表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》  作者: ムササ
第一章 機械の奏でる狂奏曲
11/113

#10 ミーディア学園校長

 〈自動照準式マシンガン シャイン・オブ・サタデイ、レイン・オブ・サンデイ、構築完了。目標を識別しました。攻撃を開始して下さい〉


 その言葉を聞き届け、私は引き金を引いた。


「鋼夜君、美月ちゃん伏せてて!」


 照準はフォーチュン・ドリームが定めてくれる。やり方は授業で学んだ。ならば私は戦える!

 サタデイとサンデイから凄まじい轟音と共に実弾が発射される。

 そしてそれはグリモアの体に吸い込まれる様に命中していく。

 私は頭に構築されたバイザーに表示される命中確認の文字を見て手応えを感じた。


「今だよ鋼夜君、美月ちゃん!そこから逃げて!」


 私のその言葉に二人が一瞬の隙をついてその場から離れる。

 私はグリモアが二人を追わない様に更に二丁のマシンガンを持つ力を強める。


「ポーラ大丈夫か⁉︎」

「うん大丈夫だよ鋼夜君、私なら大丈夫!」


 だが、グリモアもただやられている訳では無い。

 ポーラの弾幕が薄くなった瞬間を狙って砲口からビームを打ち出す。

 ポーラは銃の心得は受けているものの、ミーディア学園に入る前は普通の子供だったのだ、そんな攻撃を避ける事は訓練でならまだしも、これは実戦である。体が上手く動くはずもない。


「きゃっ!」


 そして一発のビームがポーラの左腕に命中する。

 それはフリーダムナイツの防御力によってポーラ本人にはダメージは無いものの、ポーラの持つサタデイをはたき落とす衝撃を与えるのには十分だった様だ、ポーラの左腕から離れたサタデイは遠くへと吹き飛んでいく。


「ポーラ!」


 鋼夜がポーラを守るために咄嗟に飛び出す。


「行くぞイグナイト!」


 鋼夜の体が光に包まれ、その体に量産型の第一世代フリーダムナイツ、イグナイトが現れる。

 だが、あくまでイグナイトは練習機である。殆ど攻撃性能は無い。


「鋼夜!下がれ!イグナイトじゃ無理だ!」


 そんな事を気にする間も無く、グリモアがこちらにビームを打ち出してくる。

 だが、一丁マシンガンが減ったフォーチュン・ドリームと練習機であるイグナイトではグリモアの圧倒的な攻撃力の前に防御しか出来なかった。

 そして一瞬の隙を突かれ、ポーラに一つの砲口が向く。


「ポーラ危ーー」


 俺がそう言った瞬間、ポーラの体が後ろへ吹き飛んだ。

 ポーラの小柄な体はビームの衝撃により、数メートル吹き飛ばされた。

 その瞬間、俺の中の何かが壊れた。


「鋼夜!撤退だもうじき先生方が来る!もう生徒も逃げ終えただろう、ほら早く!」


 後ろから美月のそんな声が聞こえてくるがそんな事はどうでもいい、俺の頭の中を占めていたのは憎悪だけであった。


「すいません、師匠。使います、例えそれで俺がどんな代償を払おうとも……俺はどうしても仲間が傷つけられるのは耐えられません…………行くぞ…紗夜(・・)


 俺が、俺の……いや紗夜の力を使おうとした時。


「おい、馬鹿餓鬼。それは使うなって言ったよな?」


 グリモアが生身の人間の攻撃を食らって機能を停止させた。

 中国に伝わる武術の一つの技、発勁(はっけい)

 その攻撃でグリモアのコア一点のみを破壊し、機能を停止させたのだ。


「ジジ……師匠…」

「てめえ、今ジジイって言いかけたな、馬鹿餓鬼」

「いや……それは……」

「まあいい、ほれ嬢ちゃん達が俺の登場に目を輝かせてるぜ」

「何言ってんだ師匠みたいな中年のおっさんが来ても誰も喜ば………?」


 見ると美月達が揃ってキョトンとしている。


「鋼夜……本当にその人が師匠となのか?」

「鋼夜君……君は凄い人だったんだね!」

「おい、美月、ポーラどうしたんだ?」

「鋼夜、本当に分からないのか?」

「ああ、だから何なんだよ!」

「その人、滝沢秋水さんか?」

「ああ、ミーシャ言ったっけ?」


 そのあとミーシャは深いため息をついてから驚きの言葉を放つ。


「その人がミーディア学園の校長にして、天剣十三将序列一位のお方だ」

「…………は?」


 俺が驚いて、ジジ…師匠の方へと向く。


「おう、その通りだ。敬え馬鹿餓鬼」

「……………ええええええええ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」


 〜〜〜〜〜〜〜


「全く……貴方という人は……」


 今俺たちがいるのは校長室。いる人は俺と師匠、それにフェルリア先生である。


「七年前、勝手に飛び出していって、その後音信不通だったのはこの鋼夜を鍛えていたからだと?」

「その通りだぜ、フェルリア」


 全く反省の色が無い師匠を見てフェルリアが本気で睨みつける。


「次はそういう事の無いようにしてくださいね?」

「ああ、多分な」

「多分⁉︎」


 他の人ならばいざ知らず、このジジイには何の効果もなかった様だ。

 その後、グリモアは鹵獲され、ポーラとミーシャは医務室へと運ばれたが、命の心配は無く明日には普通の生活に戻れるらしい。


「ああ、そうだ馬鹿餓鬼。今度あれを使おうとはするなよ?…………死ぬぞ?」

「あれとは?」

「なんでも〜?」


 フェルリア先生の言葉を適当に流し、師匠は校長室から俺を追い出した。

 なんでも大人の時間らしい。

 そうして校長室から追い出された俺は1人考える。

 確かにあれは使うべきでは無い。

 だが俺はあいつを目の前にして勝てる力が欲しい。

 そのためならば俺はなんでもする。

 例え命を投げ出そうとも。


 既に俺はもう人間では無いのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ