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トラストルノ  作者: なさぎしょう
輪舞曲
48/296

リスト


「クローン化成功者のリストってのはな、まさしく開けてはならない"パンドラの匣"なのさ。だってよ、考えてもみろよ…開けてみてこの人類みんなの名前が仲良く羅列されてたら。突然俺らはみんながみんな模造品っつーことになっちまう。」


「模造品にはならないさ。だって別の個体として…つまり僕が僕として生きている限り、なにものも僕にはなれない。同時に僕も僕以外の何物にもなれない。」


「なんでそう言い切れる?そいじゃあお前さんがお前さんだと言える根拠はなにさ。」


「そりゃあ…"我思うゆえに我あり(コギトエルゴサム)"さ‼︎」


「お前さんはすぐにどっかしらから言葉ぁ見繕ってきやがるな。自分の言葉で喋れねぇのかぃ?」


「違うよ。これぞまさしく僕の言葉なのさ。」


「なんだかよくわかんねぇな…お前さんは、なんだかおっかねぇ…」








あまりに、懐かしい夢を見た。

あれはもう何年前の出来事か、はたまた本当にただの夢か、もしくは模造された記憶(・・・・・・・)か。

僕は隣に眠る人物を跨ぎ超えていくと、台所に向かう。今夜は随分喉が乾く。


「…リスト、か。」


幼い頃から突拍子もないことや、辺鄙な場所が大好きだった。誰も遊ばなくなった旧時代の遊具、誰も近寄らない廃墟、誰も読まない書物…そういったものが、僕を作りだす全て。

そして"誰も開けず、開こうとも思わない"リストは、確実に僕の心を捉えて離さず、何年も胸に残り続けた。



さっき、今は眠る彼から聞いた話が本当なら、僕はそのリストを見ることが出来るかもしれない。

禁忌とは手を出してはならないからこそ"禁忌"たりうるのだが、同時にだからこそ触れられてしまうのが禁忌なのだ。


「絶対に見つけ出して中身を見てやる。」


もはや僕にとって、リストの中身や内容などくだらなかった。

ただ、それを手に入れ見ているのだ、という満足感が欲しいだけの一道具に過ぎない。



また、3人で行動することになるだろうか。

出来れば3人がいい。

3人で1番最初にリストを見つけ出して、そして中身を見てやるんだ‼︎



決意を新たにするとベッドへ戻る。

また跨ぎ超えて自分のスペースへ。


おやすみなさい…と意識が飲まれていった。


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