SOUP本部 SideH 守備隊
地下に行くと、すさまじい圧迫感が西校からの生徒4人を出迎えた。地下なので当然窓は無い。それはまだいい。
問題は、おそらく照明のつける位置だろう。
壁や天井が迫ってくるように感じるのだ。
「な…なんかちょっとこわいわね…」
アリスは微妙にカルマに近づいて歩く。カルマは全然恐怖心など感じていないようで、小さく鼻歌なんて歌いながら、壁に手を沿わせて歩いている。
「にしても廊下長いですね…?」
「えぇ、地下4階には今から行く特別会議室とシェルターが2つしかありませんから。」
この階は廊下を歩いていて部屋の一つも無い、というのが余計に不安を煽っているのかもしれない。
しばらく行くと、T字路に出る。
「さて、どちらに行きましょう?」
そこで唐突にモンド総長がクイズ風に問いかけてくる。ただ声の調子は相変わらずでワクワクは全くしない。
「ど…どっちって言われても…」
「はいはーい‼︎左だね。」
3人が困惑していると、カルマが当たり前とでもいうように答える。
するとモンド総長はカルマの言う通り左へ。
次に十字路が見えてくるとカルマは
「ここも左、次は右だ。」
とあたりまえのように言い切る。
言う通りに進んでいくと、突き当たりに扉が見えてきた。
「嘘…本当に着いた…?」
他の3人は驚きを隠せない。モンド総長だけが特になにも言うことなく、突き当たりの部屋まで行き、そして扉を開いた。
中にはSF映画なんかで見るような、異世界感溢れる部屋が広がっていた。
会議室というよりは、司令本部とか、なんかそういうものに近い。大きなパネルや幾数ものパソコン、大勢の男達。よく見ると数人だけ女性がいる。
「すごいな…」
リドウィンは部屋を見回して感心してしまった。地下にこれだけの空間を作り出すなんて。
物置などであればまだしも…
「全員、注目‼︎」
モンド総長が今日1番の声で全体に呼びかける。その声のあまりの大きさと鋭さに、空間全体に空気の槍が飛んでいったかのような振動があった。
「彼らが近日起こると予測される武装テロ集団トランプからの奇襲に対応するべく、PEPE西校からはるばるやって来た生徒達だ。我々は彼らと共にジャックの対応を任されることになった。」
「東校の生徒達と、3人組への対応はどうなったんですか?」
部屋の隅の方にいた40代くらいの屈強な男性が聞く。
「3人組は東校の生徒達だけで対応するそうだ。我々の協力は必要ないそうなのでな。」
そう言うと部屋の中がしばしざわつく。「助けなしとか本気か」「子どもだけでなにが出来るんだ?」という声が聞こえる。
全くもってその通り。あいつらはなにを気取っているのか知らないが、絶対に後で後悔することになる。
「まぁいま東校の生徒についてはどうでもいい。我々はジャックを捕らえる策について話し合わねばならない。」
"どうでもいい"と言い切ってしまった…
「ジャックについての資料はこのファイルにまとめられている。ジャックは常に手駒を従えて現れる。」
手駒…という言い方が引っかかる。
「なぜ手駒だとわかるんです?仲間かも。」
リドウィンが問うと、解答が思わぬところから響いてきた。
「捕らえたやつがなにも知らなかったから…じゃないかな?」
カルマは勝手に空席に座り、椅子をくるくるとしなから答える。
「なにも知らされていない。つまり捕まった場合も捨ておく気が満々ってわけだろう?金欲しさに集まったような奴なのでは?と考えるのが平凡さ。」
なるほど…他の3人はカルマの説明に思わず納得してしまう。
「でも手駒を捕まえたおかげで容姿などについての情報は、東校の担当する3人組より多いんじゃない?ラッキーハッピー♪」
最後の妙ちきりんな発言によって、せっかくの有益な発言も台無し。
「なにがともあれ、だ。ジャック捕獲のための配置や作戦の詳細を決めていこうじゃないか。」
守備隊の1人が声を上げると、全員が部屋の中心近くに集まり、大きめの地図が中央のテーブル型スクリーンに表示される。
「この地図自体は完璧な地図ではない…がこの地図がおそらく今のところはもっとも完璧に近い。」
SOUPには…正確にはSOUP本部には正確な地図がない説はどうやら本当のようだ。
地図の漏洩が無いように、ということだが、さすがに地図がなくては不便だろう。
「それでは配置を決めていく、各自頭にたたき込め‼︎」




