わらずありがたーい崇高な理念によりチャンスをくれているのだから自分達だけ命を賭けている形でもギャーギャー言わない」

 「納得いかーん!」

 

 

 ……全く、酷い話だ。まさかリリィが“ゲーム”の提案者だったとは。そして目を付けられるアタシ。アタシ、何かしたっけ?

 しかもリリィ自体は地球人の行く末等どうでも良いと来た。そんなリリィは代表者としてアタシだけを推薦した。ナンデ。

 

 アタシがおかしいのかリリィがおかしいのか。……いやリリィは間違い無くオカシイ。アベレージガールはエキセントリックキラービーヒューマン(意味不明)として覚醒してしまったのである。だからどういうことなの。


 だけど今更だ。アタシは踏み出してしまったのだ、戦いと言うモノに。最早当初の理由の中で大きかった「リリィが持ってきた話だから」ということは薄れ、「ここで退くのはモヤモヤするだろあくまでアタシが!」というのがアタシ考えの大半になっていた。


 

 いや正直認めたくはないのだけれど。



 「戦った今日」は「戦っていなかった今まで」よりもずっとマシだったのだ。


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