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プロローグ
何よりも、人生で一番愛するものと出会えたのだから、この人生はよい人生だったと思う。
それは、小さくて、黒くて、垂れ耳で、見た目に反して意外に筋肉質な、大切な家族だ。出会ってから七年間、そばにいてくれた。
亡くなったときのことを、今でも克明に覚えている。腕の中で穏やかに息をして、ゆっくりと目を閉じた。
まるで眠るようだった。
少しして体温がなくなっていき、もうここにはいないという実感を覚えた。
人生で一番泣いた。きっとお月さまへ旅立ったのだと自身に言い聞かせた。きっと自分も同じ場所に行けると信じた。
どれくらい時間がたっただろうか。突然の胸痛で息ができなくなった。苦しかった。
陸でおぼれるような感覚で、何かに助けを求めようと手が空を切る。
確実な死が目の前にあっても、考えたのは――
これであの子に会えるかな、ということだった……。




