第29話 〜新たな旅立ち〜
ライオスとの激闘から2週間。
レオンたち一行は………
未だグラストヘイムにいた。
「これからどうする?」
次の目的地を決めかねていた。
「魔王の城が何処にあるかね」
セノンの言葉に全員が口を閉じる。
「これまで情報らしい物はありませんでしたね」
「アルフェンの記録が唯一の手がかりだな」
「……忘却の花園…か……あんまり行きたくはない場所ね…」
エリシア、レオンの言葉にセノンがアルフェンでの資料を思い返し、顔を歪める。
「どんな場所なんじゃい?」
「……死した魂が集う場所よ……資料によればね」
セノンは掠れそうな声で言う。
「死した魂が集う場所?」
カインは聞き逃さなかったようだ。
「お、憶測を出ないけど、世界の墓場ってところかしらね………うぅ…」
「まぁ、まずはそこに行ってみるしかねぇな!」
「で、でも!い、行き方も場所も分からないし!!」
どうにも挙動不審なセノン。
「それなら、グラストヘイム大空洞の奥に精霊時代の古文書があった筈だぜ!それを見れば生き方なんかもかいてるかもしれねぇぞ」
ゴメスが助け舟を出す。
できるなら早く出て行ってほしいのだ。5人も増えては狭くてしょうがない。
「よし!行ってみるか!」
俄然やる気のレオン。
「ね、ねぇ…ほんとに行くの??」
「??? どうしたんですか?セノン。さっきから様子が変ですよ?何か怖がっているような……」
セノンのオーラに恐怖が混ざっている事をエリシアは見逃さなかった。
「あ、アタシ……幽霊とか、オバケとかダメなのよ!!なにアレ!?訳わかんないじゃない!!」
涙目になりながら訴える。
「は?モンスターとか悪魔とかへっちゃらで魔法ぶっ放してるお前が?」
レオンがすっとボケた声で聞き返した。
「ぷっ…ふふ…ふははははは!!」
「天下の大魔導師様にも苦手な物があったんだな」
「な、なによ!学問で証明できないものは怖いのよ!!」
一同から笑いが溢れる。
「まぁ、何だ。今はそれしかねぇし、行ってみるしかねぇだろ。なぁに、幽霊でも何でも俺が守ってやるよ」
そう言ってセノンの頭をポンポンと撫でるレオン。
思いっきり顔が紅くなるセノンと、物言いたげなエリシア。
「罪深いねぇ」
誰にも聞こえない声でカインがつぶやいた。
そして、グラストヘイム大空洞の深層へ向かう事となった。
グラストヘイムから更に奥へ空洞を進んでいく。
普段、ドワーフたちも入ることのない神聖な場所だった。
“精霊時代”、女神ルミナスが人間を作るより以前の時代をそう呼称している。
様々な所から古文書や預言書が発掘され、多くの学者がその解読に日夜尽力している。
魔導学と古文書は親しい所が多い。
その殆どが精霊文字で書かれているからだ。
セノンであれば、古文書の解読も可能であった。
生活圏から離れた空洞内は物静かで、一行の歩く音だけが反響する。
「………」
セノンを見つめるエリシア。
先程とは打って変わりウキウキのセノン。
何はともあれ、古文書が読める事に浮足立っていた。
少なからず、今は失われた魔法形態などが記載されている事も多いのだ。
研究者としてこれ程嬉しいことはない。
「……そんなに嬉しいんですか」(なでなでされて)
「そりゃそうよ!これで更に発展するわ」(学問が)
「いいなぁ…わたしも発展させたい…」(レオン様との関係)
「発展には、踏み出す事よ!そこから始まるんだから」(学問はね)
「…私には…勇気がありません…壊してしまいそうで」(今の関係を)
「多少の犠牲は覚悟の上よ!失うもの以上に得るものがあるわ」(知識がね)
「セノンはすごいですね……ずるいです」(愛されて)
「何言ってるのよ。これはアタシが培ってきた物よ。エリシアだって自信を持ちなさいよ」(神聖力は学問の一つよ)
「でも……」
「アンタにはいい武器があるじゃない」
胸を叩くセノン。
「え!? え!?で、でもそんなに大きくは………」
「ん? なに? 気持ちよ、気持ち!!学問の発展は探究心という気持ちからくるのよ!!」
「え?」
「ん?」
「………………」
「………………」
「おーい!何やってんだ?おいてくぞ?」
会話の違和感に立ち止まった二人に、発行する腕を松明代わりにするレオンから声がかかる。
「え、えぇ!」
「今行きます!」
発光する腕。
暗闇の中でも部屋一つ分くらいは明るくできる。
レオンの義手の隠された28の機能の一つだった




