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迷い人

前書きや後書きは特にはこれからも書きません。

この物語を読んでくれることを望んでいます。

日本のようで日本ではない場所、いわゆるパラレルワールドと呼ばれる世界では魔法が発達し科学は衰えている。

発達した科学は魔法と呼ばれても不思議ではないが、逆に発達した魔法は科学すらも凌駕すると言われる。

そんな日本のようで日本ではない場所に一人の少年が迷い込む。

「ここは…家の近くか。一瞬すごい光だったから何かあったかと思ったけど何もなかったみたいだな」

少年は歩き出す我が家がある方へ、しかしここは少年の住んでいた日本ではない。名を『大和』魔法が発達し科学が衰退した世界。

『少年よ、お主どこからこの世界に入り込んだ』

目の前に黒い着物を着た老人が現れ少年に問う。

「……は?」

『お主はどこからこの世界に入り込んだのだ。許可なく入り込んだ者にはそれ相応の罰を与えるぞ』

少年は怪訝そうな表情をして目の前に立つ老人を見ている。

『さぁ答えろ少年によ、お主はこの世界にどうやって入り込んだのだ』

「どうもこうも俺は最初からここにいたし、今も学校から帰ってる途中だ」

『ふむ…。言葉に偽りはないか。だとしたらお主は迷い人とゆうことか』

老人はそう言うと手で豊かな髭を触りながら目をつむる。

『迷い人…。他の世界から突如現れる強大な力を持った者。迷い人には試練が必ず立ちはだかる。ふむ、暇なワシの楽しみができた』

老人はどこか楽しそうな表情を浮かべて少年を値踏みするように視線を下から上になぞる。

『少年よお主は圧倒的なまでの力を持った。それを使い何をしようがお主の勝手じゃ。お主を縛る物はこの世界にはない、ゆえに自由!!そんなお主に贈り物じゃ受け取れ』

何もない空中から一枚のカードが現れ少年の胸に吸い込まれる。

『困ったことがあればそのカードを使うといい。それではの』

老人はそう言うと煙のように少年の前から消える。

「いったいなんだったんだ…?」

少年には首を傾げながらも我が家に向かい歩き出す。これから起こる事を何も知らないまま…。


◇◆◇

「母さん!?俺だよ日向だよ!!」

少年の前には恐怖に怯え家から押し出そうとする一人の女性。

「貴方のような人は知りません!!はやくこの家から出て行って下さい!!」

少年を家の中から押し出す事に成功した女性は急いでドアを閉め鍵をかける。

「母さん!!イタズラにしちゃタチが悪いぞ!!」

『はやく消えて下さい!!警察を呼びますよ!?』

家の中から金切り声のような声で叫ぶ女性、少年は意味がわからないといった感じでドアから離れ歩き出す。

「いったいなんなんだよ…。自分の息子を家から追い出して警察を呼びますよとかおかしいだろ…」

ここは少年の住んでいた日本ではない。大和と呼ばれる日本に似た世界。

「なんか違和感があるんだよな…。仕方ないしばらくウロつくか…!?」

少年の前には魔方陣と呼ばれる物が光を放ち空に存在している。

「魔方陣…?」

『グルァアアア!!』

魔方陣の中から巨大な口が現れ吼える。口だけだった物は次第に顔、体が魔方陣の中から抜け出してくる。

「なっ…なんだよこれ…」

腰を抜かしてその場に座り込む少年はガタガタと震え抜け出てくる何かを見る事しかできない。

「何でこんな化け物がいるんだよ!?何なんだよこれは!!」

完全に魔方陣から抜け出た者は巨大な狼、五メートル程の身体に巨大な脚に爪、襲われれば一瞬で少年の命は散るであろうほどの圧倒的強者。

『グルルルルル…』

巨大な狼はヨダレを垂らしながら少年を見て唸る。

『今だ撃て!!』

少年が声のしたほうを振り向くと弾幕ゲームのように目の前が見えないほどの様々な色をした球体。

「なっなんだこれ…」

目の前に広がる光景は少年の住んでいた場所では絶対にない光景だ。

「あぁぁぁぁぁあああ!?」

球体が近づき腰の抜けていた少年はよける事もできず様々な色をした球体が体中…否体を包む。

『熱い!?冷たい!?痺れる!?切れる!?』

少年の体はただれ凍り焦げ切り裂かれていく。狼も同様少年のようにボロボロになっていく。

『おい!!いま少年がいたぞ!!』

『神獣相手にたった一人の少年を気にする余裕はありません!!』

『しかし…』

遠くから言い争いをする声が微かに少年の耳に届く。

『神獣…気にする余裕はない…あいつらが俺をこんな目に…』

空には宙に浮かんだ数十人の人達。

『グルルル…』

横を見ると自分と同じようにボロボロになった巨大な狼が空を睨むように顔や微かに傾けている。

「おっ…おい…あいつら頭…おかしいな…」

『グルルル…』

自分と同じようにボロボロになった巨大な狼を見ても先程までの恐怖はなかったゆえに話しかけた少年は返事が返ってきたことに驚き目を見開く。

「お前…俺の言葉が…ガハっ…」

巨大な狼に近づこうとする少年の体目掛け空に浮いている一人から槍が投げられ少年の体に突き刺さる。

「グゥ…俺まで敵認定かよ…ゲホッゲホッ…」

体を貫かれた事により口から血を吐き出す少年。

「なっなぁ…お前まだ動けるか…?」

少年が問うと巨大な狼は四肢に力をいれフラつきながらも立ちあがる。

「お互い簡単に死ぬのは嫌だよな…。ならいきなり襲ってきたあいつらにひと泡吹かせてやろうぜ…」

そう言って少年は立ち上がり巨大な狼にすがりつくように体を任せる。

『契約者の能力により神獣フェンリルと対等な契約をいたします。能力発動まで3.2.1....0。能力発動により傷を完全に治します』

直接頭に響く中世的な声がそう言った瞬間ボロボロだった巨大な狼と少年の傷は完璧に治る。

「なっなんだこれ…傷が治った…?」

『さぁ少年、あやつらに一泡吹かせてやろうぞ』

「今の声…お前か…?」

巨大な狼はそうだとばかりに頷くと少年を咥え背に乗せる。

『契約者の能力により契約獣に武具を装備します』

中世的な声が響き巨大な狼の体に赤いラインが伸びていき脚には四つのリング、爪には鋭い爪より鋭利な刃が装備される。

『これは…少年!!一泡どころかあいつら全員殺せるぞ!!』

「えっと…なら行くか?」

少年がそう言うと少年を背に乗せた巨大な狼がその場から掻き消える。

『グルァァァァア!!』

空に浮かんでいる人達の後ろに現れた狼は鋭利な刃がついた爪を振るい一瞬で数人の命を刈り取る。

「なっ!?神獣が回復したぞ!!迎撃するんだ!!」

先程と同じように様々な色をした球体が飛んでくるが何故か狼の前で煙のように消えていく。

『効かぬ!!効かぬわ!!』

消えては現れた一瞬で数人の命を刈り取って行く巨大な狼。背に乗っている少年は激しい動きを物ともせず目の前で行われている蹂躙劇をぼーっと眺めている。

「全員神獣から離れろ!!『聖なる焔は灰すら残さず浄化する…白焔!!』

男から放たれた白い炎が少年と巨大な狼に向かいどんどん近づいてくる。

『効かぬわ!!』

狼の前に黒い穴があき白い炎を吸い込んでいく。

「なっ!?」

『残念だったな、しかし今の我には効かん…死ね!!』

そう言うと鋭利な刃がついた爪を振るい残っていたもの達を一瞬で切り裂く。

『少年、終わりだ。大丈夫か?』

そういいながら地面に降りると屈んで少年をゆっくりと降ろす。

『さて少年、まず礼を言おう。少年のおかげで助かった。油断していたとはいえあのままでは本当に死んでいた』

「いや…まぁ…俺にも何が何だかわかってないんだけどな…」

苦笑しながら頬を掻き言う少年。

『ならば我が教えてやろう。お主は我を助けたうえ強力な魔法具を与えてくれた。感謝してもしきれん』

「まだよくわかんないけど…素直に受け取っておくよ」

『うむ。それでは次の件に入ろう』

少年が首を傾げていると少年の前に一枚のカードが現れる。カードには目の前にいる強力な狼が描かれている。

『我は一生お主の力になると誓おう。剣になり盾になりお主に降りかかる全てのものを振り払うとここに宣言する』

「えっと…どゆこと…?」

『我がお主の契約獣になることを決めたのだ。もう仮契約は住んでいるが本契約がまだだったのでな』

狼が描かれたカードが光だし少年の胸に吸い込まれる。

『これで正式に我はお主の契約獣だ。これからよろしくの…名前を聞いてなかったな…』

「俺の名前は小鳥遊日向、ヒナタだ」

『ふむ、ヒナタか、我はフェンリル、狼の王にして神獣ランク8位だ』

そう言う顔は狼の顔なのに何故かドヤ顔をしているように見える。

「名前は?フェンリルが名前か?」

『我に名前はない。そうだ!!ヒナタがつけてくれ!!』

「俺がつけるのか!?………セツ、雪と書いてセツ」

そう言うとこれでもかとばかりに尻尾をブンブンと振り嬉しそうに目を輝かせるフェンリルロードことセツ。

『セツか…うむ良い名だ!!我は今を持ってセツだ!!』

「喜んでくれてよかった…よ……」

目の前がボヤけ体に力が入らず倒れる日向、地面に倒れる前にセツが口で咥え背に乗せる。

『今頃疲れが来たか。まぁ仕方あるまい、あんなにボロボロになったんだ。まっこれからよろしくだヒナタ』

日向を背に乗せたセツがその場から消える、残ったのは大量の血とバラバラになった死体だけ。この件により新たな問題が起こることを日向とセツはまだ知らない。

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