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トラストルノ  作者: なさぎしょう
輪舞曲
66/296

SOUP本部 SideH 地図無き城


SOUP本部内をコート氏に連れられ案内される。とは言っても、案内されるのはおそらく本部内のほんの一部。

どんな緊急事態にあっても、部外者に全てを教えないとは徹底ぶりが凄まじい。


「こんな案内に、あんな資料で何をどうしろってんだろーね…」


並んで歩く名影に真城がボヤく。


「問題ないよ。手は打ってある。」


「ふーん………は?」


名影は不敵に笑う。真城は思わず聞き返してしまった。名影は時折ありえないようなことを考え出す。真城がSクラスに入れられた時も、ありえない約束を条件にSクラスに入った。


「もうじきさっきのファイルや今の案内より数十倍使える情報が手に入るわよ。」


コート氏は、どこの階の説明も手短に済ませていく。このままいけば、3人組がやってきても、このまま侵入されて、やられて終わりだ。





モンド氏をはじめとする守備隊の面々は指示を聞き、すぐに行動に移る。…がフィリップ達にはさっぱり指示の内容がわからない。

ここに来た当初から、なんとなく疎外感を感じている。SOUPの方から呼びつけておきながら、疎ましく思っているようにすら感じ得るのだ。

部下にあらかた指示を出し終えたモンド総長が、西校の生徒達を振り返る。


「君達はこの作戦本部にて待機してちょうだい。状況を見て指示を送る。」


「え⁉︎」


あまりに予想外の発言にフィリップとアリスは非難めいた声を上げた。

それじゃなんのために呼ばれたのかわからない。

しかし、2人の驚愕の表情もモンド総長は無視し、次の指示を出し始める。


「別に私たち職業見学に来たわけではないんだけれど…」


ジャックの出没予測地点はこの建物からも見える8番ゲート付近。ジャックが連れてくると思われる予測人数は10人〜15人。

それらがどのようにして割り出されたのかをフィリップ達は知らない。それをモンド総長に訴えると


「そんなの私たちだって知らないわ。ただ為すべきと指示が来たから、そこへ行き、為すべきをなすのみよ。」


と冷たく切り捨てられてしまった。

これではフィリップ達は取り付く島もない。


「ねぇ、総長さん。そのジャックってやつは連れ人を簡単に切り捨てるようなやつなんだよね?」


「えぇそうね。」


カルマの唐突な質問にも、モンド総長は調子を崩さない。


「ところでそのジャックってやつはいきなり本陣に突っ込んだりしてきたことはなかったです?」


「…あったわよ。」


「あなた達の仕掛けた罠に飛び込んできたことは?」


「…あったわね。」


モンド総長は面倒臭そうにしつつも、答える。カルマの方は質問に答えられるごとに楽しそうにニコニコし始める。

何名かの守備隊の隊員が気味が悪そうにカルマを見ている。


「もう質問は無いかしら?」


カルマから10個ほどの質問を受け、モンド総長はうんざり、という風に言うと、部屋の奥の一団の方へ歩いていく。


「なんかさ、SOUPって大丈夫…か?」


「ね…地図もなし、相手についての情報も大して無し、私達みたいな子供を呼んだかと思ったら待機を命じてくるし…」


フィリップとアリスは不服をもらす。リドウィンも苦笑しつつ「不安になるよね」と同意していた。

唯一、カルマだけはニコニコとして楽しそうだ。


「なにか奇策があるのかな?」


リドウィンがカルマの横の席に腰を下ろし問う。


「僕らは何もせずにここにいればいいのさ。ジャックと会いたいならね。」


「ほう…というと?」


「ジャックはきっと自分と似てるんだよね〜。ゲーム脳っていうかさ。あれもこれも全部ゲーム感覚なのさ‼︎」


ジャックがカルマと似ている?なぜそんなことが言えるのか。


「最近トラストルノの外じゃ"サバイブ"とかいうゲームアプリが流行ってるそうじゃないか‼︎ゲームといっても戦うのは自分ではなく画面の中のキャラクター達‼︎画面の外のプレイヤーはまず誰かを選ぶ、そして掛けをしたりするそうだ。」


「だからなんだよ‼︎これは現実、ゲームじゃねぇんだからな‼︎」


「あぁ、でもこのゲームが僕らに多くの有益な情報(アイテム)を与えてくれるかもしれないよ。」


フィリップとアリスはやれやれと首を振る。

リドウィンはいまの発言の何かが気になったのか、はたまた全く興味が無くつまらないのか、端末をいじりだす。

と、カルマが満面の笑顔と大きめの声で、リドウィンに話しかける。


「ちなみに‼︎俺のオススメはね…




"切り裂き魔(ジャック・ザ・リッパー)"かな‼︎」



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