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完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


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25/50

25:私、着替えの途中なの‼

リビングに顔出すと、そこにはノートパソコンに向かう悠がいた。


「澪ちゃん、お帰り」


悠はそう言うとパソコンを閉じた。


「今日は僕がコーヒーをいれるよ。着替えておいで」


「はい!……刀岐(ときの)は?」


「伊織(いおり)くんはまだ休んでいるよ」


「そうですか。じゃあ着替えてきますね」


悠はニッコリ頷き、鈴はジャンプして、悠のそばに行った。


私は部屋に向かい、着替えを始めた。


「澪!」


突然ドアが開いて、刀岐が部屋に入ってきた。


私はこれから着ようとしていたパーカーで慌てて胸を隠した。


「ちょ、刀岐、なんでノックもしないで入ってくるのよ!」


そう抗議をした。

本当は大声をだしたかった。

が、リビングには悠や陽がいた。

大声を出したら、驚いて二人が部屋に来る可能性があった。


こんな姿、刀岐に見られるだけで十分だった。


「澪、良かった。帰って来なかったらどうしよう……そう心配していた」


刀岐は私の言葉を聞いているのか聞いていないのか、ともかくそう言って近づくなり、私を抱きしめた。


清涼感のあるミントの香りに包まれた。


「ちょ、ちょっとー⁉ 離しなさいよ! それにここに帰ってくるのは当然でしょ。私の家財道具一式ここにあるんだから」


「うん。それでも……星崎が澪にヒドイこと沢山言ったから」


「……それは。でも実際に私は未熟だし、それに」


「違う」


「刀岐……」


「澪は十分頑張っている。それにちゃんと説明しなかった俺が悪いから」


「分かった、分かったから」


「澪、俺のデュオでいてくれるよな」


刀岐が私の上腕を掴み、顔を覗き込んだ。


信じられないぐらいの真剣な眼差しで私のことを見ていた。


「……当たり前でしょ。そんなこと聞かないでよ」


この言葉に、刀岐はこちらが驚くぐらいの笑顔になり、再び私を抱きしめた。


「ありがとう、澪……」


万感の想いという感じで刀岐は感謝の気持ちを述べ、私を抱きしめる腕に力を込めた。


私は制服のスカートをはいてはいるが、上はブラだけで。


かろうじてパーカーで胸を隠してはいるけど、こんな姿で抱き合っているのは……。


「刀岐、気持ちはよく分かったから。お願い、私、着替えの途中なの‼」


この言葉で、ようやく、ようやく、刀岐は事態を把握したようだった。


がばっと私から離れ、私が両手でパーカーを持ち、胸を隠そうとしていることに気づいた。


そして分かりやすく顔を真っ赤にして「ご、ごめん、澪」そう言って部屋を出ていった。


私はようやく理解した。

刀岐は……絶対に天然なんだ。


今だってそう。


私がこんな姿だったのに、それよりも謝罪したい、ただその気持ちだけでこの部屋に入ってきた。


「俺と寝てくれ」なんてとんでもないことを言ったけど、これも本当に、下心なく純粋に、誰かに抱きしめられ安心して眠りたいだけなんだ……。


私はそれが分かったので、怒りはなく、仕方ないなという気持ちになりながらパーカーに袖を通した。


着替えてリビングに行くと、そこには刀岐もいて、顔は赤いままで、私のことを直視できないようだった。


……恥ずかしいのはこっちなのに。これじゃ私が刀岐の裸を見たみたいじゃない。


「澪ちゃん、コーヒー用意できているよ」


「あ、悠、ありがとう」


私はとりあえず刀岐のことは放っておくことにしてコーヒーを飲んだ。


コーヒーを飲みつつ、私は今日の実践授業でやった憑依や除霊で気になったことを、悠に質問した。


すると刀岐(ときの)が真剣な表情でアドバイスを始め、悠も自分の考えを伝えてくれて、悪霊と怨霊の属性を判断する方法とか、いろいろ疑問に思っていたことにみんなが答えてくれた。


私は途中でノートを取りに行き、みんなの言ったことをメモした。


そしてその後はみんなで料理をして晩御飯となった。


改めて食事の時の刀岐を見ると、ずっと笑顔で楽しそうだった。


その姿を見ると、なんというか切ない気持ちになった。


刀岐はずっと、誰かと一緒に食事をしたかったんだ……。


食事を終え、暫くすると、日課になっているジムに向かう刀岐に私は「私もジムに行ってみたい」と声をかけた。


刀岐は喜び、悠にもジムへ来ないかと声をかけた。


こうして四人でジムへ向かい、私は初めての筋トレマシーンに戸惑いながらも、一時間半、しっかり汗を流した。


シャワールームで軽く汗を流し、部屋に戻ってから改めて湯船に浸かった。


その段階から私は少しずつ緊張していた。


別に変なことのためじゃないと分かっていても、それでも勇気がいることだった。


流石にノーブラはあり得ないからスポーツブラをつけよう。


そしてシャツワンピのパジャマにスパッツをはき、枕を持つと深呼吸した。


意を決してドアを開けると、丁度バスルームから悠が出てきたところだった。


「あ、澪ちゃん、お休み」


悠はそう言ってリビングに向かいかけ、立ち止まり、ゆっくり振り返った。


「……澪ちゃん、枕持ってどこに行くの?」


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